小説『めだかボックス 〜From despair to hope 〜』
作者:じーく()

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第13箱 「なんかよくわかんねーが、不幸(いいもの)もってんだな?」
















さぁー トランプ勝負だぁー・・・

「よし!では もう一度だ!!」

「うん・・・」



さて 時を少しさかのぼろう・・・






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めだかちゃんのひろーいお家のひろーいお部屋でとりあえず、善吉が「トランプしたーい」といったので、

始まりましたのはトランプ対決。

もちろん、めだかちゃんは僕を標的にした・・・・・

「ううぅ・・・ 2人とも強すぎだよぅ・・・」

負けてばかりの善吉は涙目になっていたが・・・

めだかは相変わらず・・・

「流石 劉一だ!」

の一言。

ちょっと休憩したいなぁ…

めだかちゃんとの頭脳戦は…

本当に疲れるんだ…


「あ・・・めだかちゃん!!僕トイレ行きたいんだけど!!」

苦し紛れっぽかったけど・・・

「む・・・? 仕方あるまい、ならば≪一時≫休戦だ。」

とりあえず 見逃してくれた 苦笑

一時…をものすんごく強調されたけど…

まだまだ続くってこと… だよね…… 苦笑


まあ、とりあえず…

「ありがとー!じゃあ 行ってくるね?」

「うむ。ところで、(バタンッ)・・・」



行ってしまった。



「劉一はトイレの場所はわかっておるのか? まあ あ奴なら 大丈夫だろう!」

劉一が出て行った方を見ながらつぶやく。

あまり根拠ないと思うけど… 苦笑


そんな時。

「めだかちゃん!僕と勝負!!」

善吉がそう言った。


「よし!かかってくるがいい!善吉、私は誰からの挑戦もうける!」 凛ッ!

劉一がいなくなった為、



めだか VS 善吉



カードバトル大会がスタートした。








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めだか VS 善吉 が始まっていたころ…

「困った・・・ トイレの場所はわかったけど・・・ 広すぎだよ、この家・・・ どこだったっけ?めだかちゃんの部屋・・・」

とぼとぼ歩いているのは劉一くん。

どうやら道?に迷ったようだ。

そこまで広いのね・・・ココ。

「うう・・・ん とりあえず、こういう迷路に迷ったときは左手法で・・・ ちょっと効率悪いか。 はぁ・・・しかたない 片っ端から部屋をあけていこう!もし 家の人に会えれば事情を話して案内してもらえばいいんだし!」

よし!空元気だぁ!!

はぁ・・・


一部屋一部屋開けては訪ね開けては訪ね・・・

中々人の気配がしないな・・・

「家は広いんだけど・・・あんまり人がいないんだね・・・ココ。どうしようか・・・このまま見つからなかったら・・・ 」

そう僕は心配していた・・・

「めだかちゃんに怒られそうだ・・・ 「遅いぞ!!どれだけ勝負を待たせる!!」っとか言って・・・」

そうそっちをね・・・

帰るのは時間がかかっても構わないけど、めだかちゃんはそうもいかないからなぁ・・・ 

勝負数を倍にする!ッとかいいそうだ・・・




ゾワッ・・・




「それはきつい・・・ 早くしよう・・・」

劉一は歩く速度を上げた。














そして調べに調べぬいた15部屋目!!

多ッ!

ってツッコムのはやめます・・・

何やら・・・薄気味悪い部屋だった・・・

異常に暗くて・・・ そして あたりは本で埋め尽くされてて・・・

人の気配はする・・・

呻き声みたいな感じが不気味だけど。

「あのー・・・ すみませーん・・・」

恐る恐る奥へと入っていった。

声が・・・する方へと向かって。

そこには机があり、そこのみが明るくなっていた。

机ももちろん本で埋め尽くされてるかのように積み上げられ、

そこで勉強をしている人がいた。

勉強っていうかどうかわからない・・・

自分自身を鎖で縛り上げていた・・・

「あ・・・あのー」

声を掛けたその時、

「くそっ!!恵まれた生まれ!恵まれた養子!恵まれた才能!恵まれた環境!どれもこれもクソ喰らえだ!」

そう言いまわりの本・文具を辺りに投げつける!

