小説『短編集』
作者:tetsuya()

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 世島達也は人に支えられながら生きてきた。
 
 彼は生まれつき発達障害をわずらっていた。スキー靴の靴を合わせるのに一時間かかったり、鉄棒は前回りすらできない、『み』が『に』になるなど発音の弱さを同級生にからかれるなど、多くの災難に見舞われた。

 都会なら劣っている児童(問題児)は障害者施設へと送られるのだが、住んでいるところが田舎だったので、障害者のための施設はなかった。つまり健常者と同じ学校に通うことを余儀なくされた。全てを同じ条件で生活しなければならなかった。

 善悪の判断もないまま、身体だけ成長していったため、クラスメイトや担任に多大な迷惑をかけた。他人のものを自分のもののように扱うのは許されない。

 落し物や忘れ物の多さ、机をぐちゃぐちゃにするほどの整理整頓のできなさなどもハンデとなった。後半については信じられないが、整理整頓をクラスメイトにやってもらっていた。しかもそれを当然のように。それへの感謝の気持ちも欠如していた。やってもらって当たり前と思うなんておかしい。

 唯一の長所といえるのは暗算能力と素直さだった。後半の部分は大きく、つらいことでもやってみようといわれれば、取り組む姿勢を持っていた。担任も成長させるために、その部分を逃さなかった。

 素直さが欠如していたら今の自分はなかっただろう。分からないなりに頑張り、成長するための要素を取り入れてきたからこそよくなれた。昔のままなら就職は絶対にできなかっただろう。

 障害者枠で二千十二年三月に入社した企業においても日々苦労している。失敗を繰り返したり、あるものを壊したり、能力も低かったりと健常者なら首になっても文句をいえない立場である。

 だけど同僚も頑張る姿を認めてくれているのか、体調を気遣ってくれたり、優しく指導してくださったりしてくれる。その人たちのためにも一日も長く頑張って、私からも何か与えられればいい。障害のことを知りたい人もいるので、自信の体験談を交えて説明していきたい。きっと役立てられるであろう。

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