小説『短編集』
作者:tetsuya()

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 ずっと過去のことに影響を受けながらわたしたちは毎日を生きている。束縛と言い直したほうがいいかもしれない。

 覚えているのは多くは悪いことである。いじめられたり、騙されたり、心を利用されたり、弱いところをつかれたり、言葉巧みに操られたり、詐欺や盗難の被害に遭ったり、痴漢被害で心を傷付けられたり、大事な人を事故などで失って精神疾患にかかったり、公害被害に巻き込まれたり、選挙で落選して無一文の生活を送る羽目になったり、失恋したり、家を火事や自身で失ったり、殺されそうになったりと、何で自分だけがこんな目に遭わなくてはいけないんだと思いがちなことに目がいく。

 悪いことは後々の精神状態に悪影響を及ぼす。利用されたなら疑心暗鬼に陥るし、殺されかけると周りの人間が全て闇に葬ろうとしているような錯覚に陥る、痴漢被害に遭うと男性と同じ電車に乗れなくなる、詐欺や盗難被害は人間への警戒心が強くなる、大事な人を事故で失うと人生の生き甲斐をなくしてしまうなど、一生に大きな遺恨を残す。何十年経ったとしても忘れられはしない。

 だけど全部が全部悪いことばかりではない。優しくしてもらったり、励ましてもらったり、命を助けてもらったり、相談に乗ってもらったり、面倒を見てもらったり、支えてもらったりしながら一日一日生きている。

 食料を作ったり生産してくれたりしている人々、病気にかかったときに診察してくれる医者、日用品を生産してくれる会社、雇ってくれている会社、テレビの視聴者、スポーツの観客、電車やバスなどの移動手段などを普段当たり前のように思っているが、そういった存在があるからこそわたしたちは生きられる。すごくすごくありがたい存在だ。

 乖離した世界が分かりづらいのであれば、日常生活が学校などといった世界を振り返ってみよう。苦しい時に光を差し込んでくれた人はきっといるはずだ。そういった優しさはずっと心に残り続ける。感謝の気持ちをしっかりともてるのなら一生忘れないはずだ。一つ一つが大きな宝物となり、いい思い出となる。離ればなれになったとしても変わらない。

 生きていく上で、一人ひとりが負にも正にもなることができる。できるかぎり正の影響を与えるような人物に包まれた世界になればいいな。

 わたしも大きなことはできないけど、これからの目標として、多くの人にいい印象を与えられるようになりたい。離ればなれになったとしても、会えてよかったと思ってもらいたい。苦しんでいる人の気持になって、多くの人の心に光を差し込んであげたい。できることを一つずつやっていきたい。

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