「もっと!もっと!!不幸を!地獄を!!もっと!!!」

狂ったかのように叫び続ける・・・

その所為か、頭上から降ってくる物に気がつかなかった・・・



「あ!危ない!!」



咄嗟に劉一は彼女を押し倒し庇う。



ドガア!!バサバサバサ・・・



降ってきた物、それは重量感がたっぷりとある百貨辞典のような本数冊だった。

とりあえず本棚そのものが倒れてこない事には喜んでおこう・・・

「あたた・・・ だ・・・ だいじょーぶ?」

緊急事態とはいっても女のコを押し倒している事には変わらないから、

ちょっと悪そうに言った。

「!!誰だ?お前・・・?」

女のコは驚きながらこっちを見た。

「あ!ゴメンね?押し倒しちゃって、すぐに退くから・・・」

そう言うと、体を起こし彼女を引っ張りあげた。

「ふう・・・改めて大丈夫だった?君・・・」

心配そうに言うと・・・

「勝手な事しやがって・・・ ほっといてくれればよかったんだ!!私はもっともっと地獄を見なきゃならねぇんだ!こんなもんなんでもねぇ!」

そう言って、机に戻った。

「あ…!」

劉一が何か言おうとした時には、もう勉強?に戻っていた…

でも… なんでだろう。

聞いてみたいことがあったんだ。

「・・・君はなんでそんなに自分を追い込んでいるの?」

劉一は助けた事を罵倒された理由より…そっちを聞いてみたかったみたいだ。

「・・・幸せ者(テメー)みたいな奴に言っても理解されないかもしれねぇがな、素晴らしいものってやつは地獄からしか生まれないんだ!それは歴史が証明してる!こんな恵まれた人生じゃ私は駄目になるんだよ!だからだ!」

歴史上の多くの天才達は不遇を送っていて偉大な発見は大抵劣等感から生まれている。

それは間違いないのかもしれない・・・

「なるほど…… 確かにそうかもしれないね・・・」

しっかりと彼女を見つめながらそう言った。

「はっ!わかんのか? ならもうジャマするんじゃねぇ!」

そう言い机に向かった。

「でもね・・・それは少し違うと思うんだ。机に向かったままの姿勢でいいから 僕の独り言聞いてくれるかな?」

机に向かったままの彼女に言う。

「確かに・・・そうだよね。 偉大な発明や発見は・・・ そう言う劣等感からとか、不幸とかから生まれてきてるのかもしれないね… でも…だけど…。それはきっと…糧であって、最終的には努力が実を結ぶんだと思うんだ…… そこは地獄だとか幸福だとか関係ないと思う。だって……この世にはたくさんの人が劣等感や不幸を背負ってるんだから・・・ 君の言い方だったら・・・この世に天才が沢山生まれちゃうと思うよ?それだけでひとくくりしちゃったらさ。」

そう続けていくと・・・

彼女の指が止まっていた。

「…どんなことがあっても…つらいことがあっても……どんな不幸からも… それでも、這い上がれる努力、どんな幸福な人生を送っていたって、それに満足せず・・・慢心せず・・・努力を積み重ねる事・・・ それがすべてに繋がるんじゃないかな?」

そして彼女がこっちを見た。

「てめーの言葉… なんでだろうな?口だけじゃねぇ感じだ・・・なんかわかんねぇが真に来る感じがる。不幸(いいもの)を持ってんだな…?」

彼女は初めて笑った。

それと羨ましそうな目をしていたなぁ・・・

「ふふ・・・そうだね・・・ 僕も不幸を持ってる…よ。いや、≪持ってた≫かな?…救われたんだ。そこからね?…だから僕は生きていられるし、毎日は楽しいことでいっぱいだよ。禁欲(ストイック)な君にとっては要らない物って思うかもだけど。」

そう言って上を向いた。

「……んで?なんで私と話してんだ?それに、なんで私に構うんだ?お前は、自分の主張を聞いてもらえる奴がいないのか?」

救われたといってもまだ不幸(いいもの)もってる感じがするためか 笑いながら話していた。

「そんなこと無いさ、僕はめだかちゃんと遊んでいたんだけど、トイレに行ってたら帰りがわからなくなって・・・でココについたって感じだよ。君に話したのは唯のおせっかいさ。(僕・・・記憶力いいと思ってたけど・・・そうでもなかったんだね・・・ 苦笑)」

