小説『「KONFRONTATION」』
作者:銀虎()

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(家・帰宅)

利家が自慢のバイクで走っていると、後ろから、地面を女が這ってすごいスピードで追ってきた。
「きしょくわるっっ。」
利家は、バイクの前輪だけにブレーキをかける

ギャッジュ

ジャックナイフと言うバイクのテクニックで後輪を浮かす。そして、

バン

大きな音とともに、女の脳天へ振り落す。
スッと女は消えた。今日も相当、俺が疲れたらしい。
そのあと、煙草が吸いたくなったので墓場の横の道に止まる。すると

ボウッッ

炎の塊が目の前を通過した。ライターを無くしていたので丁度よかった。
その炎の塊で、煙草に火かつけた。いまどきこんな、悪戯に騙されるわけもない。
すると、大きなマスクをした女が
「私・きれい。」
と聞いてきた。いい年をしてこんな悪戯とはご苦労なことだ。
適当に、返事をすると草刈り鎌で襲ってきたので、正当防衛と言うことで遠慮なくボコっておいた。多少、気が晴れた。
ストレスはたまらないので近くの峠で思い切り走らせていくことにした。

ボッロロロロロロ

愛車のエンジンが唸りを挙げると、後ろから婆が走ってやってきた。
しかし、120キロも出していたので追いつけるはずもなし。次にやってきたのは、やたら首が目立たないヘルメットをしたライダ―。まるで、首がないみたいだ。
いい勝負をしたが、結局俺の勝ち。
「ふぅ、今なら壱にも勝てるかもな。」
俺は峠を下る。
しかし、疲れてしまった。
「あっっ、冷蔵庫の中からじゃん。」
昨晩をカップラーメンで済ましてしまった。利家だった。朝食はなし。
「くっっ。」
尻ポケットから、財布を出すと野口英男が2枚だけ、時刻は9時半。安売りスーパーはもうやっていない。コンビニで買うには少し痛手だけど。
「背に腹は代えられないか・・・。」
ため息をついてコンビニによる。そこは生鮮食品も扱うコンビニ。利家も壱ほど腕があるわけではないが、自炊派である。本人曰く外食できるほど高給取りではないそうだ。慢性的な金欠に喘ぎ苦しむ。
「金下ろしておきたいけど・・・。」
手数料を嫌がって利家は時間外に金を極力下ろさない。
「えっと、豚バラと玉ねぎ・・。」
今日の晩と明日の朝が持てばいいので、あまり買わない。高いので、コンビニは。
豚バラと玉ねぎと缶チューハイとナッツそれだけを入れて籠をレジへ持っていく。
「783円です。」
利家は
「袋イイです。」
そういって、エコバックを取り出しながら、野口さん一人を渡し、小銭を受け取る。
コンビニから出ると、止めてあったバイクにゴム紐で、買ったものをエコバックごと、荷台にくくる。
すると、
ドン

後ろから、黒ずくめの男たちが、利家の肩を掴み後ろのコンクリの壁に押し付ける。
「お兄ちゃん、ちょっと、いいかな。」
男A
「僕たち、ちょっと、お金に困っていてね。」
男B
「すこし、かしてくれないかな。」
男C
その男達を目にして、利家は
「俺が貸してもらいたいくらいだよ。」
と言うと

