小説『いちかの鍵』
作者:いちか()

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湿っぽい部屋のさびれたピアノ
誰もいないブラックルーム
泣き叫ぶようなピアノの音が
聞こえたような気がした

黒い空間の壊れたマイク
スピーカーは私が壊した
私の声は誰にも届かない
全部私のせいだ


私はあなたの役には立てない
だけどあなたの幸せを祈るよ
あの子と一緒にあなたが
幸せになれたらそれでいいよ


叫ぶようなピアノに合わせて
悲鳴のような歌をうたおう
お気に入りの黒いドレスは
あなたとの思い出のメロディー

叫ぶようなピアノはあなたが
初めて弾いてくれたあの歌で
この歌に言葉をつけたのは
確かそう私だったかな

-7-
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