小説『IS 幻想の王』
作者:沙希()

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第19話  魔眼殺しと審判者



授業が終わり、私は机に教科書を仕舞い、椅子から立ち上がり教室を出て行く
人を通り過ぎて行くたびに別段見えないモノまで見えてしまう
黒い点と赤い点
腕や首、脇腹に背中などに黒い点が集中され、心臓の部分にだけ赤い点が集中されている



もう嫌だ、この光景は
こんな光景が見えだしたのは、今日の朝からであり、授業中ずっとこんな感じなのだ
ノエルに訊こうと思ったのだが、今日は刹那と用事があるのでおらず訊く事が出来ない
なので、私は今、ユエルの元に行く為に、2組に向かっている
が、直ぐに見つけた
教室を出て直ぐそこの目の前の壁に立っていたのだ



「症状は出てるな?」



「・・・・・・・知ってるの?」



「現にお前の表情が疲れた様な顔をしている。たぶん、能力の目覚めなのだろうな。屋上へ行くぞ」



「・・・・・・・・う、うん」



そう言って屋上へと向かうユエル
道が混んでいたが、ユエルの存在に圧倒されて上級生の人達が何やら道を作っている
私は数歩手前に歩いてついて来ているのでこの現象はおかしい
屋上への階段を上り、屋上への扉を開ける



「点は消えたか?」



「・・・・・・・ううん。周りを見ても、壁や椅子、それに地面に一つ一つ点がある。でも、人より少ない」




「そうか。で、能力の話しは後回しだ。決意は固めたか?」




ユエルが言ったのは昨日刹那が言ったあの話しの事だろう
正直迷っている
もし受け入れれば、まだ謝っていないお姉ちゃんや友人の本音に心配されるのかもしれない
せめて、後少しだけ時間が欲しい・・・・・・・



「まだの様だな。時間は明日明後日までだから、無理にとは言っていないし、別段焦る必要はなかったな」



「・・・・・・・・・・・ゴメン」



「謝るな。姉の事だろ?まだ謝ってもいないそうだし」



「・・・・・・せめて、お姉ちゃんや本音には伝えたいと思ったから」



「お前の自由だ。好きにすると良い。それよりも、だ。受け取れ」



そう言ってユエルが私に何かを渡した
黒いメガネケースの様なもので、開けて見るとそこにはメガネがあるのだ



「・・・・・・・・えっと、私もうメガネ「それはお前が見えている全ての点を架けるだけで消す事が出来き、取り外すと見えるようになっている。通称『魔眼殺し』とも呼ぶがな」



