小説『ハイスクールD×B〜サイヤと悪魔の体現者〜』
作者:生まれ変わった人()

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強化合宿も終盤戦に入った。

現在、俺は剣を構える木場と相対している。

「はっ!」

先に俺が仕掛けて突出してきた。

木場も同時にぶつかり合おうと剣を振るうが、イッセーは横に跳躍して避けた。

「!?」
「そこだ!」

がら空きになった脇腹に拳をねじ込ませようとするも、木場のお得意のスピードで逃げられてしまった。

それどころか姿までどこかへ消して……

だけど、それはあいつが高速で動いただけに過ぎない。

それに……

「おっと!」
「!?」

急に現れた木場の攻撃も僅かだが見える! 後は勘頼りで逃げてまんまと攻撃をかわすと、木場がまた驚愕していたように見えた。

「行くぞ!!」

手を前に出して魔力を捻り出してみるが、やっぱり今は豆粒程度のサイズしか出せない。

だが、それでも手はある。

「知ってるか木場! 水鉄砲の口が小さい方が勢いがあるんだぜ!」
「なにを……!」
「喰らいやがれぇぇ!!」

なぜだか分からないが、俺はこの攻撃法を体で知っている。

豆粒みたいな魔力に拳を叩きつけて相手へ飛ばす!!

ここで重要なのはただ魔力を前にぶつけるんじゃなくて、一本の線のようにして打ち込む。

要はレーザーをイメージして撃ち込むんだ!

放たれた魔力の線は細く、まるで糸みたいに細い。

「!? これは……!!」

だが、木場もその魔力の糸の威力に気付いたのか受け止めようとした剣を引くも、遅かった。

ピシ

木場の木刀を貫通して俺の魔力は山の方へと向かって行ったが、途中で霧散して消えてしまった。

「あちゃー……やっぱ魔力の放出は練習しねえとな……」

魔力量が少ないから途中で消えてしまったんだろうな……そこの所も反省しないと……

そう思っていると、木場が爽やかな笑顔を振りまいてこっちへやって来た。

「凄いじゃないかイッセーくん! まさか五日でここまで強くなるなんて!」
「え? そう……なのか?」

半ば興奮してくるのはちと不気味なんだけど……そう思っていると、俺たちの模擬戦を見ていた部長たちも嬉しそうに駆け寄って来た。

「すごいじゃない! たった五日でブーステッド・ギアも使わずに祐斗に食い下がれるなんて! さすがは私の兵士だわ!」
「しかも、少ない魔力で最高の攻撃力を生み出す……中々できることではありませんわ」
「祐斗先輩の動きにも対応できていました……流石です」
「凄いですイッセーさん! 私感動しました!!」

部長、朱乃さん、小猫ちゃん、アーシアからもお褒めいただいて実感が湧いた。

やべぇ! 俺ってすげぇ強くなってる!!

なんだか努力が一気に報われたような感じだ!!

そう思っていると、カリフは少し面を喰らったように賞賛してくれた。

「驚いたな……夢で少し教えた程度の魔力を使ったか……貫通力を徹底させた攻撃だな」
「うん、この木刀にも僕の魔力をこめたからそう簡単に破壊できないはずだったんだけど……腹に穴が空いててこれ以上使えば確実に折れるね」
「へへ! どうだ!」

木場も関心してくれたようで感無量だった。この時ばかりは野郎の賞賛も素直に嬉しかった。

「まぁ、五日で逃げ、防御、攻撃、魔力運用、実戦訓練をすれば自ずとそうなる……計二十回も心臓が止まって何も無かったら逆にオレが泣く」
「え? 何か言った?」
「別に」

部長の問いにカリフは何気もなく返すと、カリフは改まって言った。

「まあ、これにてイッセーを鍛え上げることには成功だ……後は小猫と朱乃と祐斗の方を見たいんだが……実力的には急に鍛える必要もないから三人には課題でも出すか」
「課題?」
「ま、これはトリ頭の後でも構わん。気が向いたらでいいからやってみろ」

小猫ちゃんが首を傾げると、カリフはまず木場の方へ指をさした。

「祐斗はまず、一つのスピードを覚えてもらう」
「一つ?」
「ああ、最初は……」
         「これだ」
「!?」

突如として俺たちの後ろから声が聞こえ、振り返るとそこにはカリフがいた。

あれ!? 今でも俺たちの前に……!

