小説『トリコ!!〜エレクトリックトリッパー〜』
作者:じの字()

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エレクトリカル0 転成!


父は言った。
「お前はもう少し運があればねぇ。」

母は言った。
「運は運でも悪運だけは強いのよね。」

妹は言った。
「兄ちゃん運悪い(笑)」

・・・いや、分かってたさ。
家にいればタンスの角に小指をぶつける、柱の角に頭をぶつける。
道を歩けば犬のフンを踏んづける、電信柱に正面衝突。
電車に乗れば乗り遅れたり寝過ごしたり、夏場なのに静電気が走る。
テストのヤマは外れ、玉砕覚悟で挑んだ告白で玉砕。
もはや、運がイイ悪いというレベルではなく、俺の背後には貧乏神がいるんじゃないか!?ってほどだ。
・・・いや、いいさ。よくはないけども。
これまで運は悪くても楽しくやってきたんだ。生きてるってスバラシイ!!とか言って周りに白い目で見られたこともあったさ。
けどさ・・・


「カミサマこれはないよ・・・。」


○月△日 雨のち雷雨

案の定、傘を忘れて雨にふられました。
寒い寒い寒い寒い。春先なのにズブ濡れの体が割と本気で寒い。
冬はすでに終わったぞ!!


「もう早く帰ろう・・・風ひいちゃうよ。」


カバンを傘代わりにひたすら路地をひた走る。
その時だった。


〈ピシャー!!ゴロゴロ〉


遠くの空を閃光が走り、その後轟音が轟いた。


「・・・怖っ。」


そういえば、クラスメイトが今日の天気予報は雷だと言っていた。
しかし、中々どうしてああいうものをいざ実際に見ると、恐怖が湧き上がってくる。


「早く帰らなきゃ〈ゴロゴロ〉いや、マジで!!」


俺は家路に急いだ。
そうして雷の音を怖がりつつ、やっと我が家に辿り着きました。


「ついたよ・・・。」


いやー、これで一安心。さて、後は家の中に入るだ〈ピシャッ!!〉










あれ?









何で?
何で今身体中が痛いんだ?
今家にたどり着いたじゃないか
確かに俺は運は悪いけど、それでも何とか生きてきたじゃないか
じゃあ、あの地面に倒れているのは誰だ?

・・・俺か。

その日、確かに俺は死んだ。











が、










あー、いい気分だ。
これが輪廻の輪に戻るってやつか?
まぁ、すごくいい気分だ・・・


・・・あ?





目の前には密林が広がっていた。
ここどこ!?

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