小説『おひナイ』
作者:五月雨桜花()

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 プールに入る前にすることと言ったら……。

 まず着替えだよな!

 ちなみに今回の男女比は一応3対3だ。

 ……だが、厳密に言うと2対4。つまりスバルは女だが男子更衣室に行かなければならない訳だ。

「ジ、ジロぅ……。ヨ、ヨル……」

「? なんだ。忘れ物でもしたのか?」

「い、いや……その……」

「ジロー、スバルは女だぞ。それとここは男子更衣室だ」

 一応小声で言ったぞ、スバルの秘密がバレるとまずいからな。

「………」

「どうするよ?」

「……わかった。俺が引っ張って行くからおまえは目を閉じてろ。それなら入れるか?」

 ジローのその案にスバルは小さくうなずいた。

「あとヨル、フォロー頼んだぞ」

「了解だ」

 ……………………………


 ……………………………

 着替え終わって更衣室から出た、スバルとジローは先に行ってしまった。

「遅かったですね」

 更衣室から出る直前に声がした、姫華のもののようだ。

「男子更衣室で女のスバルを着替えさせるのに手間取ってな」

 しかし、姫華の姿は見えない。逆光で影がかろうじて捉えられる程度だ。

「着替えさせるって、何かいけないことでもしてたんですか?」

「奏の影響を受け過ぎじゃないか? 最近までそんなこと言わなかっただろ」

 だがそれがいいことだと思える。

 ……可笑しいことかもしれないな、それでもあの時に比べれば断然いい。後で感謝しとかないとな。

 そんな事を思いながらも一歩ずつ前に進んでいる。

 そして姫華が視界に入った。

「っ……………!」

 一瞬、呼吸が止まった。

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