小説『IS ―世界を守護せし狂王―』
作者:悪名高き狼()

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 第五幕 - 初見 -




織斑千冬の担当する一年一組の教室にに続く廊下を進む。
先程、会議が終わって今はSHRの時間らしい。

担任である織斑千冬が会議に出席するので、副担任である
『山田真耶』に代わりを頼んでいた所を見ていた彼は

任せて大丈夫なのか?と横目で見ながら思ったそうな。

そんな不安をよそに彼女は『任せてください!』と
張り切って職員室を出て行った。

彼の山田真耶に対しての印象は『子供に見える大人』である。
と言っても彼からすれば皆、子供の様なモノだ。


「着いたぞ、ここだ。」


立ち止まり、親指をたてて示す。
廊下からは中の様子は見えないが教室内からは生徒たちの
自己紹介であろう声が漏れていた。


「私が先に入る。呼ばれるまでココで待っていろ。」

「一緒に入ればいいだろ。二度手間な・・・。」


ため息をついていると、教室の中の雰囲気が変わる
静寂が僅かに続いた時だった。


『えー・・・えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします。』

「・・・・はぁ。」

「お前の弟か?」

「あぁ、恥ずかしながら我が愚弟だ。」


その表情は心底呆れ切ったモノだったが、自己紹介なんてものは
そんなものだろとラインフェルトは思っていると。


『以上です!』


がたたっ。とモノが、いやこの場合は人か。
ともかく人が椅子から転げ落ちた音が響く。


「何を期待していたと言うんだ・・・。」


呆れ切っているラインフェルトは隣にいる
織斑千冬の方へと視線を向ける――――――――――――が。
そこには居るはずの人物は居なかった。


パァンッ!!


突如、鳴り響く炸裂音。
オイ待て。何でどう殴ったらそんな音が出る。
視覚による情報は入ってこない訳であるからある意味で恐ろしい。


『げぇっ、関羽!?』

『誰が三国志の英雄か、馬鹿者。』


更にもう一発。
本当に人間か、あの女。
それにしても――――――。


「関羽か・・・似ていると言えば、似ているか。」


とある世界。『天の御使い』に仕えた蜀の武神。
“美髪公”と呼ばれた彼女の事を知ってか知らずか
織斑一夏の姉に対する発言に共感を覚える。


―――まぁしかし、アイツの方が可愛げがあるな。


廊下の中から見える外の景色をみる。
教室からは織斑千冬の暴力発言が漏れて聞こえてくる。
十五の小娘――――小僧もいたか。
兎に角、そいつ等に言う言葉じゃないだろうな。
こんな甘い奴らに『人を殺せる兵器』を扱えるとは到底思えない。
こいつらは世界を知らなさ過ぎる。
いくらISが――――――――。


キャーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

「・・・・・・・・。」


狂信者か。
耳を貫く黄色い声援が響いたのち休みなく続けられる
少し危ない発言の数々。
オイ、今結婚してくださいとか言った奴。
悪い事は言わん。一時の感情で動く事は良くないぞ?

やはり、モンド・グロッソと呼ばれる大会で優勝した。
それが一番の要因だろ。
何せ『ブリュンヒルデ』などと呼ばれ幅広く慕われている位だからな。


パァンッ!


コレで三発目。
銃声にも似たその炸裂音はまた、織斑一夏の頭に
叩き込まれたのだろう。気の毒に。
たしか一発で脳細胞が五千死滅するとか俗説があったな。


『さて、諸君らに紹介する人物がいる。』


教室内か自分に関する単語が聞こえた。
漸くかと呟きながら教室のドアの前まで移動する。


『入って来い。』


織斑千冬の言葉を合図に静かにドアがスライドし彼の道を開く。
織斑千冬と目が合う。
相変わらずその表情は私を苛立たせる。

しかし、今は気分が良い。
漸く会える。『織斑一夏』に。

自然と開けられる道。

件の少年の前まで歩き、止まる。
他から視線を感じるが如何でもいい。
今はそれより期待の方が大きいから。


「ライヒアート・フレグランスだ、よろしく。」


軽い挨拶。
部屋全体を眺めると、目当ての人物へと視線を下す。


―――織斑一夏。貴様は私に何を魅せてくれるのかな?


舞台は整った。

今、この時を持って

舞台は幕を開ける。

-5-
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