劉一も笑いながら話した。

「妹と・・・?ああ んじゃ お前が劉一って奴か? 毎日のように妹(めだか)がいってた奴だな。」

「何を言ってたかは・・・聞かないけど・・・劉一であってるよ。よろしくね。君のはめだかちゃんのお姉さんなんだね。名前は?」

今度は苦笑しながら話していた。

(あの化け物じみた妹(めだか)の上に行く男だったな・・・確か、ちょっとばかし興味が湧くな・・・)

「??」

なにやらじっくり見られているけどなんだろう?

「私はくじらだ。 お前がおせっかいなのはわかったが、そのついでに、私を説得でもしよーってか?生憎幸せになるくらいなら死んだ方がマシッって考えだからな、それは無駄だぜ! 」

そう言い手を振った。

「いいや、説得するつもりなんて無いよ。生き方なんて、他人に言われて、簡単に変わるのって、難しいと思うしね。」

「そうか、なら良かった。」

そう言って再び机に向いた。

「でもね……。…死んじゃあだめだよ。それこそ何も生まないし何も残らない…… 残るのは残された者に残る悲しみだけ…なんだよ。この世には生きたかったのに生きられなかった人がたくさんいるんだ・・・ 自分からそれを絶つような事はしちゃだめだよ。…でも…僕がいっても説得力ないかな……。 ……僕は………んだんだしね………」

隣に立つ。最後の方は聞えないほど・・・声が小さかった。

「……はっ!余計なお世話だ!」

そう言い唯ひたすら勉学を続けていた。

「……あ!これ…確かジュグラー定理だね?」

一枚の紙を取った。

「ああそうだ、数学界での難問だよ最大のな。」

こちらを向かず唯淡々と説明をした。

しかし、くじらがこんなに話す相手なんて兄妹でもいなかったのに・・・ 

(なんだろうな、こいつと話してると不思議と楽になんだわ。不幸(いいもの)をもってる奴と話しているからか?わかんねぇな・・・)

自分の変化を自分自身で観察していたら、

横にいる男が何やら呟いていた。

「……定理から、「n<q<2n」となるような素数qが存在する…… つまり任意の自然数nについてnより大きく2nより小さな素数が必ず存在する ことが証明されており、xは必ず存在することになる。よってこのような数の組は存在しない…… かぁ……」

そう言い紙に纏めていった。

「ふう…… まあこんなとこかな?」

解いた紙を机の上に置き、

ぐっと背伸びをして、更に欠伸を1つ!

「ん?さっきから何をつぶやいてたんだ?」

くじらが不思議に聞いていた。

「いや!何でもないよ。たd「劉一ィィ!!!」」




ビクッ!!




恐る恐る振り返ってみると・・・

後ろに立っていたのは阿修羅のようなめだかだった・・・ (汗ッ!)

「え……っと どうしたの??めだかちゃ……」

「………まってたのに…」

???

顔を俯かせて何やらプルプル震えている。

「ずっと待っておったのだ!!いつまでたっても戻ってこないのはなぜだ!!」

泣き顔のように抱きついてきた!

抱きつくというか・・・壁に押さえつけられてる?

「ご・・・ごめっ!! ココ広すぎて・・・ 迷ってたんだよ・・・」

苦しい・・・

「なら何故!くじ姉と仲良く遊んでおるのだ!? 今日は私と遊ぶ約束であろう!!!」

更にヒートアップ!!!

「いたたたた!!ち…違うって!違うよ!めだかちゃん! ッくじらさぁん!!何とか言ってあげてっ!!」

くじらにヘルプを求めたんだけど・・・

「こいつ… 誰も解けないって言われてた……最難間の定理をこんなに速く… ブツブツブツ………」

何やら呟いていて全く弁護してくれない……

もう興味なくなっちゃったの!?!?



「さあ!!どういうわけだ!!?」


めだかちゃんの力が更に入る!

「わぁー!ごめんごめん!」

とりあえず謝り倒した。

というより・・・いつもより力強くないかな・・・?

骨がミシミシいってるよー・・・


-14-
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