小説『続・黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第三四話


 昼休み

葵「というわけでしばらく私は訓練の方が出れなくなった」

一・箒・鈴・セ「「「「えぇ〜〜〜〜!!?」」」」

 簡単に言うと断れないよう退路を断たれた。具体的には、

楯『報酬は〜〜〜これ!』

 そういって出されたのはかわいらしい猫のぬいぐるみ。それも白と黒で一つの形をなすペア。それもお土産グッズの応募券を買わないと当たらないというヒット率がかなり少ない。

 それにつられて二言目にOKを出してしまった。

葵「たまには私抜きでやってみろ。一夏は特にだ。たまには別の人から聞くことも大事だ。鈴も加わってさらに幅が聞いてるんだ」

 鈴のISは実習の際見たがかなり厄介な代物を積んでいた。ISの名前は【甲龍】。衝撃砲【龍咆】は砲身を見えないうえに砲弾も見えない。空気砲みたいなものだが威力や速度は完全な実弾と変わらない。それに接近用武器をあるため近接戦にも対応できるいわば万能型のISだ。だが、まぁ、

甲「〈どもども! はじめましてお父さん!〉」

 と、甲龍が鈴の転校と同時にあいさつ。でも、

甲「〈私すごいんだよお父さん! クラス対抗戦でも頑張るからおうえんお願いね!!〉」

葵「〈あぁ、がんばれ〉」

 と、応援していたら。

白「〈おい甲龍! 父さんは私を応援するんだ! お前なんぞに渡すか!?〉」

ブ「〈あら、両方ともおかしなことを言いますね。お父様は私と共に応援席で見学ですわ〉」

 と、何故か白騎士こと白式とブルーティアーズも参戦して頭の中で口論になった。非常につかれましたともええ。

 で、放課後。

葵「確か・・・・彼女か?」

 楯無から聞いた情報によるといつも大体ここでISの調整を行っているらしい。目の前でコンソールを叩いている少女がいた。

葵「はじめまして神無月葵だ」

簪「・・・・・」

 すると、動いていた指が止まり、

簪「・・・・知ってる」

 だが再びキーボードを打ち始める。

葵「ウチの妹が迷惑をかけたな」

 すると再び指が止まり、

簪「? 妹?」

葵「織斑一夏。私の妹だ。名字が違うのは気にしないでくれ」

簪「そう」

 盗み見するつもりはなかったが彼女が見ていたディスプレイを見た。

葵(あぁ、ここをこっちに切り替えた方が容量が空くな。後こっちの武器に切り替えた方がこいつの体格的にも楽だろう)

 などと考えていると、

簪「・・・・気になる?」

葵「あぁ。はしくれでもIS操縦者だからな」

簪「・・・・そう。でも、敵の施しは・・・・受けない」

 敵?

葵「こっちまで来てないのか?」

簪「・・・・何が?」

葵「私はクラス代表じゃないぞ?」

簪「・・・・・!?!?!?!?」

―――ガラガッシャーン!!

 彼女の後ろにあった工具を乗せる台車ごと彼女が転んでいった。

葵「だ、大丈夫か!?」

 急いで手を出し彼女を断たせる。

簪「・・・だ、大丈夫・・・それより・・・ほんとう?」

葵「なにが?」

簪「・・・・あなたが代表じゃないってこと」

 ? 試合内容知らないのか?

