小説『続・黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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前書き
えっと何時ラウラが隊長になったかという疑問をお持ちの方もいらっしゃる内容になると思いますが、この作品では千冬が来る前に隊長になったいるが強さは追い求めている――という感じで設定しています。

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第一四話


SIDEクラリッサ


 私はあの後彼に・・・その、マンガとかでしか見たことが無い抱かれ方をして医務室に来た/// あれは純粋に恥ずかしかった///

 負けた。それも圧倒的な差でだ。普通の人間、一般市民と変わらない格好で最強の兵器ISに挑み勝った。それも普通とはあまりにもかけ離れ過ぎた。

クラ(・・・砲弾をあんなにする人間がいるか?)

 男は弱い。男は軟弱。それが私の抱いていた感情だ。ISが登場していこう社会は大きく変わった。政界、経済界とわず一般社会にまでそれは変わった。

クラ(でも、彼は違った。言葉一つ一つもそうだが最初に放った言葉も意味があった。冷静に考えれば確かに私たちはどこかISを過剰に頼り切っていたのかもしれない。ISにはIS、それ以外無駄。でも実際は違った・・・・)

 彼という圧倒的な力の前にISは崩れた。いや、ISではなく私がだ。

――コンコン

ラ「クラリッサ、私だ。良いか?」

クラ「はい! どうぞ!」

 すぐにベットから立ち敬礼しようとしたが、隊長がそれを止めた。

ラ「さて、早速だが彼をどう見る?」

 やはりというべきだろうか。

クラ「はい。もはや最強としか言いようがありません。隊長も見たかと思いますがあんなこと生身の人間が普通出来るわけがありません」

ラ「そうだな。あの強さどうやって極めたのだろうか」

???「知りたいなら教えるが知らない方が世の中あることもあるぞ」

 いきなり男の声が下の出入り口の方を見るとそこには彼と織斑教官がいた。

 隊長は立ち敬礼をし、私は失礼だがベットから敬礼した。

千「楽にしていい。それより葵何をするんだ?」

葵「ん? あぁヒーリングだ」

 ヒーリング? 治療をするというがなにをするんだ? 私は十分に医務官から治療を受けていると思うんだが。

葵「なに、腹部へ重いのを与えてしまったからな。治そうと思ってな」

ラ「ですがそれだけなら織斑教官はいらないはずでは?」

 すると、神無月がまたかみたいな顔をした。

葵「念には念だ。いまの世の中で私がどういう立場かは分かっている。変なことをしないようにするための監視と、相手が嘘をつくかもしれない監視だ」

 なるほど。

葵「すまないが腹部を見せてくれるか」

 私はうなずき服を脱ごうとしたところで、

葵「何全部脱ごうとしている!? その部分だけでいいからな!? 恥じらいを持ってくれ頼むから///!!」

 何を言っているんだ? 脱がないと治療できないのでは? まぁ言われた通りその部分だけを見せると多少の腫れはあった。

葵「・・・すまんな、派手にやってしまった」

クラ「いえ、これも教導だと思えば」

葵「そう言われると助かる。少し気持ち悪いかも知れんが許せ」

 彼は申し訳なさそうにそう言い右手をその晴れの部分に当てる。最初は痛みがあったが彼の手はひんやりと冷たく気持ちよかった。

葵「(ブツブツブツ)」

 彼は小声で何かをつぶやくと右手がかすかに緑がかった光を放つ。

ラ「な、なんですかそれは?」

葵「ヒーリング。一種の特殊能力(?)みたいなモノだと思ってくれ」

 そういって腫れの部分にしばらく当てる。その光は暖かく、まるで日光浴をしている気分だった。

葵「よし。おわったぞ」

 そういって腹部を見ると腫れはすっかりと収まり跡かたもなく消えていた。

千「確かにあれは気持ち良かった。病み付きになる気分だったからな」

ラ「織斑教官は受けたことがあるんですか?」

千「あぁ。彼に剣を教わっているからな。怪我の無い日など無かった。顔、腹、脚、腕、背中様々な部分に怪我があったが、そのたびに彼の先ほどの術で治してもらっていた」

 それを聞いた私たちは驚いていた。怪我の部分ではなく教官が彼に剣を教わっていたことにだ。つまり、彼女をここまでに成長させたのは彼がいたからだ。剣にしろ何にしてもそうだが教える者は生徒よりも経験、術、知識、知恵全てにおいて上回っていなければならない。つまり彼は教官よりも優れているということだ。