「・・・・・・・・・なんか、中二くさい」



「付けたのは私じゃない。昔の知り合いだ。文句ならそいつに言え。死んでると思うが」



「・・・・・・・・・でも、ありがとう」



「ふん。仲間なのだから、当たり前だ」



そう言って金髪の髪を靡かせユエルは去っていく
私はそれを見送り、いなくなった後私はメガネを外し、ユエルから受け取ったメガネをはめる



「・・・・・・・・・もう、見えなくなった」



周りを見回してもさっき見えていた点が消えていた
私はさっき架けていたメガネをケースに入れ、『魔眼殺し』をしたまま食堂へと向かうのであった




















澄みきった青い空に、3つの閃光がぶつかり合う
一つは刹那、二つ目はユエル。
そして最後は・・・・・・・・・・・




「迅雷蒼炎刃!!」




「バリアブルトリガ―!!」




「あははははははは!!甘い甘い!!甘いよ、蒼月 刹那!!ノエル・ヴァ―ミリオン!!そんな蠅が止まる様な攻撃じゃあ私には追いつけないよ!!」




「誰の攻撃が蠅ですか!!逃がしません!!マズルフリッター!!」




「なに!?」




「おっしゃああああああ!!くたばれ!!双刃乱舞!!」




「くっ!!調子に乗るな、ゴミ風情がぁああああ!!喰らい尽くせ、『サクリファイス・ガーデン』!!」




『ガァアアアアアアアアアアアアアア!!』




「ちっ!?」「きゃっ!?」




「さぁ、花の守護獣たちよ、奴等を喰らうが良い!!あはははははははははははははははは!!」




フロースから出された植物で出来た禍々しい龍が2人に襲い掛かる
2人は切り落としては撃ち落とし、燃やしては消滅させるの繰り返し




「灼熱の太陽よ、全てを灰と化せ!!『ライジング・サン』!!」




「荒れ狂う炎よ、今全てを焼き尽くす。イグニート・プリズン!!」




「ちっ!!どうやら少しはやるみたいだね、この世界の蒼月 刹那は」




「へっ、無駄口を叩いてっと後悔するぜ?」




「なに?・・・!?まさか!?」




フロースがノエルが居なくなったのに気づき、周りを見渡す
しかし、どこにいもおらず、索敵範囲を広げると真上に、大気圏内にいるのだ




「今頃気づいた所で遅いです!永遠と燃えなさい!!エターナル・フレア!!」




「だからどうした!!絶氷凛・枝垂れ桜!!」




フロースは刀を鉄扇を二つ取り出し、踊るにつれノエルの炎が凍りついて行くのだった




「な!?うそでしょ!?」




「あまり舐めないで貰いたい。鉄扇を出させた事には褒めてあげるけど、もうお前ら2人には消えてもらう!!翔炎舞踏・火炎龍!!」




舞と共に鉄扇から放たれた二頭の炎の龍が2人に襲い掛かり、2人は回避するが龍は2人を追いかけてくる
2人はフロースから一定距離まで離れ、龍を避けながら念話で対策を立てる




(刹那さん、これは厳しいですね。いきなり審判者が現れたと思ってそこまで行ったら罠でここから数十キロ圏内から出られないですし)




(それよりも今はフロースとか言う女だ。アイツ、今の俺が2人係でも面倒だってのに。くそ!!)




「考え事とは、随分と余裕だね!!水月・明星!!」




海から襲い掛かる水を固形物に変えた槍が下から襲い掛かり、刹那達はそれを弾いては捌き、弾いては捌く




「くっそたれ!!全然相手の攻撃の糸口が掴めねぇ!!」



「くっ、防ぎきれない!!」



「あはははははは!!所詮は最強を言われた神と太陽神でも、無限世界の蒼月 刹那やノエル・ヴァ―ミリオンよりかは弱いね!!ここで消えてもらうよ!!」



「ほざけ!!いくぞ、ノエル!!」



「はい!!」




「「穿て闇よ、砕け絶望!!ファナティック・レイド!!」」




刹那とノエルのタッグ技を放った
ノエルの銃が二つに合わさり、20mある剣となり、刹那の剣がオーラを帯びてノエルと同じくらいの巨大な剣となる
そして2人は振りかざした瞬間に巨大な斬撃がフロースを襲いかかった
避けきれなかったのか、着ている服の腕部分が無くなっており、腕が消し飛ばされたのだった




「!?ちっ!!このゴミ風情がぁぁああああ!!許さない!!この体は、ゼノ様だけが滅茶苦茶にして良いものなのだ!!ゼノ様だけが、私に触れて良いのだ!!ゼノ様だけが、私を傷つけて良いのだ!!消えろ羽虫共!!ディメンショナル・ワ―ル「そこまでにしておけ、フロース」!?ぜ、ゼノ様!?」




怒り狂った表情をあらわにした筈のフロースが、突然どこから入って来たのか分からないが、白い髪をし、只ならぬ雰囲気を漂わせた男、刹那の負の感情であるゼノが現れたのだ
フロースはゼノを見た瞬間にビクビクと、まるでイタズラがバレた子供の様に震えている
しかしゼノはフロースの頭を撫でると、フロースが驚いた表情をしたが次第に目をとろ〜んとさせ、いやらしい吐息を吐いている




