小説『ハイスクールD×D 史上最強の存在』
作者:黒鋼()

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どうもでゲス。

やっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっと、VSライザーですね。

展開早いモノなんて、十数話でライザーと戦ってますよね。

どんだけこの小説進行トロいんだ……。

30話でやっと闘い始めとか……。 しかも一話で終わらないっていうね、もう嫌ッ!(笑)

そんな小説ですが、よろしくですハイ。









第30話「終幕への決戦 人間VSフェニックス」







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リアスSIDE











「よう」



まるで最初からこの場に居たかの様に、何の前触れもなく現れたトキ。



「人間の小僧か? レイヴェルの奴、見逃したのか」

「テメェに愛想でも尽かしたんじゃねぇの? 素通りさせてもらえたぜ?」



ケタケタ笑いながら、トキは挑発の言葉を……、いえ、本音かも…。

青筋を立てて、震えながら怒りを抑えるライザー。

フェニックス家の才児とも言われた彼のことだ、ここまでコケにされた事など無いだろう。



――トキは強い――



それは紛う事無き事実だ。

最上級悪魔クラスの魔道士マストを、まるで赤子の手を捻るかの如く倒す程の実力者なのだから。

その強さは、魔王であるお兄様のお墨付きでもある。 並の上級悪魔風情では、話にすらならないだろう。

だけど、ライザーは普通などではない。 不死、フェニックスなのだ。



どんな傷をも再生し、全てを燃やし尽くすと言われる炎を司る?不死鳥?……。

つまり、ダメージが通らない。

神クラスの一撃か、精神が崩れるまでひたすら攻撃か……。



今のトキは、駒の特性によって力が封印されている。

確か…、1億分の1くらいになったとか……。



………厳しいわね。 さすがのトキでも……。

いえ、諦めてはダメ。 トキもそう言ってくれた。



あそこまで自信有りそうに言ったのよ? 何か秘策でもある筈…。

そう思って私はトキに聞くが……、



「秘策? ンな大層なモン考えてねぇぞ?」



………どうしよう?(泣)



「人間、最終警告だ。 死にたくなければ失せろ」

「そういうセリフは鏡に向かってほざく事をオススメするがな」

「死んでも文句は聞かんぞ…!」

「殺れるモンなら殺ってみやがれ三下ぁ!」



トキがライザーの怒りを煽りに煽って、憤怒がピークに達したその瞬間、ライザーの背中から巨大な炎の両翼が出現した!



「うっわ、超イカス……」



……この子は状況分かってるのかしら?



ライザーは完全に戦闘態勢だ。 対してトキは手をポケットに突っ込んだまま。

トキはそんなやる気に欠けた姿で、一歩前に出る。

そしてニヤリと笑い、私とアーシアに視線を向ける。



「リアス、アーシア、下がってな。 こっからは俺が()る」



ゾッとするほど綺麗な笑顔。 だが、その眼はまるで『獲物』を見つけた肉食獣そのもの。

あんな好戦的なトキは初めて見る。

冗談みたいに強いのは知っているが、彼の優しさはそれ以上によく知っているつもりだ。

いつも私達を気に掛け、助けてくれている。

今まで知らなかったトキの一面を見て、ビックリもしているが、嬉しいと思っている自分もいる。



でも……、あの雰囲気…、何処かで………?