簪「・・・・・知ってる。だから不思議」

葵「・・・・今そんな顔に出してたか?」

 すると彼女がコクリと頷いた。

葵「あれは決定者を決める試合だ。代表者を決める試合じゃない」

 すると彼女もなるほどといった。

簪「・・・・用は・・・それだけ?」

葵「いや、出来れば君のISの制作を手伝いたいと思ってな」

簪「・・・・敵の「半分以上は身内のせいだ。だから名誉挽回と思って―――な?」・・・・」

 すると彼女は黙って、

簪「・・・・明日のお昼・・・おごり」

葵「了解」

 交渉成立。というわけで早速ディスプレイを覗き込む。

葵「・・・・・・」

簪「・・・・・・」

 二人の間に気まずい空間? というよりかは張り詰めた空間が流れる。まぁそれだけ真面目ということで受け取ってほしい。そして、

葵「ここはこうしてみろ」

簪「・・・でもそうすると・・・こっちに影響が出る」

葵「だからそれを削れば余裕が出るだろ。で、その余裕をさっき出た影響分にあてはめる」

 などと話を進める。

簪「・・・・・・すごい・・・一人だと全然進まなかったのに・・・・」

葵「簪の場合のを見ると全部を全部完璧にしたがる癖がある」

簪「・・・・え? そうじゃないの?」

葵「こういうのもなんだがISというのはいまだに未完成だ。完成形のISなんてこの世に存在しないんだぞ」

 だから日々進化し続ける。そのためにだから日々成長する。だから日々情報を集める。一秒でも早く頂につくために。ISとは何かの頂につくためにつくられたのかもしれない。どの武の頂かは知らんが。

葵「さてこんなものか」

 半分といっても簡単な部分だけだが仕上げることに成功した。

葵「後残ってるのが厄介だな」

簪「・・・・え? でも・・・残り15.3%」

 そう。全体を仕上げる残りがおおよそそれぐらい。でも、

葵「絶対防壁の穴埋め、武器の効率向上、接近戦対策、アラートの範囲拡大。今のままだと通常の打鉄にも劣る」

簪「・・・・・そうなの!?」

葵「こいつの、打鉄弐式の最大の特徴は完全支援型。ミサイル八連装が六ヶ所。後は接近してくるやつに対するブレードを後付けで加えりゃなんとかなるだろ」

簪「・・・・なるほど・・・・じゃあアラート範囲はなんで?」

葵「簡単に言うとそうだなセシリアあたりのブルー・ティアーズがいい例か」

 ブルーティアーズは接近戦用武器も持ちさらに中距離型ライフル、さらにビットと範囲を選ばない。なので目でとらえれられる範中で済む。だが、

簪「・・・・わたしの打鉄弐式は距離を選ぶ」

葵「まぁ一夏の逆番だ」

 一夏の白式は遠方に追いやっておけば銃などで対応できる。つまり対遠距離線には弱い。弐式は逆で遠距離には火力の強いミサル【山嵐】で対応できるが近接戦に入られるとまずい。つまり遠距離型はアラートを早めに鳴らし警告しておけばいくらでも対応の道筋が出来る。

葵「というわけだ」

簪「・・・・なるほど」

葵「まぁここまでしたんだ。私の言いたいことも自然とわかるよな?」

簪「・・・・クラス対抗戦」

葵「そうだ。今さらやめます、出れませんでは通らんぞ」

簪「・・・・卑怯」

葵「ほめことばとしてとっておく」

簪「・・・・どうして?」

葵「なにが?」

簪「・・・・どうしてそこまでするの? 妹さんが心配?」

葵「妹が心配なのは否定しない。だが互いに踏み台にしてもらえればと思ってな」

簪「?」

葵「互いに高みあえ。とでも言うべきか、勝とうが負けようが得るモノは互いに大きい。なら勝ってもよし負けてもよし。ただ、後悔はせぬようにと思ってな」

簪「・・・・あの人のため?」

葵「あの人? のほほんさんか?」

 違うな。こいつの言うあの人とは楯無だろう。のほほんさんから聞くと簪は楯無にいわゆるコンプレックスとでも言うべきか、なというかマイナス思考になるみたいだ。

葵「キリがいいところと言えばきりが言い。今日はこの辺にしておこう」

 とりあえず変なことを言うのは避けるべし―――だな。

簪「(本音から? ならあの人とは?)・・・・ねぇ」

葵「ん?」

簪「・・・・わたしの・・・おね・・楯無って知ってる?」

葵「更識楯無のことか?」

 彼女は静かにうなずく。まぁここは正直に答えるより、

葵「知らないやつはいないだろ。彼女はこの学園の生徒会長だしな」

 まぁ適当にはブラ貸すしかないだろうな。

 その後寮への帰宅時間が迫っていたため解散となった。

 そして、

葵「ふぅ。やっと一息入れられる」

 そう思い自室の扉を開けるとそこには、

楯「お帰りなさい♪ ごはんにします? お風呂にします? それともわ・た・し?」

―――バタン

 部屋番号よし。私の部屋だ。一瞬だが見えたコレクションを持まぎれなく私のものだ。そして隅に見えたリインとアギトが何かを食べていた・・・・うん。間違いなく懐柔されたな。

 だが、私の目が確かならなぜ裸エプロンの楯無がいたんだ?

