小説『続・黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第二六話


 ・・・・痛い、キツイ、しんどい。今ありとあらゆる精神的な痛みが一斉に襲ってきている。なぜかって。そりゃ。

全員「ジ―――っ」

 IS学園一年一組。まぁIS学園、簡単に言うのであれば女子校だ。篠ノ之式ISは女性にしか使えない。例外はあるがそれでもいまだに約99%が女性にしか使えない。そして当然のことながらこの一年一組も例外ではない。この組の生徒の99%は女性なのだ。

葵「はぁ〜」

 あぁ。ガーディアンが懐かしいな。六課が懐かしいな。元気にしてるかな〜。

 と、ちょっと現実逃避に走ってみた。まぁドイツにしろアメリカにしろちょっと一歩外に出たら軍関係者に男性がいた。だが、ここには一歩出ようが十歩出ようが女性しかいない。

葵「・・・・(用務員のおじさんか、十蔵にでも話し相手になってもらうとするか)」

 男性と話す機会を模索しているうちに山田先生が次々と話をしていた。そして山田先生の自己紹介も聞いていた。

真「はい、私はこの一年一組の副担任の山田真弥です。一年間よろしくお願いしますね」

 一夏いわく下から読んでもやまだまや。そしてあのマスクメロンはどうやったらあぁなったか不明であり神は不条理だといっていた。ちなみに私も知らん。女性のシンボルに関しては専門外だ。聞くとしたら蓮鏡様当りだろうな。まぁそれは置いといてどうやら次のプログラムは自己紹介に移ったらしい。私は一夏のすぐ後ろ、と言うかこの間の【か】から始まる名字はいなかったのか? 川井とか川内とか葛西とか桂木などいろいろいるだろ? 【あ】〜【を】すっ飛ばしていきなり【ん】って。そう考えていると、

真「じゃあ次は・・・織斑さん」

一「はい!」

 元気よく答え立ち上がった。本当に元気な子だと思う。まぁどんな自己紹介するんだろうな一夏は。

(ん〜。大体予想は出来ますね)

(あぁ。たぶん)

リイン「〈そうですね。多分はやてちゃんたちも同じことしそうです〉」

アギト「〈いや。最後に葵の妻、愛人、子供って自慢げに言うと思うぜ?〉」

エ・ル・リイン((「〈確かに〉」))

 な、なんだ? 何が起こるんだ? お前らの予想はどんなんなんだ? 参考にしようと思うがまずいのか? などと思考を巡らしていると、

一「えっと名前は織斑一夏です。趣味は料理です。好きなモノ、物? 者・・・好きな人はお兄ちゃんです! 将来の夢はお兄ちゃんの御嫁さんになることです!」

葵「ぶふっ!?」

エ・ル・リイン・アギト((「〈「〈やっぱり〉」〉」))

 私から見れば予想より斜め上、いやあまりにもずば抜けて予想外だったので吹いてしまった。そして、クラスからは「お兄ちゃんって誰?」と言う声と「近親相○」などまずい発言もあった。だが、それもすぐ来た人物によって粛清された。

――スパァアアン!

一「い、いたぁ・・・・」

 あまりの痛さに一夏はしゃがみこんで、その痛烈な一撃を与えた者は堂々と、そして凛々しい姿で彼女を見ながら、

千「なにを公衆の前で堂々と言っているんだ織斑(くっ、この立場でなければ私だって)」

 まぁ千冬だな。

一「お、おねえちゃ「スパァアアアアアアン!!」っ〜〜〜〜〜」

 もはや声にもならないようだ。と言うかあの出席簿でよくあそこまで景気良くならせるな。あんな音普通ならないぞ。

真「あ。織斑先生、ファイルス先生会議の方は終わられたんですか?」

ナ「はい。お疲れ様です山田先生」

千「あぁ山田君。クラスへのあいさつを押し付けてしまって申し訳ない」

そういうと千冬は教壇に上がり、

千「諸君、私が織斑千冬だ。君たちはまだ卵からかえってすらいない。私は一年で君たちを卵の殻を破らせ孵化させ、ひよこに育て上げることだ。この意味がわかるな? まぁ例が入るが関係は無い。出来ない者にはできるまで指導してやる。逆らってもいいがわたしの言うことは聞け。いいな」

ナ「あらあら。独裁者みたいな子と言うのね」

 ・・・なんというお言葉だろうな。文句は聞いてやるがだがやれといっているもんだ。まぁそれがいいのだろうがな。と言うかファイルスよ。クラスの前でそれは無いだろ。

女子生徒「・・・・・き・・・」

 あぁ。これは耳をふさいだ方がいいな。そう思い耳をふさぐと、

女子生徒『きゃああああああああああああああああ!!!』

 あぁやっぱり。と言うか防いでも痛い。

女子生徒「本物の千冬さまよ!」

女子生徒2「美しすぎます!」

女子生徒3「ずっとファンでした!」

女子生徒4「私お姉さまにあこがれてこの学園に来たんです! 沖縄から!」

女子生徒5「私なんてお姉さまのためなら死ねます!」

 それはすごいな。でも北海道もいれば海外から来た人間だっているんだぞ? 私なんてまさかアメリカから呼び戻されるなんて思って無かったからな。そしてファイルスの一言完全無視とはある意味すごいな。そして最後のやつ、精神科医いけ。ちょっと、いや大分、いやかなり、と言うかもう危険域にいるから。

 黄色い声をあげながら騒ぐ女子生徒を見て溜息を吐く千冬、この場合は織斑教諭と言うべきか? まぁ心の中では千冬と呼んでおこう。そしてにこにこと笑顔を絶やさないファイルス、そしておろおろとどうすればいいのか分からないような感じで動き回る山田教諭。

千「はぁ、毎年よくこれだけの馬鹿者が集まるモノだ。感心するものだ。それとも私のクラスに集中させているのか。それより織斑席に戻れ。で、次は・・・にいじゃなかった。か・・・葵。お前だ」

 ・・・何故二回も言いなおした? 最初はわかる。だが次はなんで神無月と言おうとして葵に変えた?

