小説『IS 幻想の王』
作者:沙希()

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第17話 クラス代表と現れた準最強の庭師



朝起きるとまるで体中が重い感覚に襲われてしまう
ベッドから起きて私はYシャツを脱ぎシャワー室は言ってシャワーを浴びる
温かいお湯が、体温を上昇させさっきまでの重みを流しさっていく
タオルで体を拭き、タンスから下着と制服を取り出して着替える



「もう、2週間目だな、この学園生活は」



私はそう言ってまだ日の登らぬ外を眺める
時間は4時半であり、普通の人間ならば寝ている時間帯だ
私は隣で寝ている布仏 本音に目をやる
幸せそうに、この世界では持ったいなくらい綺麗で純粋な心を持った少女の頭を撫でる
すると気持ちよさそうに目を細め、まるで猫か犬の様に甘えてくる
ふふふ。可愛いな



「さて、行くとしよう」



私はベッドから離れ、部屋を出て寮の中を歩きだす
静かで、例外を除けば誰一人起きている者はおらず、私は何も思う事も無く歩く事が出来た
寮の外に出て、私はある程度の距離まで歩くと携帯電話を取り出し、電話する



「もしもし。私だ。」



『あ、ユエルかい?態々電話とは面倒な事をするね。念話の方が便利じゃないのかい?』



「あぁ、分かっている。これはいわゆる見せしめだ・・・・・・・・それと聞くが、篠ノ之 束の動きはどうだ?」



『蟻くらい小ささの監視カメラで盗撮中だけど、何やら面倒なモノを作ってるようだね。なんかデカイ自立型ISだとかなんとかいってるけど』



「馬鹿が。自分が何をしたいのか分かっているのか?まぁいい取り敢えず昨日私のパソコンがハッキングされていた跡があったが、あれは篠ノ之 束の仕業か?」



『私の企業や紫の企業にもハッキングの跡があったから突きとめたけど、篠ノ之 束がやった跡だった。まぁ、私のソフトで迎撃してやったけどね。勿論100倍返し。今頃全てのデータが消し飛んだとかで泣き喚いている頃だよ。あ、それと少し不味い事になっちゃたよ』



「なんだ?言ってみろ」



『刹那達がクラス代表戦だっけ?あの時試合したでしょ?その時だけど刹那の試合時に篠ノ之 束が偵察機を飛ばしていてね、刹那の実力の一部を見られてたみたいだ』



「ちっ。糞兎が、舐めた真似を」



『口調に注意だよ、ユエル。取り敢えずこれで刹那含めこの外界にいる幻想郷メンバーは興味を持たれたよ。全く、こちとらの事情も知らないで』



「あの馬鹿ウサギは自分が何をしたいのか分かっていない様だから。白騎士事件だったか?明らかに自画自賛をしているようだがあんな3流演劇に騙される馬鹿も馬鹿だが。明らかに白騎士の正体は丸分かりだろ。特に自分の身内に手を出すなって言った時点で」



『あの兎は自分の興味対象が身内の妹と親戚の友人にその弟だけだからね。あれで分からなかったら馬鹿って言ってやりたいよ。もう馬鹿だけどね』



「それよりも、審判者の動きはどうだ?何か掴めたか?」



『全然ダメだね。この世界に居ない感じみたいだし、寧ろどうやって見つければいいかって話しだよ。取り敢えずその6人については保留で今は簪の専用機のコアを改造してるとこ』




はぁ、やはり見つからないのか
前日にノエルに頼んだがやはり見つからなかった
にとりでもダメだったら今度は紫にでも頼みとしよう



『おっと、ようやく出来たよ、コアが。あ、コアで思い出したけど、篠ノ之 束がハッキングして来てやり返してやったら第4世代のデータが流れ込んできたけど、訊く?』



「一応訊こう。にとり以上の兵器を超えるか興味がある」



『まぁ、そこまで凄いモノじゃないけどね。えっと、第4世代IS『紅椿』。全身にある展開装甲はシールドを切り裂く事の出来る零落白夜で、主装の2本の刀は斬撃やらなんやら飛ばし、肩にあるブラスターランチャーは高出力ビーム砲って感じ。後は機動性は第3世代を軽く上回り、攻撃力も防御力も半端無いって感じだね。いわば負の塊より弱い、という結論が出た』



「理性体でか?」



『ううん。理性が無い方の。やっぱISは所詮不要だね、私達の闘いには』



「いつかどこぞの馬鹿が負の塊相手に無謀にも突っ込んで死にそうな予感がするな」



『それ私も思った』



「『あはははははははははは!!』」



私とにとりは高らかに笑う
いや、本当に笑いたくもなる
自作で作った第4世代が意味もなさないと考えればこれは笑わずにはいられないだろうに


『さて、あ?ちょっと待っててね、ユエル。・・・・・・・・え?何?兎に一部のデータを見られた?もしかして、刹那達の生態データの方?あ、第5世代の方ね、なら問題なし。別段取られても脅威じゃないし、それにその設計図、作ったとしても乗れる奴は幻想郷メンバーの極僅かだから。うん、じゃあ、またね。ゴメン、ゴメン、ユエル。ちょっと立てこんでて』



