小説『続・黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第三二話


 私の目の前にいるのは正座をさせている二人。天災こと篠ノ之束。そして一年一組の担任で最強のIS操縦士こと織斑千冬だ。

葵「で、何かいいわけはあるか?」

 扉を閉めベットに腰掛ける。

千「いえありません」

束「それよりあーちゃん! さっきの扉は「束はまだ反省の色が見えんな。仕方がない」ちょ!? あーちゃんそれって六法全集っていう重い本だよね!? それを何で束さんの足の上におこうと「足りんか? ならこれもたそう」それはISの参考書!?」

 そして容赦なく足の上にドシンと乗せる。束は悶絶しながらも「反省してます! だからおろして!」と叫んでいた。

葵「・・・・はぁ。せめて一声かけろ。行き成り扉つき破るやつがどこにいる。

 扉はかろうじて無事だったかオートロックの方が壊れた。というか山田教諭やファイルスいわくISがぶん殴っても壊れないよう設計されているはずといっていたな。つまりこいつらの突進=ISの拳以上という公式がなりたった。まぁどうでもい。

束「それであーちゃん! さっきの質問!」

葵「あぁ。そうか。みたのか。では「連れてってくれるの!?」・・・・消すか」

 そういって私はフライパンと包丁を取り出し。

葵「さぁ束、千冬。選べ」

千・束「「なにを!!?」」

葵「冗談はさておき。とりあえずなら行くか」

千・束((若干目が本気だったよね―――とは言わないほうがいいよな))

 そういって鍵を取り出す。

葵「さて、千冬と束に問題だ。この鍵を地面におとすとどうなる?」

束「落ちる。というか普通だよ」

千「確かにそうだ。何を普通なことを」

 しかし私は実際に鍵を落とす。するとそこから波紋が広がり、

葵「ところがどっこい。落ちたカギは床に吸い込まれそこからは扉が」

千・束「「・・・・・うそ」」

葵「後お前もいるんだろ楯無」

 するとクローゼットの中から、

楯「あははは。ばれた?」

葵「最初からな。というかお前こいつらと同タイミングできただろ」

 私はそのまま心の中の世界の扉を開き、

葵「来るなら来い。こないなら部屋から出ていくといい」

 私はそのまま扉をくぐった。その後に続くようにエクス、ルミル、アギト、リインが入っていった。


SIDE楯無


 彼が扉をくぐるのを見て、私を含め篠ノ之博士と織斑先生も入っていく。

楯「うっ」

 まばゆい光が広がり目を反射的に閉じる。そして光りが晴れるとそこには、

楯「・・・・桜?」

千「それ以前にここはどこだ?」

 篠ノ之博士も驚いていた。というかコンソールを叩いていた。

束「ウソ・・・GPSに反応なし。え!? じゃあここはどこ!?」

 すると、先に行っていた彼らが振り返り、

葵「ようこそわが心の世界へ」

 一面桜の世界にひときは目立つ平安時代の時代劇に出てきそうな公家屋敷。

葵「ただいま。といってもだれもいない「お! 久しぶりさね葵!」お前がいたな」

 そこにはもう一人のIS製作者の秋山道真氏がいた。

道「おやおやお客さんさねか? って千冬ちゃんと束ちゃんさねか。いや〜二人とも別嬪さんになったさね。そしてもう一人は誰さねか?」

 庭で落ち葉をかき集め焼き芋を作っていた道実氏が「食べるさね?」と聞いてイモを持ってきた。

道「それにしてもばらしてよかったさねか?」

葵「それを含めてだ」

 そして玄関を通し五人が座れる和室に入った。(ちなみにアギト、リインは葵の肩。エクスとルミルはそれぞれ葵の胸ポケットに入った)

葵「さて、何から話そうか」

束「じゃあ聞くけどこれは何?」

葵「心の世界。私という存在がどういうものかを世界として具現化したものだ」

千「具現ってそんな魔法みたいな話」

道「お。あたりさねよ千冬ちゃん」

 え? あたりって・・・・まさか!?

