小説『続・黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第一八話

 あの准将へのO☆HA☆NA☆SI事件から二日後、黒ウサギ隊(主にラウラとクラリッサ)への特訓が開始された。

葵「休むな! 走れ走れ走れ!」

 えっと、今現在基地に併設されている滑走路の周りを走っています。ざっと3周。

葵「いいか!? ISが起動しなかった場合お前らはどうやって逃げる!? 己の足だ!
いざとなったら敵につかまらず逃げれるようにしろ!」

ラ・クラ「「はい!!」」

 ちなみに他の面々は大体1.5周当たりでくたばった。ちなみに私と並走している千冬は
けっこうまだ余裕がある。まぁ鍛えるだけ鍛えたしな。

 ちなみに他の黒ウサギの隊員もあの一件以来信用し、信頼を寄せてくれるようになった。

 その後、ISを装備した状態で実戦訓練を行った。差がある者同士での一対一、一対多、多対多。ありとあらゆるケースを想定して行った。

 で、今は、

葵「何故私の訓練に興味があるんだ?」

 訓練も終わり清掃をし終え解散となった。清掃はその場に感謝することを忘れないようにするためだ。まぁその話は置いといて、久々にIS以外の戦闘に慣れておくために仮想敵を想定して訓練しようと黒騎士を展開すると、

ラ「あの神無月教官。なぜ今武装を?」

 とラウラが聞いてきた。ちなみにあれから神無月から教官がプラスされた。ちなみに他の隊員からも教官や下の名の方で教官がつく。やっぱり神無月は呼びにくいらしい。

クラ「確かにそうです。訓練は終わったはずですよ?」

葵「まぁ感覚を鈍らせないようにするためかな」

ラ「! で、では今から神無月教官が己のための訓練をするんですね!!」

 なにやらラウラの目がえらく輝いているんだが・・・

クラ「確かに興味があります!」

クロ「私もだ。どんなことをするのか楽しみだ」

千「私もだ。葵の練習は初めてみるからな」

 その言葉に他の隊員のメンバーはむろん、クロイツや千冬までもが加わった。

葵「・・・好きにするといい。だが邪魔はするなよ」

 その言葉に喜び、そして、はいと大きく返事をする。

 さて、仮想敵はどうするか。・・・・うん。久しぶりにあいつで行くか。


SIDE観戦者


 葵が武装(両翼刀)を出し構えると、彼はすっと目を閉じた

ラ「・・・・何をするんだ」

クラ「おそらく仮想敵を作り一連の動きをする。それに対応した動きを繰り返す。と言った感じでしょうか」

 大体はあっている。だが、これから葵が立ち向かう仮想敵はおそらくISをもってしても叶う相手ではない。その者一人でも手に入れることが出来ればその国の軍事力は飛躍的に上がるだろう。

葵「ッ!!」

 すると彼は剣を振るい攻撃を仕掛けるような動作をする。距離はおよそ50M開いていたにもかかわらず瞬きをした次の瞬間には先に行っていた。

クラ「はやい!」

 しかし、彼の表情は失敗をしたような表情だった。そして次は回避、だが動きは最小限、それもぎりぎりだ。

千「・・・(あの動き、避け方、剣の振るい方・・・)なるほど」

クロ「お前はどうやら彼が相手している者の獲物が分かったみたいだな」

千「予想・・・ですが」

 その言葉に隊員が一斉に千冬の方に視線を動かす。

千「おそらく格闘、拳で戦う物でしょう。しかも相手は女」

ラ「ですがあの動きだけでは何も」

千「分かるようなもんではない。感じろという抽象的な言葉だが今回は言い得て妙だ。よーく感じてみろ。相手が次第に見えてくるぞ」

 その言葉にラウラ、クラリッサ、そして黒ウサギ隊の隊員たちは千冬の言われるままにしてみる。すると、

ラ「・・・・?!(見えた!? まさか・・・・)」

クラ「体つきが見えた・・・・・それだけ格闘家・・・しかも世界チャンプなどではない、あれは・・・術者!?」

 術者、いわゆる剣道ではなく剣術を極めた者。つまり競技として極めたのではなく殺すために極めた。

クラ「あの動き半端じゃないぞ!?」

ラ「しかし神無月教官はなぜ回避ばかりするんだ? あの方ならいつでもカウンターを出来るはず」

 それに応えたのはクロイツだった。

クロ「予想だがあの黒騎士は防御面においては低い。ただし攻撃、速度においては群を抜いている。だから速度を生かし回避をすればダメージを喰らうことなく反撃に出る。防御をすれば少なからずダメージを喰らう上に相手の攻撃から抜ける隙を見逃すことがある。それに見ろ」

 そういってクロイツが言うと葵は剣を構え直し、蹴りで相手との間合いを取ったと思われた次の瞬間、

葵「シッ!」

 連撃を開始始めた。動きに無駄は無く的確に急所を狙いつつ、相手に攻撃の隙を与えない。仮想敵は回避していたように思われるが、しだいに追い込まれていった。

葵「ちっ!」

 おそらく相手も間合いを取りなおしたのが、それを逃がす葵ではなかった。黒翼刀を投げ相手の動きを止める。そして、

千「なっ!?」

ラ「再生!? 違う、もう一本呼びだしたのか!?」

 葵はすぐさま黒翼刀を取り出し間合いを詰め再び攻撃を開始する。

クロ「・・・・速いな。出すまでの時間わずか0.0023秒。あれなら連投しても問題ないだろ」

クラ「中距離においては弓矢があります。それに多少距離が相手も投擲で動きを止められ、追い討ちをかけるように刀を呼びだし攻撃。あの速度ならISでも逃げ場は無いでしょう」

 それからしばらくすると、恐らく勝利をしたのだろう。攻撃が止み訓練が終わる。


SIDEout


 訓練が終わり、一息入れていると、

ラ「きょ、教官!! あれはどうやって行ったんですか!?」

葵「あれ?」

千「剣を素早く出したことだ。どんなに早く訓練したやつでもあそこまではできないはずだ!」

 あぁ、あれね。創造した―――と言えれば楽なんだが、

葵「あらかた【剣】とだけイメージしておくんだ」

クラ「イメージ?」

葵「そうイメージだ。どのような剣(・・・・・・)では無く、ただの剣とだけイメージすれば後は勝手にISの方が出してくれるというわけだ。ただし これは剣が一種類しかない場合だがな」

 剣オンリーとかでも構わないと思うが剣が二種類も三種類もある場合は具体的にイメージする必要がある。じゃないとその時に欲しい剣が出てこない場合がある。

クロ「なるほどな。こいつらもこのようにして武器を選択すれば短時間で武器を変更できる。なら訓練して慣れさせるしかないというわけか」

葵「そりゃそうだろ。百聞は一見にしかず、習うより慣れろ。そういうことだ」

 その後訓練項目に高速切替も加わった。まぁ、会得するのには時間がかかるだろうがこいつらならできるだろ。

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