「さっき設計図がどうとか言っていたが、もしかしてお前、第5世代のISの設計図まで作っていたのか?」



『交渉材料としてね。でも設計したけどあくまでそれは片手間だよ。不備や改善点が腐るほどあるからね。でもまぁ、第4世代型の完成形と言っても加減では無いよ』



「国中に見せたら絶対にお前を引き入れてくるだろうな。まぁそれはどうでもいい。それと、気づいているか?」



『何が?』



「今日が“あの日”だって言うのを」



『・・・・・・・・・・・・・・・・・知ってる』



にとりが電話越しで小さくそう呟いた
あの日とは、私はその場に居なかったが、かつて刹那とにとりの間ある出来事が起こり、人見知りであったにとりが積極的に人と触れ合うようになった出来事であるのだ



『もう174年と9カ月と10日、12時間32分経ったんだね』



「細かすぎだ。どれだけ覚えているんだ」



『あの出来事のお陰で私はこんな風になれたんだ、刹那には感謝しきれないよ』



「小さな出来事が、人見知りだったお前をここまで変えたのだからな」



『小さくたって馬鹿には出来ないもんだね。まぁ取り敢えず、“あの子達”の墓にはちゃんと行くよ。“”あの子達“が好きだった、甘い大福餅をね』



「ふふふ。そうだな。では、切るぞ?」



『あいよ。じゃあ、今度はクラス対抗戦が楽しみだね。篠ノ之 束がどう仕掛けてくるのか』



「糞兎のシナリオを、完璧にブチ壊してやる」



『期待してるよ』ブチッ・・・ツゥ―、ツゥ―



電話が切れた音がし、私は携帯をしまい広場に置いてある時計に目をやるともう5時30分になっていた
約1時間も会話をしたのか
とりあえず、刹那の部屋にでも行くとしよう




刹那の寝顔を脳内とカメラに収めねば


この場に誰かがいたのなら、私の考える事を見抜いて絶対に不純だと思うであろう















「という訳で、一年一組の代表は織斑君です!!」



山田先生の言葉を発したと同時にクラスの皆が盛り上がっている
織斑の方を見ると、どうやらなぜ負けてしまったのに選ばれたのか分からないようであった
私は刹那の居ない席をジッと見つめ、何時帰ってくるのだろうと待っているのだ。
刹那は何やら学園長に呼ばれた為、今の時間は来ていないので私は正直退屈である


「先生、質問です」



「はい、なんでしょうか織斑君」



「え、えっと、僕は蒼月に負けたはずなのですが、なぜですか?」



「それはですね「それは刹那さんが多忙だからです」あ、魂魄さん、もうこられたのですか?」



訊き慣れた名前が聞こえたので私は視線を席から黒板側に向けるとそこには白いショートカットをした友人の魂魄 妖夢がそこにいるのだった
ま、まさかここのクラスに編入してくるとは



「ええ、少し遅れるはずでしたが、手続きが思ったよりも速く済みまして。それと、魂魄 妖夢です。趣味は家事と鍛練、後は庭の手入れなどが得意ですね。よろしくお願いします」



「では、魂魄さんは篠ノ之さんの後ろの席ですので、どうぞ」



「ええ、分かりました。久しぶりとは言えないですね。昨日ぶりです、箒さん」



「あぁ、昨日ぶりだな、妖夢。まさかここのクラスだとは思ってみなかった」



「いわゆるコネ、と言えば良いのでしょうかね?それと、決心は出来ましたか?」



決心
それは昨日の夜の事の話であろうと察した
私はまだまだ実力が弱いのは知っている
剣を振って来たからと言ってまだまだ未熟もどうぜんなのだ
だけど、私は誓った。刹那を守ると
だからもう、私は逃げない



「ああ、とっくに出来ている。もう私は、弱いままの私でいたくないからな」



「そうですか。なら、アナタの刹那さんへ捧げる剣を期待していますね」



「ああ、望むところ「ちょっと良いかな?」・・・・・」



急に織斑 冬人が話しかけてきたので最後まで言えなかった
これほど空気を読めないとは、アイツはどこまで餓鬼なのだろうか?