「ゼノ様・・・・・・」




「よく生きていた、フロース。怪我は・・・腕の方だけだね」




「は、はっ!申し訳ございません!!こんな醜態を晒してしまい、そして見苦しい私を「それ以上は不要だ、フロース。よく、頑張った」・・・ゼノ様」



懐いた小動物の様にゼノにしがみ付き、抱きしめるフロース
まるで恋人のようにも見える光景だ




「私の仲間が御無礼を働いた。どうか許しておくれ」




「ざけんな、くそったれ。お陰で死にかけた」




「おやおや、最強であるはずの神が“死にかけた”か、面白い冗談だ。数年間幻想郷で博霊の巫女と諏訪の巫女と乳繰り合っていて、鈍ったか?まるで猿だな」




バキュッ!「それ以上戯言をほざくと、眉間に穴が開く事になりますよ、ゼノ。」




「おやおや、これは恐い、恐い。魔銃ベルフェルクの弾丸は我等にとっては強力だ。それに尚且つ【真の蒼】まで特典なのだからな。だが・・・・・・機械人形如きが図に乗るなよ?」




「黙れ!!マタ―・デストラクト!!」



刹那は無数の槍をゼノに向けて投げつける
だがそれは全て当たる事も無く何らかの壁に阻まれて防がれ、その場に消えるのだった



「いきなり攻撃とは随分な御挨拶だな、蒼月 刹那」




「今テメェがほざいた事を撤回しねぇと今度はグングニルを投げてやる」




「おやおや、これまた物騒な。だがそれに関しては非があるな。ノエル・ヴァ―ミリオン。失礼した」




「くっ!!」




「動かないで。それ以上ゼノ様に攻撃すると私は本気でお前達をこの場で潰す」




「やめなさい、フロース。私はこの2人に用があるのだ。手短に済ませたい」




「も、申し訳ありません、ゼノ様!!出しゃばってしまい、何か罰を!!」




「時間が無いと言ったはずだ。罰は後で考えるとして、蒼月 刹那、ノエル・ヴァ―ミリオン。仲間は増えているかな?」




「・・・・・・・・・何が言いたい?」




「なに、本体達が揃い始めているのか訊いただけだ。あの学園には3人いるようだが、1人は能力が無い」




(箒や簪以外にもう一人?誰だ?)




(にとりさんの発見器では見つけられなかったもう一人の負の塊の行き先、いったい誰なの?)




「まぁ、いずれ揃うだろう。その時まで、私のゲーム前までには力を付けると良い。まぁ、勝てはしないだろうがね」




「「・・・・・・・・っ」」




「ではまた会おう、憐れな世界の残りカス達よ。いずれは我が血肉となり、完全体になるまで恐怖するが良い」




「今度会った時は、お前達の命日だ!!」




そう言ってゼノとフロースは消えた
張られていた結界が解かれ、気を緩めたのか、刹那とノエルがそのまま海へと落ちて行く
段々海面に衝突しそうになり、衝撃で体を痛めてしまうかもしれない
だが・・・・・・・・・




「まったく、やってくれたわね」




境界が開き、そこから紫が現れた
隣には金髪で耳が生えており、尻尾を揺らしながら刹那を抱えている女性、八雲 紫の式である八雲 藍である




「刹那、こんなになるまで」




「取り敢えずノエルも含め運ぶわよ。これは・・・・パチュリーとアリス、魔理紗に魅魔、神崎、ユエルの力が必要ね。藍。貴方はユエルを呼んでちょうだい。アレを早急に完成させるわ」




「はっ!!」



藍が刹那を境界の中に入れ込み、そのまま消えた
紫は境界を閉じて、ノエルと刹那に目を向ける
紫は刹那に近づき疲れきって眠っている刹那の髪の毛をかき分ける




「お疲れ様、刹那、ノエル。今はゆっくり、ゆっくり英気を養いなさい」




そう言い残し、今度は別の境界を開き、2人をどこかに飛ばすのであった

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