小説『コメディ・ラブ』
作者:sakurasaku()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

教室の窓から見える山がうっすらと雪化粧をしていた。

2週間前、東京はあんなに暖かったのは嘘みたいに冬がちかづいている。

あの山の反対側に東京がある。東京から雪化粧は見えるのだろうか?

見えないだろうな。

「先生、その漢字間違ってます。」

急に現実に引き戻された。

「あっ本当だ。悪いね」

慌てて黒板消を持ち、修正作業に入ろうと黒板に向き直った。

「先生、最近ぼーっとしすぎだよ」

「具合悪いの?」

「なんか最近授業もつまんないよ。昔の先生に戻ってほしい」

子どもは見ていないようで見ている。わかってないようでわかってるのだ。

突然の言葉に驚き、動揺を隠しきれなかった。

持っていた黒板消しが足元に落ち、スニーカーがチョークの朝やかな赤がついた。



-61-
Copyright ©sakurasaku All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える