「さっき蒼月が多忙だと言ってたけど、どんな仕事をしてるんだい?内容によっては僕がなるのはおかしいと思う。だから仕事の内容を言って貰えないかな?」



『そうだよね。もしかして、責任放棄?』



『あれだけの実力があるのに辞退とか、訳が分からない』



『なんて無責任な男なのかしらね』



言いたい放題刹那の悪口をいう周りの女子たちに、私は立ち上がろうとしたが妖夢の手でさえぎられる



「一言言いますね。頭の悪い会話は私は好きではありません。陰口をたたくくらいなら、小学校に戻ってからにしてください。底が知れますよ」



「それに仕事の内容を教えろと言ってました、アナタは所詮篠ノ之 束がバックに居ないと所詮はタダの雑魚で無能のクソガキでしかないと思いますが?」



『!!??』



「な、ぼ、僕が雑魚だと!!確かに僕は蒼月に負けたけど、ちゃんと1回戦は勝ったんだ!!それに闘ってするいない人に弱いなんて決めつけられたくない!!」



コイツが昔の自分のセリフと支離滅裂な事を言っていな
さらに呆れるどころかもう馬鹿らしくなってきた



「いいえ、概ねどころか的を真ん中に直撃するくらいに得ていますよ。現にアナタは闘ってすらいない相手に見た目で判断し、実力を理解しないまま立ち向かっても5秒で終わったじゃないですか?さっき言った時とは支離滅裂ですね。恥ずかしいと思わないですか?」



「ぐっ、なら君に決闘を『えっと、彼専用機がなさそうですし、訓練機なんでしょ?それでなんだけど、ハンデを付けようと思って』これって!?」



何やら急に黒板に映像が流れ出した
あの時の試合のセリフか



『あれ?何時の間に着替えたの?て言うか、もしかしてISなしでその剣一本で闘うつもり?はっ、呆れたね。ISに勝てるのはISだけなのに、IS無しで挑むなんて愚の骨頂だよ』



『ふ。僕は最強になるんだ。そんな防御力も薄そうなISに、僕が負けるわけがない。さて、僕は先に行くから』



「随分と痛いセリフですね?さっきの通りアナタが言った事とは支離滅裂が更に表現されていますね。これお笑いです」



「っ・・・・・・・・・・」



冬人が苦虫を噛み潰した顔をする
生徒達の皆も陰口をたたいていた人の全員の視線が冬人に注がれている
馬鹿が。所詮はその程度だったのだ
そんな事を思っていると妖夢が黒板の方をジっと見て口を動かす



「にとりさん?これは確か学食のテレビに流す筈なのでは?


『あっはっは!!ゴメンゴメン。映像のチャックの為に整備室には黒板が無くてね。ここを使わせてもらったよ。やぁ、御機嫌よう、勘違い君に陰険な女子生達の皆さん』



『!?』


「な、なんで黒板がジャックされてるの?」



『いやぁ、見のものだってね。セリフとは全く逆の事を人には言うくせに自分には正当化する。うん、マジで笑えるね。ついでに陰口に叩いてた皆さん?君達の分も平等にあるから♪』



『蒼月君のIS、なんかしょぼいね』



『所詮は口だけなのよ。男って皆そう』



『これは織斑君の勝ちかな〜』



「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」



自分の顔がアップで映し出され、尚且つ一人一人の陰口をちゃんと映し出されていた
生徒達の顔は蒼くなり、何も言えなくなった
すると教室の入り口が開いたと思った織斑先生が入って来た



「では授業を始め・・・・なんだこれは。お通やか?それと河城。なぜお前は黒板をジャックしている?」



『アナタの弟さんが支離滅裂な事を言うからその映像を見せてあげたのと、陰口を叩いている女子生徒にハッピーなプレゼント見せただけだよ?』



「・・・・・・はぁ。あまり追い込ませるなよ?後、もうその映像は切れ『ほいほ〜い』・・・・はぁ。あ、それと来ていたか、魂魄」



「ええ、さっきぶりです、織斑先生。さっきの試合の貴方の剣技には感服いたしました。やはりまだまだ私も修業が足りぬようです」



「ふ、褒めた所で何も出さんぞ?それで?これは何があった?」



「アナタの弟さんが支離滅裂な事を口に出したので正当化させました」



「まぁいい。さて、クラス代表は誰だ?報告の為に一応訊くが」



「織斑です。千冬さん」



ポスっ「織斑先生だ、篠ノ之。そうか、蒼月が降りたか。では、クラス代表は織斑とする異論は無いな?」



「ちょ、待ってください織斑先生!!納得いきません!!第一蒼月にそんな権限など」



「弱者は勝者の言う事に従う。それに刹那は別に代表を賭けたわけでもない。アイツはお前とオルコットのくだらん喧嘩に巻き込まれただけだ。履き違えるな、織斑 冬人」



「篠ノ之言う通りだ、織斑。弱者は勝者の言う事に従うべし。クラス代表は、貴様だ、織斑」



「くっ!」



「では席に付け。邪魔だ。今から授業を始める」



織斑先生がテキストを開き、開始の合図をすると皆が急いで机から教科書を取り出す
私は教科書を取り出し、教科書を見るふりをして未だ来ていない刹那の席をボウッと眺めるのだった



スパンッ!!「篠ノ之。授業に集中しろ」



「す、すいません」



なんともしまらない最後であった





―――――――――――――――――――――――
あとがき


妖夢が毒舌になってしまいました、すいません
なんか段々面白みがなくなってきているのはやはりそろそろダメなのでしょうか?











-25-
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