小説『めだかボックス 〜From despair to hope 〜』
作者:じーく()

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第2箱 「プラスとマイナスの間の僕は・・・ ゼロ?」








暫く歩いていくと、

かなり大きめの病院が見えてきた・・・

…総合病院かな??


「さぁ!ここよ!私が勤めている病院!」

そう言い、病院の中へ入った。

本当に…心療外科医なんだね?

見た目幼い姿なのに・・・僕もそうだけどさ・・・

そうしているうちに、託児室が見えてきた。


「さぁーて、私はこれから仕事があるからさ! 善吉ちゃんはここで遊んでいてね!」


瞳さんはそう言った。

実を言うと・・・この人が善吉君の母親らしい・・・

下手をすると僕と同じくらいの体格に近いのに・・・正直な感想です。


「…ってあれ? 僕は??」


善吉ちゃんはってことは?

「ああ!りゅういちくんはちょ〜っとだけ一緒に来てくれるかしら?」

瞳さんが笑いながらそう言う。


善吉は寂しそうにしていたが。

直ぐに戻ってくるよと、伝えると嬉しそうに頷いて戻ってくるまで遊具のパズルをして遊んでる!っと言い部屋へ入った。

「さぁ!いきましょ!」

そう言うと再び手を繋ぎ、託児室を後にした。




瞳先生が管理している部屋だろうか?

その前についたとき…


「あ!! そうだ・・・この時間も他に患者がいたんだ・・・」


瞳さんはしまった!ッといった表情でこちらを見る。


「あ!大丈夫ですよ! 僕、待ってます。 だから割り込みとかなんてしませんので 予約の患者さんたちを優先させてください。」


表情を読み取ったようにそう答えた。


「そっ・・・そう! ゴメンね!!直ぐに済むからね。」


瞳は・・・彼の異常性に驚きながらも直ぐに笑顔に戻り診察室へと向かった。






瞳 side



「彼・・・いや 本当に2歳児なのかな・・? 私が言うのもなんだけど・・・・」

自分の容姿もねぇ・・・

って考えていた。 苦笑




でも、彼のは2歳児とは思えない程…

しっかりといろんなことを理解している…

あのころの年頃は自分のことしかまだ考えてないだろう。

…万能タイプの異常能力かしら・・・??

暫く考えていたが・・・


「まあ・・・ 彼の事もだけど今はそれどころじゃないもんね。」


そう・・・ ここは異常と呼ばれる人たちが集まる病院・・・

言い方は悪いが・・・あまり1人の事だけを考えて入られないのだ。

だが・・・




「いよっし! 今日もがんばっちゃおう!」




ぐっと力を入れた。

彼女は・・・1人1人に真剣に向き合っている。

当然という人もいるだろうが。

異常性をもった子供に真剣に向き合う事は生易しい事ではないのだ・・・

彼女も異常といわれていた子供の1人だった故も・・・あるのかもしれない・・・



side out





部屋の外のイスに座り。

前をじっと見て…

全く姿勢を崩さずに劉一は順番を待っていた。



そこに・・・



1人の子供が近付いてきた・・・

女のコだった。

「おい! 隣はあいておるか?」

初対面だったのだがそんなことは関係ない!といった感じだった。

何より、素敵な笑顔だった。

「うん!大丈夫。僕1人だったから、いいよ。」

だから、こちらも笑顔でそう答える。

「そうか すまないな。」

彼女は笑顔を見せたまま座った。

「凄く・・・嬉しそうだね 君。」

女のコの顔が笑顔(わくわくした感じかな?)だった為 好奇心からかつい話しかけていた。

「む!顔に出ていたか そうなのだ。もしかしたら自分が分からなかった事を教えてくれるかもしれなくてな。それでちょっぴりわくわくしていたんだ。」

「へぇ…そうなんだ。」

なんだか・・・彼女の笑顔は素敵だと思った・・・

率直な感想なんだけど。

理由はよく分からなかったけど・・・

彼女と・・・話していると・・・

とても安らぐんだ。



そんな時…

1つ隣の椅子ににいた男の子が近付いてきた。


「『まったく』 『なんのためだなんて』『みんな大人の癖に』『的外れだよねえ』」

男のコはそう言うと・・・僕と女のコの前に立った。

「『人間は無意味に生まれて』『無関係に生きて』『無価値に死ぬのに決まってるのにさ』 『君達もそう思うだろう?』『えーっと めだかちゃんにりゅういちくん?』」

そう彼が言うと・・・

めだかは 楽しそうな表情から一変した。

「…………」

僕は黙っていた。


多分・・・ちょっと前までの僕なら賛同していたかもしれない。


「『あれ・・・?君はそう思わないのかい?』『絶望しているように見えたけど?』」

彼の眼は…心の奥まで、見ているかのような目だ…


くまがわ みそぎ・・・


彼の名札にはそう書かれていた。



「うん…そうだね・・・多分ちょっと前の僕なら・・・きっと、君の考え方に賛同したと思うよ。」

…そう言う。

「『ふ〜ん…ってことは・・・ 今は違うんだね?』」

目を見たまま…そう言い切る。

「うん。」

そう言うとみそぎは笑った。

「『うーん ちょっと遅かったんだね。僕は。だったら、もうちょっと早く君に合いたかったよ』『でも、めだかちゃんは・・・?君もいっぱい人を終わらせてきたんだよね? 』『彼は残念だったけど君はそれでいいと思うよ。』『何をしてもいいんだ。』」

そう言うと・・・

「球磨川くーん 五番検査室に入ってくれる?」

ナースのお姉さんから呼び出しが合った。

「『だって 世界には目標なんてなくて・・・人生には目的なんてないんだから』『後りゅういちくん、僕に賛同できるのだったら、いつでも僕は待ってるよ。』『じゃあまたね。』」

そう言うと彼は大きなぬいぐるみと共に、

検査室へと入っていった。

「君・・・大丈夫かい?」

めだかはまだ考え事をしているのか表情は硬く・・・何も言わなかった。

恐らくは聞えていないのだろう。

自分にも・・・闇がある・・・

その耐性があるからこそ 彼の話しをそのまま聞けたのであろう。

常人なら・・・いや常人じゃなくても・・・彼のマイナス面を受けたなら、心から動揺してしまうだろう。

いや・・・めだかの場合は・・・動揺というよりは・・・

彼の意見・・・を正しいと思ってしまったのだろう・・・



次に彼女も呼ばれ・・・

そのまま会話の1つもなく・・・

姿を消した。




-3-
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