小説『IS ―世界を守護せし狂王―』
作者:悪名高き狼()

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 第六幕 - 幻の -





 『威風堂々』


俺がアイツを始めた見た印象に対して
その言葉はピッタリだと思った。

一歩一歩、教室の入り口から歩く様は見る人を引き付ける。
と言うか、この状況でアレだけ堂々としていられるなんて
正直、羨ましい。

ふと、そんな事に思考を費やしていると俺と同じくらい
短い自己紹介が終わり周りを見渡していた『ライヒアート』と目が合う。
深い海を連想させる瞳に呑み込まれそうになる。

するとライヒアートは笑った。
思わず俺も笑顔を返す。
変な顔になってなかったかな?


―――でも・・・何だろう、変な違和感が・・・


織斑一夏がそう思うのも無理もない。
実際、ラインフェルトは織斑一夏に対して
好意的で笑みを送った訳では無い。
むしろ嘲笑うように笑っていたのだから。


―――織斑一夏。お前は、お前の世界でどう――――――その時。


「「「「キャーーーーーーーーーーーーッ」」」」


キ−ンと耳が鳴る。
何処からそんな声が出ると言うんだ・・・


「男子!織斑君に続いて二人目の男子!!」

「しかもウチのクラスなんてツイてる!」

「クール系でミステリアス!」

「記憶喪失で、どの国を探しても彼の情報は無い!」

「そんな彼に付いた異銘が・・・」

「「「「幻の美形!!」」」」


・・・またそれか。
何だ、正体不明・身元不明人物にソレを付けるのが
世界共通用語なのか?


「静かに!諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えて貰う。その後実習だが、基本動作は半月で体に染み込ませろ。いいか、いいなら返事をしろ。よくなくても返事をしろ。」

「「「「はい!」」」」

「随分な慕われようだな。こんな暴政があっさりと受け入れらるなんてな。」

「何か意見があるのか?フレグランス。」

「いいや別に。特には無いさ。」

「ならサッサと席に就け。お前の席はアソコだ。」


そう言って織斑千冬が窓際の一番奥の空席を指さす。
その先に視線を向ける。
途中で長い金髪に青いイヤ―カフスを付けた少女と目が合う―――――が
特に興味も無かった為、私自身から逸らし席へと向かう。

すると今度は長い黒髪でポニーテールの髪型をしている凛とした
少女と去り際に一瞬だけだが眼が合う。


―――何か可笑しい事でもしたか?


疑問を抱えつつも指定された席へと向かい、椅子に腰かける。
周りのこむ・・・女子生徒達から小声の話し声が聞こえる。
気になどしないが、正直鬱陶しくはある。
言いたい事があるならハッキリ言えと彼は思っている。

しかし彼女らには無理な話だろう。
彼からは他を圧倒するような、近づきたがい雰囲気を感じているのだから。
彼自身はそんなモノは放っているつもりは無い。
それこそ彼の出生に関わって来るが事だが今は置いておこう。

その間も淡々とISについての授業は流れていた。
時折、彼の少し前側の席に付いていた金髪の少女が此方をチラチラと見ていた。

-6-
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