小説『「KONFRONTATION」』
作者:銀虎()

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(対犬・雲)
薄雲壱は、薄暗い路地を歩いていた。
自宅に出前を頼んでいただいた顧客の下げ皿を受け取りに来たのだ。
宅配しやすいように改造された自転車あの荷台。そこには、大きなお盆が何個も積み上がっていた。
耳には、黒の耳かけ式イヤフォンで、モンキーマジックとブルーハーツをシャッフルして聞いていた。

時は、夏で祭りの後打ち上げの会場で振る舞われた大量の寿司は、薄雲の家である。「鮨龍」が全部用意した。しかし、店主である父・龍貴は昼から祭りに参加して今も酔いつぶれているので、鮨を握ったのも宅配したのも、そして下げ膳を取りに行くもの、すべて
壱、一人で行った。皿10枚で鮨の数にして約450貫。自転車で一気に運ぶこともできず。正午の早いうちから、せっせと握り上げたげ、そして、自転車で何往復もして、会場である。公民館まで届けたのであった。なqので、心底疲れている壱のペダルをこぐ足も重い
すると、
ガダッッ
自転車の車輪が、何かを踏みつけた。
犬の尻尾の様だ。
「おろっ、すまんぁ。これで許してくりゃれ。」
そういって、壱は寿司桶から数貫のマグロを取り出し、後ろに投げる。
「気をつけろぉ!」
おっさんの声でそんな声がしたが、甲本ヒロトの声にかき消された。
飼い主なんていない野良犬の顔は、初老のいい具合に汚くくたびれたおっさんの顔だった。
人面犬。
1989年から90年にかけて社会現象にもなった噂。中年の男の顔をした犬のこと。筑波大学の遺伝子工学で生み出されそこから逃げ出した、罪深い魂が輪廻転生したときに不十分な形でなってしまった結果とか、諸説多々あり。まぁ、伝説だから

その人面犬は、ハグハグと投げられた。鮪を食べると電柱で用を足して道の匂いを嗅ぎながら歩き出した。
「はぁ〜〜。」
寿司桶を大タライの水につけて汚れをふやかす間、壱は背もたれの低いイスに座り、疲れに染まったため息を吐く。
母親のいない(盲腸で入院中)鮨龍。酔い潰れた父親は今で泥酔睡眠中、生ものを扱うのでしっかりと今日中に桶洗わなければならない。濃い熱い緑茶を喉に流し込むと壱は足元に置いた生ゴミ満載のゴミ袋を両手に持つと外のプラスチック製の防臭ゴミコンテナに入れる。壱は煙草を吸わない煙草の脂から寿司職人としての舌と、指を護るため、しかしここまで疲れるとすいたくなるもの。深いためいきを吐く。

ガサゴソ

向こう迎えのゴミ捨て場、モラルの護れない住民によって捨てられたゴミに集まっている野良烏・野良犬・野良猫。
鮨屋として目の前で生ごみが荒らされていては、商売の邪魔だ。
壱は、店内に戻る店内に入っていたプラスチック製の小さな更に牛乳に蜂蜜を入れたホットミルクを創り、あらを入れたそれをゴミ捨て場の少し横に置き、
「ゴハン。」
そういうと犬と猫は集まってそれに群がり食べる。
烏は、人が付かずくと逃げた。
壱は箒とチリトリ・新しいゴミ袋を取り出すと、散乱したゴミを集めゴミ袋を入れコンテナに入れる。
「やれやれ」
掃除用具を片付けると、皿の方に食べ終わったのか。一匹の犬にしかいなくなっていた。
皿を片付けて散ばった牛乳やあらのカスなどを、ホースの見捨て流さなければならない。時間は夜の1時。壱の仕事は増える一方。
皿を片づけるために、犬と皿に近く行き皿を持ち上げる。すると、
「たりねぇよ。もっとくれ。」
おっさんの声はした。
「タダ飯をどれだけ食べる気。」
人はいない丑三つ時に人の声
壱はおかしいと感じあたりを見回す。人はいない。
「ここだ、ここ。」
声がする足元。壱は声のする方を見る。おっさんの顔をした犬=人面犬。
壱はその場に凍りつく
「お〜〜い、大丈夫かい。
その声かけに、壱は我に戻る。
「おっっ、疲れがたまってての。」
壱は、ため息をつく。
「驚きが薄いな。普通は半狂乱になって逃げるところだぜ。」
人面犬は、ケラケラと笑う。
「普通じゃないのでな。」
壱は、そういうと
「これから。しなけりゃならん。仕事がたまっておる。話相手になってはくれぬかや。」
犬にそう言った。
「お前・・・いかれてないか。」
いぬはそういった。
「ぬしに驚く世間がイカれてるのかも知れんぞ。」
壱もケラケラと笑って返す。

ホースで放水して、皿の後を流し去る。
そして、店内の横、鮨桶のつけてある大タライの横で、チラシの上・残り物の寿司を置いた。
「今日は、それ位しかもう残っておらん。あらは明日のわっちの朝食のみそ汁のだしでな。」
壱はそう言って、スポンジでタライをこする。
「ケチくさい。」
「金さえあれば。いくらでも握ってやろ。」
「犬に金を払えと。」
「そうじゃ。わっ血は商売人じゃから」
「けっっっ。」
人面犬と壱が会話をしている。なんてシュールな画だろうか
「すしは、輪廻転生に失敗したのかや。」
都市伝説に言われる誕生の秘密を聞いてみる。
「某大学の研究施設の失敗作だ。」
「そっちかや。ここまで、よく来たの「。関東から東海じゃぞ。」
「捕まりたくないからな。本当は樹海にでも行きたいのだがな。」
「そうかや。」
壱は水でふやけて、浮いた汚れをサラサラ落とす。
「洗剤は使わないのか。」
「環境に優しいのじゃ。あと、貧乏でな。
「水道代の方がかかるんじゃねぇのか。」
「近くの川の綺麗な井戸水じゃ。水道代はない。」
「そうかぁ。」
「樹海でいいのかや。」
「んっっっ」
壱はそういった。
「ここで会ったのも何かの縁じゃ。」
壱は、10枚の洗い終わった桶を重ねると
奥から、愛車のNEW BONNEVILLEをとり出した
「こいつでいけば、ほんの半日じゃよ。」
 「いいのか。」
「ぬしも被害者じゃろ。」
「ありがてぇ。」
「じゃが、ゲージも何もないでの。」
「トランクケースにでもいれくれよ。」
壱は、犬の頭を撫でた。
「名はなんというのじゃ。」
「俺は、A―563。」
「味気ないのう。」
壱はそういうと手をタオルで拭きながら考える。
「名前をつけてもいいかや。」
壱はそう提案する。
「つけてくれよ。」
A―563は笑いながら答える。
「コン。」
「いい名だ。」
コンは壱によって、樹海に送られて自由に暮らしましたとさ。

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