凛「行ってきまーす!」
私は、いつも通り家から学校に向かった。
だけど、今日はいつもと違う事があった。
それはある一本道を通るときだった。
「・・・おーい。」
凛「?・・・・あ・・・」
何処からか聞こえてきた声を辿って上を見たら、70近くのお爺さんが家のベランダから手を振っていた。
その家の周りには塀があって、庭とかは見えないが家の2階は見えた。
お爺さんは未だに「おーい」と言いながら私に手を振っている。
凛「・・・行ってきます。」
そう小さな声で言いながらお爺さんに手を振り返した。
そしたら、振り返してくれたのが嬉しかったらしく、さっきより速く手を振っていた。
私にはそんなお爺さんの姿が可愛く見えた。
〜〜数日後〜〜
凛「お爺さーん!」
あの日から、あのお爺さんに毎朝手を振る事は日課になった。
今日は天気が良かったため、私の機嫌は良かった。
なので、私から声を掛けてみた。
お爺さんはすごく嬉しそうだ。
私も幸せな気分だった。
しかし、そんな小さな幸せは脆くもぐずれ去った。
爺「今行くぞ!」
凛「え・・・」
ドンッ
グキッ
凛「ヒッ・・・」
お爺さんは「今行くぞ」と言う言葉と共に、ベランダの柵に足を掛け―――――飛び降りた。
聞こえた音からして、落ちた瞬間に首かどこかが折れただろう。
私は怖くなり、走って学校に向かったのだ。