小説『おひナイ』
作者:五月雨桜花()

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 着替えた後、午前中は泳ぎまくった。

 姫華はたびたび俺の方を盗み見して来て、そのとき俺の目が他の女の子の水着に向いていると横っ腹をつねられた。

 そんなのは一度で十分なので、それからは極力他の女の子は見なかった。一回目だって奏を見ていただけだしな。

 なぜなら……。



 ……………………………………………………



 俺の視界に姫華が入った途端呼吸が一瞬止まった。

 水着なんてどれも同じだろ? とか、買う時に一度見てるからどうってことないだろ。とか、考えていたことは全て消し飛んでしまった。

 姫華の水着は赤いビキニで、下が片方で縛るスカートみたいになっている奴だった。元々スタイルも良いし、似合うとは思っていたが実際に着ているのを見ると良い意味で言葉を失う。

 強調された胸から、腰までのくびれたライン。スカートの裾から覗くスラッとした足。ワンポイントのようにいつもの様にまとめた髪には、渡した髪留めをしていた。後ろ姿で見えるうなじ。そして、渡した髪留めをちゃんと付けている健気さなどが一気に押し寄せて来た。

 再び呼吸を始めるまでの数秒間、頭の中は真っ白だった。やはり俺は姫華に弱いなとそのとき改めて思った。

 意識を取り戻した俺の頭は先ほどとは違って冷静になっていた。

 さり気なく「似合ってる」と声をかけ、気合いを入れ直す。

 昨日も誓ったじゃないか。これ以上絶対に、俺の大切な―――を傷つけないって。何からも守ってみせるって。

 だから俺は……。

 手始めに「サイッコーだよ!」と言いながら、姫華に抱きついた。



 抱きつけはしたが、放した後でビンタされた……。

 でも、俺は負けないぜ!

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