第八話 死の魔法ララバイ
「何という事だ!!ナツを列車に忘れて来てしまうとは!!あいつは乗り物に弱いというのに!!私の過失だ!とりあえず私を殴ってくれないか!!」
「よっしゃ」
ナツを忘れた事をオーバーに責任感じてたエルザをカイルがホントに殴る。
「痛い!ありがとう、カイル。というわけだ、列車を止める」
「どういうわけ!」
何も知らない駅員にムチャを言うエルザ。当然駅員はわかるわけがない。
「フェアリーテイルの人たちは皆こうなんだね…」
ルーシィが諦めたように嘆いた。
「おい!俺とカイルはマトモだぞ!!」
「露出魔のどこが…ホントにマトモなのはカイルだけよ」
ルーシィ達がくっちゃべってる間にカイルが事情を説明し、列車を止めてくれるよう頼んだ。
「ムチャ言わんでください!おり損なったお客さんの為に列車を止めるなんて!」
「仲間の為だ。わかって欲しい……ハッピー!!」
「あいさー!」
エルザに呼ばれたハッピーはレバーを引いた。途端に警報が鳴り響き列車が停止する。……駅員絶叫。
「よし!追うぞ!すまんがこの荷物をホテル・チリまで頼む」
たまたま通りかかった男女に荷物を渡す。そしてまたワケがわからない二人。
「エルザ、見ず知らずの奴に頼みごとすんのやめろって…」
「なぜだ?ちゃんとすまんがと言ったぞ?それより早く乗れ」
どこかからパクってごほん!!借りて来た魔導四輪に乗って俺たちはナツを追いかけた。
〜列車内〜
カゲヤマと戦っていたナツは相手から髑髏の形をした笛が落ちたのを見た。
「何だ?笛?」
「み、見たな!!」
素早く隠したカゲヤマだったがすでに無駄だった。
「覚えてろよハエども!!飛んじゃいけねえ森があるって事を教えてやる!」
「こっちもてめえの顔覚えたぞ!!フェアリーテイルをけなしやがって絶対許さねーからな!!」
そして停止していた列車が動き出す。
「今度は外で勝負して……うぷ」
動き出す反動でナツは列車から吹き飛んだ。
〜カイル達〜
列車に追いついたカイル達はナツが飛び出してくるのを見とめた。
「ナツ!!」
一直線にカイル達の方向に飛んでくる。
「よっと」
屋根の上に頭を出していたカイルはナツの直撃を避けるためにかわした。
ゴッチーーン!!
次の瞬間ナツとグレイが盛大にぶち当たった。同時に魔導四輪を止める。
「いってーー!!何すんだ!クソ炎!」
「今ので記憶なくした、誰だおめえ、くせえ!」
ナツ達に駆け寄るカイル達。
「ナツ、無事だったか」
「ひでえぞ!カイル、エルザ、ルーシィ、ハッピー!俺をおいてくなんて!!」
「すまん」「ごめん」「今回ばっかりは本当に悪かったと思っとる」
カイル達が次々と謝る。
「随分都合のいい記憶喪失だなおい」
その様子を見たグレイが青筋を立てる。
「とにかく無事で良かった」
「無事なもんか!!なんか襲われた!」
「襲われた?一体誰に?」
「えーと、確か鉄の森とかいってたような」
それを聞いた瞬間エルザが鉄拳を繰り出す。
「馬鹿者お!!私たちが追っているのはそいつらだ!!お前は私の話を聞いてなかったのか!!」
「その通り、聞いてなかったんだよ、お前に気絶させられて」
エルザの頭をカイルが一発はたく。
「あれだけエルザを叩けるのはホントカイルぐらいだな」
感心したようにグレイがつぶやく。自分がやろうものなら死の覚悟をしなければならない。
「話を戻すぞ。ナツ、そいつはどんな奴だった、特徴は?」
「特徴は……あんまなかったな……あ、あと変な髑髏の形をした笛持ってた」
「髑髏の……笛…」
笛の特徴を聞いたルーシィの顔が驚愕に染まる。
「どうした?ルーシィ」
「わかった……その笛がララバイよ!呪歌、死の魔法!!」
皆まだよくわからないようだ。ルーシィが説明を続ける。
「禁止されてる魔法の中に呪殺ってあるでしょ?あたしも本でしか読んだことないけど…」
「あるな…対象を呪い、死を与える魔法」
「ララバイはもっと恐ろしいの!「笛の音を聞いたもの全てを呪殺する集団呪殺魔法……それがララバイだ」
ルーシィの説明から全てに気づいたカイルが続ける。
ララバイの正体はわかった……だが連中の目的がわからん。一体なにをする気なんだ?あいつらは…