ラ「そ、それで教官は勝ったことはあるのですか?」

千「あるかバカ者。勝てたら奇跡だ。何度も挑んでいるが勝ったことなど無い。IS装備してもそれはハンデにもならない」

 先ほどから驚きの言葉ばかりだ。

 それを聞いてきた隊長は何かを考え、そして彼の方を見てこう言葉を放った。

ラ「・・・・神無月、強さとはなんだ?」


SIDEout


SIDEラウラ


ラ「・・・・神無月、強さとはなんだ?」

 私は知りたかった。どうすればあのような強さを得ることが出来るのか。どうすればそこまで強くなれるのか。彼の強さは人の域を凌駕していた。あそこまで強くなるにはどれほどの訓練を受けたのか。

 その言葉を聞いた彼は少し悩んで、

葵「必要無いモノだ」

ラ「え?」

千「どういう意味だ?」

 これには私を含め、織斑教官、クラリッサも驚きの表情だ。

葵「明確な志がある者はいい。だが、無謀な志やそれが無い者にとっては必要ない。もしないにもかかわらずそれを使うと暴力になる。ラウラ、お前にはそれがあるのか?」

ラ「ある。私は軍人だ。なら守るべきはドイツと言う国家だ」

 すると葵はやっぱりといってため息をついた。

葵「ラウラ私は今から言う言葉は個人と軍人として言う。まずは軍人として言う言葉はお前がそのままその志を通すなら軍人をやめろ」

ラ「何故だ!?」

葵「軍人がすべきことは国、すなわち政治家を守るのが仕事ではない。国家とはすなわち国を運営する腐った政治たちのことを言う。まぁしっかりした者はいるがな。軍人の役目は国民をありとあらゆる災いから護ることだ。決して【国】ではなく【国民】を護るんだ」

 確かにそうだ。いつも政治家どもは【国家国民】と言うが順序で言うなれば【国民国家】民あっての国であって国あっての民ではない。ならば軍人が護るのは・・・・

ラ「民」

葵「そうだ。そして、個人で言うなれば・・・・そうだな。いい例があるから昔話をしよう」

 彼は以前にその強さを求めた一人の英雄の話をし始めた。何故英雄なのか。彼が言うには大戦を生き抜き、そして死んだというそうだ。

葵「その英雄は【世界を守る】ために戦った。それが彼の当初の志だった」

千「だった?」

 その英雄はあるとき友が戦場で死んだとき気がついたらしい。彼が本当に戦っている理由を。

ラ「何だったんですかその理由は?」

葵「大切な者を護りたった。それだけだったといっていた。だが、途中で戦う理由を変えるわけにはいかなかった」

クラ「何故ですか? 変えれば――」

葵「彼の下に集った人間は彼の言った当初の理由【世界を守る】ために集まった。【大切な者を守る】になったら離れる者もいる。それだけでなく途中で理由を変えるだけでも混乱が起こる。そこに敵が突っ込んできたら負ける。それが怖かったらしい」

 その後も仲間が散りいっているのにもかかわらず、本当の志を掲げることが出来ず、偽りの志で戦い抜いた。

葵「志を偽り続ける彼は戦っている中でも心が痛み、仲間が散っていく度に己のせいだと己を追いこんでいったみたいだった」

ラ「そんな・・・・」

 その後、戦が終わり皆喜んだ。だが、

葵「戦いが終わったと思ったら世界は彼を殺すように事を運んでいた」

千「な、何故そんなことを!?」

クラ「彼がいたから世界が助かったのでは!?」

葵「想像してみろ。ISがこの世に一機しか無ければどうする」

千「・・・・なるほどそういう意味か」

ラ「どういう意味ですか?」

千「ISがこの世に一機しか無ければ世界はISを共同管理するか」

クラ「破壊してなかったことにする―――ですか」

葵「そうだ。人間は大量生産することはできない。だから世界は独占しようとした。だが、同時にもし別の国がそいつを占有したらどうなるか。なら、いっそうのこと殺してどこにも占有させねばいいのでは。と考え殺すように手を組んだ。それは彼が力が強すぎたためだ。ラウラ、何が言いたいか分かったか?」

 簡単に言えば強すぎれば狙われ、志をしっかりと見つめないと本当に力を使うべきモノに使えない。

葵「だが、何故そんなに力を望む? あっても厄介なだけだと思うが」

ラ「私は強くないと存在する意味がない。だから力を望み、強くなりたい」

 私は試験管ベイビー、兵器として作られた存在だ。

葵「ならその意味も教えてやる。お前が何者かは知らないが、そんな理由で教えるわけにもいかないからな。それは危うい理由だ。だから教えてやる」

 彼は明日アリーナに来るように残しその場を去った。


SIDEout

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