「残像だ。実体の影を置き去りにする秘技だ。理解したか?」
「す、すげぇ……初めて見た……」

こ、これが残像って訳か……アニメでしか見れないことを実践できる奴がいたなんて……

「気か魔力か何かで面影をその場に止まらせる……できるか?」
「そうだね……やってみるよ」
「よし、後は体力面が弱い節が見られる。今回はそこを重点的に修業だ」
「分かった」

次に小猫ちゃんに向いた。

「小猫はそうだな……これを使え」
「これって……生卵?」
「ああ、生卵だ」

そう言いながらどこからか出してきた卵を落として足に乗せる。

「力があるのはとてもいいこと……だが、それに繊細なコントロールも加われば使い勝手も覚えられる技のレパートリーも増える」

そう言いながら、カリフは足だけでその卵をリフティングする。

まるで、プロサッカー選手のように簡単そうにリフティングしているが、それがどれだけ難しいかくらい俺でも分かる。

こいつ……マジで規格外だ。

「まあ、卵じゃもったいんねえからお前は水風船でやれ」

そういいながらアクロバティックに卵を高く蹴り上げて指を軽く振るった。

それだけで空中の卵は真っ二つに殻が割れ、中身が無傷で出てきた。

落ちてきた中身を大口を空けたカリフの口の中に収まり、飲み込んだ。

「美味……後、お前の打撃は重くて威力はあるが、鋭さが足りない。外を破壊し、ダメージを残す重い打撃に切れ味のあり、意識を絶ち切る鋭さを身に付ければ理想的だ。後、お前は油断する癖もあるからそこを矯正させる」
「うん」

小猫ちゃんは気合を入れて返すのを満足そうに見て朱乃さんの方を向く。

「朱乃にはさっきのイッセーのような魔力の応用を覚えてもらおう」

そう言ってカリフはいつの間にか指先に赤いオーラを纏わせ、力を蓄えていた。

「お前の攻撃は確かに強力だが、その後の攻撃が続かない……なら、一撃必殺の爆発系の他に牽制用の攻撃も覚えておけ……こんな風のな!」

そう言と、カリフは赤く細長いエネルギーを指先から出した。

だが、俺とは違って若干太いし、回転も加わってる。

それにより、貫通した岩は綺麗に突き抜けた。

さらに、カリフが指先を動かすと、あの赤い光線がUターンして戻り、その後に二つに分裂してそれぞれが別の動きを見せた。

「再利用ってやつだ。一発一発を脅威として認識させるために貫通に特化させてみた。これなら相手に数回のダメージは見込めるだろうと思う」
「あらあら、これは難しそうですわね……」