葵「神無月葵です。趣味は料理、読書です。あと可愛いモノ好きです。可愛い者といっても子犬や子猫、ぬいぐるみなどですが。世界で三番目にISを動かせた男だそうですがそんなこと気にせず話しかけてくださいね」

 そういって席に座った。ふぅ。今日の山場はおわ『きゃぁあああああああああああ男よ!!!』ぎゃあぁああああ耳がぁあああああああ!!

 準備をしていなかったためじかに千冬の時同等の声量が耳に直撃した。

千「あぁうるさい! さぁ!! 今日から半月で諸君らにはISの基本知識を覚えてもらう! その後の実習も半月で体に染みつかせろ! いいか? 良いなら返事しろ。良くなくても返事しろ。私の言葉には返事しろ!」

 ・・・ここはドイツ軍じゃないんだぞ? まぁ、やりやすいように教えた方が効率はいいが、これはなんという鬼軍曹。蒼穹の騎士団や管理局の教導官にも教えてやりたいな。でも局にはなのはとヴィータがいたな。大丈夫か。

 その後は突き刺さる視線。それの唯一の救いは一夏だな。うん。

葵「はぁ・・・・」

一「大丈夫お兄ちゃん? さっきから溜息しか出てないよ?」

葵「・・・・男子が行き成り女子校に放り込まれたんだぞ?」

一「薔薇色だね」

葵「・・・・全然。今上野にいるパンダの気持ちがわかる。それとも多摩川に現れたアザラシか」

一「・・・・古いよ。でも私はうれしいな。お兄ちゃんと一緒だもん♪」

 そうか。それは私もうれしいな。ちなみに他の女子生徒は「あれが織斑さんのお兄さん?」とか、「名字違うよね?」とか「もしかしてあの禁断の義兄妹の恋愛!?」などなど様々だ。

???「少しいいか?」

 顔をあげるとそこにいたのは六年振りだろうか。かなり久しぶりに会う幼馴染、篠ノ之箒だ。

葵「箒か。久しいな」

箒「あ、あぁ。に、兄さんこそ久しぶり///」

 若干顔を赤らめさせながら答える。始まって早々大丈夫か?

 その後箒に案内されるがままに教室から少し離れた廊下に来た。

一「あ! そういえば箒ちゃん。去年の全国大会優勝したんだってね! おめでとう!」

箒「あぁありがとう一夏」

葵「ほぉ。それはすごいな。何かプレゼントでもするか。優勝記念に」

箒「本当か兄さん!!?」

 ズイッと顔を近づけてきた放棄に私はイエスと答えると何かどこかに施行が飛んでいったのか頭の上に花が咲いていた。

 だが、その花にとって春の訪れも夏秋をすっ飛ばして冬・・・・それもシベリアのブリザード並みの冬を受けて一気に凍り散っていった。

帝「やぁ! 一夏、箒!」

一・箒「「げっ・・・・」」

 あれはたしか・・・・えっと、あぁ新庄さんだっけか?

 すると廊下にいた一年生かな? 誰かが、

女子生徒「神城くんよ! 神城帝君!」

 あぁ、神(かみ)城(じょう)だった。そうだった。読み方変えれば新庄さんになるからね。さて、面倒なことはごめんだからさっさと引き下がると「オイお前」出来なかったか。

葵「なんだ? 新庄君」

帝「神城だ! 何でお前がここにいるんだ?」

 ・・・・おい。ニュース見なかったのか?

葵「三番目のIS操縦者。そうニュースに出てただろ」

帝「はっ、ふざけんじゃねぇぞ? 何でお前みたいなやつが動かせるんだよ!?」

 いやいや動かせるから動かせたんじゃないか。ちなみに秋山式だけじゃなく篠ノ之式も動かせました。はい。日本の量産型打鉄を。あとフランスのラファール・リヴァイヴも動かせたけど両方乗り心地、稼働力ともに問題なかった。あれはいい。

帝「お前みたいなやつが動かせたとしても量産型のみだろうがな」

 えぇ今のところそうだが、別に量産型より専用機が強いという法則は無い。

帝「またな。一夏、箒」

 そういって二人の頭をなでにこやかに笑い去っていった。さて、私も席に座る「ガシッ」ん? 何か肩に痛み・・・・から激痛が!?

一「お兄ちゃん? 何で助けてくれなかったの?」

箒「そうだ。こういう場合は助けるモノじゃないのか?」

葵「いやいや久しぶりじゃないのか?」

一「あいつはどうでもいいの。お兄ちゃんがいればこの学園生活はとっても幸せなのにあいつがいるだけで半減だよ」

箒「確かに」

 あぁ、目の色が・・・・ハイライトがぁ・・・・・

葵「はぁ、そう苛立つな」

 私は自然と一夏と箒の頭に手を置き数回なでる。さっき見た感じだと男になでられるのがいやなのかと思ったがそうではないみたいだ。

一(ふわぁ/// お兄ちゃんになでられるの久しぶりだな///)

箒(兄さんの手、大きいな///)

葵「さてそろそろチャイムが鳴るころ合いか。教室に戻るとしよう」

 そういって私たち三人は教室に戻ることにした。

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