ガッキャ

ナックルダスターをはめた手が、後ろのコンクリを叩く。

ギャキャゴゴポッキッッ

マンガの効果音みたいな音がして、屍ができた。赤く染められた髪(いつ染めただろう。)スーツが黒なので百足の出来上がり。

シュー

湯気が立ち上るほど殴られたボコられた。男ABC、その三人が
「「「夢と違うこと」」」
と言った。
「夢の中の方がまだ酷かったか。」
百足は、タオルで黒髪に戻る。
バイクに鍵を差しエンジンをかける。
ここと良いエンジン音に耳を傾けながら、利家は走る。
バイクのうえそこは利家の休憩できる数少ない場所。紫煙が顔の横に流れてなくなる。流れて消える紫の煙それは、俺たち人間のように時の流れの中で、名にも影響を残さずに消えていく。寄り集まって功績を残しても、それは害以外何もない。人間のしていることは、紫煙のニコチンタールのように地球の害悪の他もない。
すごい気持ちいい。
紫煙の味、風を斬る感覚、エンジンの揺れ、利家の一番の感覚。
ドライビングテクニックとスピードこそ壱に負けるものの、エンジン音を聞かずに音楽を聴いて走る壱の行動が何か気に食わない。せっかく、トライアンフと言うハーレー・ダビットソンと並ぶ最良の独特のエンジン音を有す機体に乗るのに、何をやっている。
とやかくそんな考えを巡らしていると、古めかしい銭湯に着いた。利家のアパートに風呂はない。今時珍しい古アパート、大家のおばさん・・・おばぁさんは結構優しい。煮物や野菜などを良くしてくれる。そして、壱に料理してもらい野菜は消費する。煮物は食べる。壱も嫉妬する位うまい。
銭湯の指定駐輪場にバイクを停める。
ゴラコロ
古い木札式の靴箱に靴を入れ木札を引き抜く。常連であるから、毎月一括で料金払う番頭のおばちゃんは寝ていた。
「おばちゃん、」
声をかけて呼ぶと
「ふわぁ」
間の抜けた声で起きたおばちゃん。かわいい年寄りのカピパラの様だ。
「仕事帰りでタオルないんだ。貸してくれんない。」
ここは無料でタオルをかしてくれ優良店。
「ほれ、伊達ちゃん。」
ここのおばちゃんにも好まれている。
「ありがとう。」
伊達が精悍な笑顔で帰ると
「私もあと15年年をとっていればねぇ。」
おばちゃんがつぶやいた。
「普通、若けりゃじゃないの。」
利家は突っ込む
「馬鹿言いなさんな。後、15年ふけてりゃこんな、思いも湧かないさ。」
あっけらかんと利家の答えるおばちゃん。
「つうか、15年後って今いくつだよ。」
利家は、苦笑で答える。
「89じゃ、120まで私はピンピンしておるからの。」
げらげら笑う。
「89ぅ、」
このままじゃ本当に生きそうだ。絶対生きる。
「ほら、閉店も近いよ。とっと入ってくんなぁ。」
とっとと、入浴を済まして出ると、
「サービスだ、持ってきな。」
といっておばちゃんがフルーツ牛乳をくれた。
腰に手をあてて、それを一気に飲み切る。
「ごちそうさま。」
利家は、言い切ると笑う。
「けっけけ、賞味期限は昨日だぜ。」
「ゲッッ。」
喰えないばばぁだ。
湯冷めしたら厭なので、とっとと変えることにした。
家に帰ると、留守電が入っていた。
「留守電は、36件です。」
どうせ、あのいたずら電話だけだろうけど、万が一が有っては厭なので再生する。
「わたしメリーさん、今あなたの家の近くにいるの。」
こんな電話が、36件・・・・うざい
ベッドに買ったものを入れると、までの外には庁野さん。
「ここまで来たのか。」
俺は唖然として、大家の油田おばちゃんに、電話抱えると、数珠やらなんやらたくさん持ってきた。俺の部屋に来た。
俺は、米が炊けていなかったので炊飯器に無洗米を入れて適量の水を入れ、一旦外に出る。油田バァと庁野さんで話し合い様だ。
なんやら、油田バァのブツブツとした歌が聞こえてきて、庁野さんの声も聞こえた。樹にすることはない。俺は紫煙を吐く。コンビニでライターを買い忘れたが、ここにも炎の塊は浮いていたのでよかった。
愛車のバイクの空気圧やガソリン量を見た。まぁ、大丈夫だろう。
ほどなく、油田バァの声は途絶えた。
「おわったよ。あの子も難儀な子だ。」
庁野はいなくなっていた。
「ありがとう、あとこの前のキュウリうまかった。」
俺は、そういうと
「あんたも、すごい子だよ。ありがとうね。」
意味深な言葉を残して戻っていった。
隣の表札に泥門という表札が新しくかかっていた。騒がしくなりそうだ。
そのあと、軽い夕食を創っているとベッドの下から、斧を持った男が出てきた。
お玉で撃退。
電話がうるさいので、電話線を抜く。
飯を食い終わり軽く酒をあおってから寝る。
体が硬直している。大分疲れたようだ。
上から女性が、恨めしそうに見ている。
アルコールの加わった眠気には勝てなかった。
夢の中で多くの化け猿に襲われた。勝ち残った。
早朝、支店長から緊急に呼び出しが有った。俺は、今日シフトが入っていないのに・・・

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