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出られない。ここから外に出られない。
来ては行けない場所に来て、
閉じこめられた。
帰れない。
私は二度と、帰れない。
どうしよう、どうしたらいいんだろう。
梅の甘い突き刺すような匂いが、
鼻孔から頭のてっぺんへと抜け、
私の頭を茫洋とさせる。
ああ、融けてしまいそうだ。
くるくると回る。
終わりを求めてくるくると回る。
逃げているのは少女か鬼か。
追いかけるのは鬼か少女か。
白く細かい花々が華やかに舞い、
時間の感覚も、上下の感覚も、自分がだれなのかすらも、そのとろけるような匂いが忘れさせる。
歩き続け、
角を曲がり、
そしてようやく少女の姿。
ああ見つけた。ようやく見つけた。
今度はあなたが鬼のばん。今度は私が逃げていく。
鬼さんこちら、手の鳴る方へ。
髪の長い女の子は、何も気付かず歩いている。
私はそっとそっと近づき、
その華奢な肩に手をのばし