「死なねぇんならどんだけ痛ぶっても大丈夫なんだよなぁ。さしずめ動くサンドバックってか? いいねぇいいねぇ!」



……分かった。 朱乃と同じ、ドSな感じだ。



トキの纏う雰囲気が変わるのと同時に、ライザーが巨大な炎を放つ。



だが、既にトキの姿は消えていた。

速すぎて視界に映らない。

いつの間にかライザーの頭上に移動しており、脳天に踵落とし。



――ズドォォォォォォォォォォォォンッ!――



明らかに打撃音では聞こえてはいけない音が辺りに響く。

アレ…、不死のライザーじゃなかったら確実に死んでるわね……。

衝撃波で空気が震えてるんだけど……。



「クソッ!」



さっきのトキの踵落としで弾け飛んだ頭部及び上半身が再生した矢先、毒づきながらも次から次へと巨大な炎の魔力を放つライザー。 

だが、その全てが掠りもせずに軽々と避けられる。



トキはライザーの攻撃を完璧に見切り、躱しながら打撃しているのだと思う。



何故『思う』なのか? 答えは単純だ。速すぎて目視出来ないから。

駒の特性によって力が制限されているにしてもトキの一撃の威力は凄いらしく、ライザーの再生速度が落ちてきている。



「コチラの攻撃さえ当たればッ……!」



苦し紛れにライザーは呟く。 その言葉が聞こえたらしく、トキは動きを止めて私達の前へと姿を現す。



「ほう? なら、当ててみろ」



絶対的な自信。



トキの表情はソレに溢れている。

自身の勝利を信じて疑わない。 いえ、その結果以外有り得ないとさえ思っているかの様だ。

コレは驕りでも慢心でも、ましてや油断でも無い。

トキはその様な事をするほど、甘くはない。 

でも、わざわざ敵の攻撃を喰らってあげる必要はない。 トキは一体何を……?



「ふざけやがって……! 死んで後悔しやがれぇぇぇぇぇぇッ!!!」



ライザーは魔力を一点に集め、炎としてトキに放った。



――ゴォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオッッ!!!――



見ただけで分かる程の超高温の強大な炎。 まさに地獄の業火と呼ぶに相応しい。

そんな攻撃がトキを丸々包み込む。



避ける素振りなど欠片たりとも見せず、トキはまともに喰らってしまった!



「トキッ!」



トキのいた場所に見たこともないほどの巨大な火柱が立っている。



「…フ、フハハハハハッ! 大口を叩いた割にはコレで終わりか人間ッ!」



フェニックスの業火。

人間は愚か、悪魔ですらこの灼熱の炎に耐えられる者はそうはいないだろう。

攻撃を受けたわけでもない私とアーシアですら魔力で防壁を出していないと、その場に居る事すら難しい程の熱量だ。



…でも、………何かが、おかしい。



グレモリーは本来、眷属に情愛を注ぐ家系だ。 それは私も例外ではない。

眷属のみんなの事は家族同然だと思っているし、眷属でない黒歌やレンもかけがえのない仲間だと思っている。

ましてや、トキに至っては私の想い人だ。



そんな彼が、あんなにも強力な攻撃を喰らったというのに、私の心は静かなモノだ。

この胸に抱く感情は何なのだろう?



心配? していないと言えば嘘になるが、それほどでもない。


怒り? 何に怒ればいいのか分からない。


安心? そう、コレだ。



何処かで安心しきっているのだ、私は。



『トキなら大丈夫』

『トキなら勝ってくれる』



心からそう思ってしまっている。

出会って間もないというのに、私はこんなにもトキを信頼している。

コレが惚れた弱みというモノなのだろうか。



他人任せと言えばそれまでだ。

でも、まさか自分がどれほどトキに惚れているかを闘いの最中に再認識するなんて、どうかしてる。

昔は、男なんてどれも同じにしか見えなかったというのに……。

『恋とは人を変える』というけれど、ここまで変わるとは自分でも驚きだ。



……今の状況としては、


トキ   ――安否不明

ライザー ――かなり疲労しているが、戦えないほどではない

私   ――満身創痍

アーシア ――そもそも戦闘要員ではない


といった所だ。



私の眷属でリタイアした者はいない。 対して向こうは『王』であるライザーだけ。



でも、悔しいけれど、トキがいなければ私たちが束になってもライザーは倒せないだろう。

それほどフェニックスの不死は強力だ。

可能性はトキにだけ。 ならば私たちのすべき事はトキを信じることだ。



「…ふう、あの人間は想像以上に厄介だった……。 奴が油断しなければこの俺でも厳しかっただろう。

 コチラは俺一人のみ…、だが勝敗は決まっている! 勝つのは「俺だろ?」……ッ!」



――ゴバァァァァァァッッ!!!――



ライザーの言葉を遮り、トキの声が聞こえた瞬間、巨大な火柱が消し飛ばされた!?



そして灼熱の炎から出てきたのは、神々しい光を放つ五尺程の大太刀を片手に、紅と黒の艶やかな着物を纏うトキだった!







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