 そして再びドアを変えると、

楯「お帰りなさい。私にします? ワタシにします? それともわ・た・し♪」

葵「選択肢がない上に何が変わったのかわからん。そしてなんで最後の「わたし」だけが疑問形ではなく♪マークなんだ?」

楯「ほら気分よ♪」

葵「はぁ・・・。服を着ろ」

楯「あら私にこの格好で寮をうろつけと? 葵君は外プレイお好み?」

葵「私の服を着てもいいからさっさとしろ。千冬がくる「わかった!」・・・・(偉大だな千冬の一言は)」

 だが迷いなく私のクローゼットに向かって適当に服をチョイスするのはどうなんだ?

楯(へぇこれが彼の匂い・・・別に臭くは無いわね。雑誌で見たときは汗臭いとか言ってたけどこれはこれで///)

葵「で、話とかあるのか? 用も無く尋ねるほど暇じゃないんだろ?」

楯「そうだった。一応近況報告をお願いね♪」

 彼女からそう言われて今日一日のことを報告。

楯「すごいわね・・・。純粋にすごいわ。打鉄弐式はかなりの遅れが出ているのにもう50%まで終わらせたの?」

葵「簡単な部分だけだ。あとここからが時間がかかる。速くてクラス対抗戦一週間前。遅かったらギリギリだな」

 ベットに腰掛けるとその隣に楯無が来て座った。

楯「へぇ〜。でもちゃんと簪ちゃんのこと考えてくれてるんだ」

葵「頼まれているからな。それに妹となるとどうしてもな・・・(罪悪感しかないからな。舞のことも・・・)」

楯「?(なんか急に暗くなったわね)あ! あとそうだった大事なこと忘れてたわ」

葵「ん?」

楯「私今日からここに住むから」

葵「・・・・は?」

楯「だから、今日からここに住むの」

葵「マジ?」

楯「えぇ」

葵「本気の本気なのか?」

楯「本気の本気よ」

葵「本気と書いてマジて呼ぶぐらい?」

楯「えぇ」

葵「・・・・一夏と千冬に何って言おう」

楯「大丈夫大丈夫。そのための会長権限だから」

葵「職権乱用だよな!?」

楯「愛のためよ」

葵「カッコよく言ってもやってることは最低だよ!? というか会長権限は教師よりも強いのか?!」

楯「それに学園長も許可したわ」

葵「何やってんだよあの爺さん!!?」

 息を整えて、

葵「間違いがあってからでは遅いんだぞ。今からなら間に合うから元の部屋に戻りなさい」

楯「あら。あなたとなら別に間違いが起こってもいいわよ?」

葵「は?」

楯「ん? ・・・・・あ///(ボンっ)!」

 彼女はどうやら自分の失言に気づいたらしく顔を真っ赤にして、

楯「じゃ、じゃじゃじゃじゃじゃわ、わわわわわ私はこっちのベッド使うから! 後今日はもう疲れたから寝るね///!!!」

 そういって急いで布団をかぶる彼女。

葵「あぁ。おやすみ」

 そういって彼女の頭を2、3回優しく撫でてから私も着替えて寝ることにした。彼女も彼女なりに甘えたい年頃なんだろ。頼れる人間は少なく、仮面をかぶるのもつかれるだろうしな。


SIDE楯無


 私の行動よりも彼の冷静さの方が驚く。

楯(な、なんなのよ〜〜〜!!? 私はこんなに動揺してるのになんで彼は冷静なのよ!!?)

 私はベッドの布団を顔まで覆い隠すように寝ていた。

楯「あれ? こっち確かぬいぐるみなかった・・・・あれ?」

 彼はぬいぐるみ、もとい可愛いモノ好き。なら多い方が彼のベッドよね? でも寝る場所がないぐらい積むのでは意味がない。ということはこっちが彼の使ってたベッド?

楯(え? え? も、もしかして私すごい事してる///!?)

 そう考えていると、

楯(ふぇ!?)

 行き成り彼が私の頭をなでてきた。

 でも嫌じゃない。むしろいい。

楯(お母さん、ううん。お父さんになでられてるみたい。なんか気持ちい・・・)

 その日私はとても久しぶりに熟睡できた。

 なんか彼と一緒に寝るととても安心できた。不思議なものね。


SIDEout

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