楯「じゃあなんですか、これは魔法だというんですか!?」

葵「あぁ」

束「じゃあーちゃんは魔法使い?」

葵「そういうことだ」

束「あーちゃん。それは冗談でも笑えないよ?」

葵「ふむ。ではこれでいかがかな。無から有を造ること。それはこちらから見れば造作でもない」

 葵君は左手を出し手のひらを上にすると、行き成り真っ赤な炎の球体が浮かび上がった。そして手を握り、風、雷、土、水、氷と次第に姿を変えていった。果てには手のひらでミニブラックホールを作ったときにはさすがに驚いた。

葵「信じていただくとありがたい。そしてこのことはくれぐれも内密に」

千「確かにこれまでされては信じるほかないだろ・・・・」

束「人間が何もないところから人かは取り出すことは可能だよ。でも自ら一瞬にして氷にして昇華させることは不可能」

楯「でも魔法があるとわかったけどそれがISに対してどこまで有効なの?」

葵「どこまでも有効だろうな。実際こういうのもなんだが魔法であれば現在のISを軽く凌駕している。魔法1に対してIS最低でも30機は必要と考えられる」

 彼が言うには魔法使いは当然空は飛べるが人によっては自然エネルギーを自由に使う者もいる。またISみたいに武器を使い攻撃する者もいる。だが、彼が知っている限りこの世界での魔法使いは彼と道実氏の二人だそうだ。

 その後他言しないことを約束した後彼が私たちに言うこと一つを聞くということで手を打った。

 ちなみにこの後、

葵「そうだ千冬。お前にこれを渡しておく」

 そういって彼が渡したのは一対の赤い翼の装飾品だった。

千「これは?」

葵「詳しい説明はこいつから」

道「はいはい。簡単に説明させてもらうよ。それはいわばウチの作品ブリュンヒルデシリーズの一つ【紅天の剣】さね。現段階ではエクスとルミルよりかは劣るさねがそれでも一つあればこの世界の一国は乗っ取れる強さを持っているさね」

楯「一つで一国!?」

道「理由としてはそれの目的が競技機体ではなく実質の戦争を想定した機体だからさね」

束「あ―ちゃんはそう遠くないうちに起ると?」

葵「想定だ。使わないに越したことは無いが最低でも自分の身と大切な者は護れよ。あと三人にはこれ」

 織斑先生には黒、篠ノ之博士には紫、私には水色の羽の色をした羽根の形をした首飾りを渡して来た。

楯「これってお守り?」

束「わ〜い! あーちゃんからのプレゼントだ!!」

葵「まぁ肌身離さず持っていてほしい。お守りだからな」

 そういって扉を出て行くと篠ノ之博士が、

束「あーちゃん! 束さんもここにいたい!」

葵「・・・・道実がいるが大丈夫か?」

束「まぁ合わないようにしておけば大丈夫だと思う! あとこいつなら話し合いそうだし」

道「それは光栄さね」

葵「自由にしろ。後出る際は声かけろよ」

束「りょ〜かい!」

 そして扉から出て、そのまま私は恥ずかしかったのかよくわからなかったけど自分の部屋に戻って、そのお守りをじっと見て、

楯(やったぁ〜!! 彼からのプレゼントだ///!!)

 とちょっと、ううん。だいぶ喜んでいた。こうも私を変えるなんてやっぱり彼は他の人とはどこか違うんだと思う。


SIDEout


 時は少し戻り心の世界を出る前

葵「ふぅ、久しぶりの一杯は胃に染みる」

道「おや? 久しぶりに見るさね。君が酒にのまれるなんて」

エクス「マスター。お酌をしましょうか?」

葵「ん。頼めるか」

 そういってエクスの方に朱色の杯を出し日本酒を注いでもらう。その光景を見ていた三人が顔をあんぐりさせていた。

千「いや、自分が見ている光景を信じがたいと思ってしまってな」

葵「私が酒を飲むことがか? 私とて人間だ。石油で生きているわけじゃないんだからたまにはこうやって息抜きをさせてくれ」

楯「あら。女性ばかりの楽園はお嫌い?」

葵「嫌いではない。だが息が詰まるんだああ言う場所は。だからこうやってな」

 するとアギトが並々に酒を注いできた。そのお礼に優しく頭をなでる。

葵「お前らも飲むといい」

 そういって盃を千冬に渡し酒を足す。

千「え///!?(こ、これって、そ、その、に、ににに兄さんと間接キス?!)」

 その後それを一気に飲み干した千冬。で、その後に束、楯無しと杯を渡し飲んでいく。よったのか三人とも顔が赤かった。

葵「どうだ。うまかっただろ」

三人「は、はい///(味なんて分かんない(よ)!?)」

 で、お守りを渡しお開きとなった。

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