小説『革命委員会』
作者:遊革()

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2019年、この世は腐りきっていた。皆が皆、向上心も無くただ平凡に寿命がくるのを待っている。このままじゃ人類が地球から消え去るのも時間の問題だろう。これはその運命を変える為戦うため少年少女の物語。

「こんな世の中、僕が・・・僕らが変えてやる・・・」
自分に言い聞かせるように紅尾一樹[くお かずき]は呟いた。一樹は高校1年生だが平日にもかかわらず高校へ行かず、今こうしてとある廃工場の一角に座っていた。
この工場には今、一樹を含め七人の”革命委員会”がそれぞれの学校の制服姿で集まっていた。
”革命委員会”それは朽ち果てていく人類に警鐘を鳴らすために生まれた異能力者集団。彼らの目的は唯一つ人類が朽ち果てていくのを加速させるような政治を続ける”世界連合政府”に対しての武力革命を成功させる事。どうして彼らのような人外が生まれたかは彼ら自身にも分からなかった。だが、このままでは人類が滅ぶことは分かっていた。
だから、彼らは動く。世界を変えるため。
「そうだな、紅尾君。実に君の言う通りだ。我々は世の中を変えなくてはならない。その為には今までの様なミジンコの様に小さな事をやっても意味が無い。分かるね?」
「ハイ、副委員長」
紅尾が副委員長と呼んだ男、男鹿晃(おが あきら)高校3年生はとぼけた様にも大人びた様にも見える顔を紅尾に向けると同志全体にゆっくり今回の革命内容を話し始めた。
「よろしい。それでは今回の目的を説明しよう。簡単に、かつ簡潔に言ってしまうならこうだ。現金輸送車の強奪、タイトルを付けるならば〔資金集めと政府への打撃〕」
男鹿の言葉に何人かの口から口笛やら歓声が聞こえるが、一樹は男鹿が話し終えるのを待った。
「落ち着け諸君。この輸送車は世界的銀行へ金を送る輸送車だ、それなりの警備もついている。しくじれば、ジ・エンドだ、油断は許されない。しかし、その分成功すれば我々革命委員会の名は一気に世界に轟くだろう。今回の革命には委員長含める6人は参加しない、我々だけでやらねばならないのだ」
「これから2時間後、また会おう諸君」
男鹿は一息ついてから静かにそういうと姿を消した。
一樹たちが使う異能力には身体能力を飛躍的に向上させるSOW(ソウ)と一人一人違うREY(レイ)の二つがあり男鹿がいま使ったのはREYだが、一樹は革命委員会のREYを誰一人知らないので男鹿が一体どういう能力を使ったのかは分からなかった。
「要さんは来ないのか・・・」
紅尾は今回の革命に参加しない革命委員会委員長棋王要(きおう かなめ)の名を呟くと革命までの2時間、体を休めるため一人暮らしのアパートへと歩みを進めた。

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