そう言って、赤い光線を爆破させてから続ける。

「後は魔力のスタミナを高めろ。そうそう何度も息切れしてたらそう長くは持たんぞ」
「はい」

優雅に返す朱乃さんを見た後に部長とアーシアたちを見る。

「リアスとアーシアは引き続き逃げる訓練だ。とは言ってもリアスにもそれなりに実戦訓練は施す」
「ええ、それでいいわ」
「頑張ります!」

二人もいい返事で返すと、カリフは早速ファイティングポーズを構えた。

「じゃ、早速お前等をシゴイてやる。面倒だからいつものように全員でかかってくるなりなんなりしてきな」

カモ〜ンと言いながら挑発してくるカリフに先程の三人はやる気を見せていた。

「じゃ、早速体力づくりかな」
「重い打撃と鋭い打撃……」
「雷の巫女……とくと堪能させてあげますわ……うふふ」

そう言いながら各々魔力を漂わせる。

もちろん、部長も不敵に笑って紅い魔力を身にまとい、アーシアも逃げる準備をしている。

まあ、部長もアーシアも逃げることが仕事なんだけどな……

「よっしゃ! 行くか!」

俺もやる気を奮い立たせて全員でカリフに向かって行った。

「オラオラ行くぜ!」

カリフも手を大きく広げ、まるで迎え入れるようなスタンスで俺たちと相対した。

レーティングゲームまであと五日。

それまでに俺だけの力も手に入れないとな……

俺の頭には二つの考えがあった。

一つは、野菜の皮むきで鍛えているイメージした必殺技

そして、もう一つは……俺は自分の神器をただじっと見つめ続けた。







各々の修業も終えてやっと決戦当日を迎えた決戦は悪魔の実力を最も発揮する夜中に行うこととなった。

そして、カリフにも出場の権利を与えられたので、どうライザーを料理してやろうかと部屋のベッドの上で考えている。

カリフの出場もライザー自身からの要望だった。自分への復讐を考えているだろうが。

だが、カリフはそう簡単に復讐されようとは微塵も思っていない。

その前に『完全な』勝利を画策していた時だった。

一人がカリフの部屋へと入って来た。

「……小猫か……あと朱乃もいるな?」
「あらあら、分かりましたか」

無言で入ってくる小猫と微笑みながら入ってくる朱乃は学園の制服姿だった。そして、カリフもあの長ラン姿でベッドから身を起こした。

二人は何も言わずにカリフの両サイドを陣取る。

そこから何も言わなくなってしまったが、カリフは察した。

「怖いか?」
「「……」」

図星だったのか二人は何も言わずにカリフのそれぞれの手に自分の手を重ねる。

二人の手は微かに震えていた。

そんな二人の心情を悟ったカリフは少しやれやれといった様子で笑った。

「それでいい……主人の未来が決まる一戦だ……不安も恐怖もあるだろう……だけど必要なことは何かって合宿の時教えただろう?」
「……恐怖を理解して乗り越える……」
「そうだ。難しいかもしれんが、今がまさにこの時だ」

そう言うと、カリフは握られた手を振り払い、今度は強く握り返した。

「え……」
「あ……」
「オレは成長する命と生まれたがる命は全て祝福し、手助けくらいはする……さっきオレの手を握った時、お前等の気持ちが安らいだのを感じた。恐怖を忘れるでもない、何か別の感情が後押ししているのが分かった」

淀みない答えと共に二人の自分より冷えた手を握る。

「これくらいで『勇気』が湧くというのなら幾らでもしてやる……だから落ち着け」
「……うん」
「あらあら、大胆なアプローチですわね」

二人の表情には笑顔が浮かんでいた。

二人は頬をほんのりと紅に染めながら無骨でゴツゴツした頼もしい手から『勇気』を貰っていた。

それを見届けたカリフは手を離し、勢い良くベッドから立ち上がった。

「まあ、オレがいるんだ。どんな理由があっても負けはねえ……今回のテーマは『完全なる勝利』だ」
「流石に大きくですぎ……もっと落ち着いた方がいい」
「そうかしら? このほうがカリフくんって感じがするわ」

いつも通り、自信しか醸し出していないカリフに二人も苦笑している。

もっとも、そこが何よりも頼もしい所なのだけれど。

「それに、ただ順当に勝つだけじゃあ面白くない……オレはどんな意味にしろ人を驚かせるのが大好きでね。今回もやらせていただくぜ……」

不敵に笑うその姿に二人は首を傾げる。

その視線の先にはなにやら大がかりな荷物が目に入った。







そして、同じ頃のイッセーの家では……

「……アーシアはいないよな」

冴えわたる勘で部屋に一人しかいないことを確認すると、神器を展開させた。

「おい、聞こえているんだろ?……返事しろ」

神器に向かって話しかけると、神器の宝玉が光った。

『ほう、俺の存在に気付いていたか』

宝玉からの声にも動じずにイッセーは続けた。

「なんとなくだけど、お前の姿が何度か頭の中でチラついてたよ。多分、カリフの独自メニューと言う所に関係したんだろうな。五日であそこまで強くなったのも可笑しな話だったし」
『認識まではいかないにしろ覚えはしてるか……最初の頃と比べてめざましい進歩を果たしたものだ……それで何用か?』

声の主、ドライグの問いにイッセーは間髪入れずに言った。

「俺と取引しろ」

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