小説『短編集』
作者:tetsuya()

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利害関係がこれっぽっちも存在しない、対人関係を一生のうちにほんの僅かでも送れる人はどれだけいるのだろうか。

 きっとほとんどいないはずだ。他人のために犠牲になったり、自分を捨ててまでがんばろうとする行為自体が愚の骨頂とみなされる世界だからだ。

 いじめ、パワハラなどを目の前にしても見てみぬフリをする。助けたかったとテレビなどでもっともらしいことをいうのも、まやかしにすぎない。彼らはイジメを見てみぬふりをしていたのを涙ぐんでいるのではなく、将来にとってマイナスになるのを悲しんでいるだけにすぎない。心から助けたいと思うなら、自分を犠牲にしてでも助けるはずだ。

 社会はなおえげつない世界が繰り広げられる。自分の地位や名誉を守るために相手を平気で蹴落として、生きていく上司や同僚に多数囲まれている。追い越されそうになった部下や同僚を消すために、粗を問いただしたり、メチャクチャな難癖をつけたりして精神的欝に追い込んでいく。辛いことだがそれは毎日のように全国各地で行われている。
 
 近頃はどんどん非情な世界になりつつある。だけど思い直してほしい。悪いことをする人間は決して信用されたり好かれたりしないことを。自分のやったことは必ず跳ね返ってくるようにできている。利害関係だけで他人を蹴落としたりすれば、未来の自分の大きな損害となる。下手すれば命を落とすことにもつながりかねない。
 
 これから私はできる限り利害関係の少ない対人関係を構築していければなと思っている。多くの人に優しく接するように心がけるのを大きな目標としている。障害を抱えていたからこそできる優しさを他人に提供したい。

 異性の場合は心をくすぶることにもつながりかねないためやらないほうが無難だけど、私にはこう接するしかできない。言葉が選べない分、真摯に他人と向き合うしかない。

 障害をわずらいながらも、色々な人が助けてくれたからこそ今の私がある。ときには自分の人生を捨ててまでがんばってくれた人もいる。障害を抱えて生まれたからこそ分かった想いもたくさんある。完全とはいかなくても純粋な想いで他人と接することができたらいいな。

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