小説『ハイスクールD×B〜サイヤと悪魔の体現者〜』
作者:生まれ変わった人()

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「……もう一度」
「だからな、オメエはあの時200年も氷漬けにされてたんだぞ?」
「なるほど……どうりで……」
「はっはっは……オメエもヌけてんなぁ!」
「貴様にだけは言われたくなかった……」

 現在ではカリフと悟空はあぐらをかいて互いに語り合っていた。

 あの後、悟空に驚きながらもカリフは落ち着かされ、話をすることになった。

 どうやら悟空は全て神龍を通じて見ていたため、カリフの身に起きたことを本人に伝えていた。

 その他にも今までのことも話した。

 魔神ブゥ、ベビー、超17号、そして邪悪龍との決戦を全て話した。

 話を聞いていたカリフはなにか壮大な物を感じ、ため息をつくしかなかった。

 同時に自分が眠っている間にベジータたちがまた更に強くなったのに悔しさを感じていた。

 そんな他愛のない話をしばらく続けていた悟空は物思いにふけるカリフに聞いてみた。

「……オメエ、もう一度やりなおしてみねえか?」
「なに?」

 悟空からの一言に目を見開く。

「そんなことができるのか?」
「あぁ、オメエの頭に輪っかがあるだろ?」
「ん? あぁ……何だこれ」
「それは死者の印だな。オメエは惑星の特別な病気で死んだのはもう言ったろ?」
「なるほど……だが解せんな。死者であるオレが蘇るのか?」
「オメエも聞いたことあんだろ? ドラゴンボールの話」
「……」
「まあムリねえか。見たことはねえもんな」

 カリフが地球にいる間、危機は全く訪れず、ドラゴンボールを使うこともなかったので少し疑ってもいる。

「まあ、軽く答えてくれよ。もし生き還れるとしたらどうする?」
「……」

 悟空からの問いにカリフはほくそ笑んで一言。

「愚問だな」
「へ?」
「折角、いい話を聞いたのだ。スパーサイヤ人4? 望む所ではないか」

 ついさっきまでの死の間際に思ったことも今や記憶には入っておらず、新たな目標に目を輝かせていた。

 そんな彼に悟空は呆然とし、すぐにこみ上げてくる笑いを極力堪える。

「なにを笑っておる……」
「わりいわりい、なんかオメエってば、ベジータに似ててよぉ」
「当然だ。奴に育てられたのだからな」

 当たり前かのように応えるのだが、悟空はなんだか懐かしい気分になった。

 なんだか、久しぶりにベジータに会えたような感覚だった。

「それじゃあもう一ついいか? 答えてくれたら生き還らせてやる」
「なんだ?」

 そして、もう一つ聞きたいことがあったから聞いてみる。

「オメエ……どうして強くなりてえんだ?」
「なんで……とは?」
「ん〜例えば……誰かを守るためとか……強くなったらなにがしたいかって聞いてんだよ」

 意外な切り返しに悟空もチグハグに説明すると、カリフは間を置かずに応える。

「強くなりたいから。それ以外の理由はない」
「いや、オメエ……」
「話はそれだけか?」
「いや、ちょっと待てって! え〜っとじゃあ……」
「……」

 悟空が自分になにを言いたいか理解できないカリフに苛立ちが募り、舌打ちをする。

 しばらく考えて悟空は思い至った。

「そうだ!! それならオラから宿題だ!」
「……」
「んな嫌な顔すんなって……そうだな……お題は……」

 何で強くなりたいのか……その答えを探せ。

 悟空の出題内容にカリフは

「……意味が分からん」

 頭を捻ることしかできなかった。

「もし、暇ができたら少しだけ考えるだけでいいんだ。頼むよ」
「……善処しよう」
「おう!! そうしてくれ!!」

 この時はとりあえずの感覚で聞いていただけだったが、それで生き還るのなら望む所だと思った。

「じゃあ用意はいいか?」
「できるだけ早くしてほしいがな」
「神龍ーーーーーーーー!」

 悟空が天に向かって声を張り上げると、上空から巨大で神々しい威圧を放つ龍が現れた。

「これが神龍……」
「おーい! 話聞いてたなら頼む神龍!!」
『容易いことだ……』

 この世界に響く声を放つ龍にしばらく見惚れるも、ある一点から光の柱が現れたのに気付いた。

(これが龍の神の力………興味深いな)
「その柱の中に入れば別の世界の地球に行けるぞ」
「別の世界? どういうことだ?」
「いやあ、なんかオメエ旅が好きそうだったからな」

 はっはっはと笑う悟空に釈然としない感じがするが、カリフとしてはその方が好都合だった。

 もはや、あの時の地球にはなんの未練もなかった。

 自分が住んでいた地球に戻るよりも何か未知なる物が溢れる面白い場所に行く方が何万倍もよかった。

「好都合」

 そう言いながら躊躇いも無く光の中へと飛び込んだ。

 カリフの頭にはこれからのことしか考えていない。

 過去を認めながら未来を受け入れる。

 だが、都合の悪い運命はこの手で叩き潰す。

 そう胸に誓いながらカリフは悟空の元から旅立って行った……


















































「いや〜♪ これから楽しみだ♪」
『悟空よ……お前も意地が悪いな』

 カリフを包みこんだ光が消えた直後、悟空は笑い、神龍がカリフに同情する。

「ひでえこと言うなって、あいつは向上心がたけえからすぐに強くなるさ」
『それを見て楽しむのがお前の算段なのだろう?』
「にっしっし……これで退屈も紛れるな!」
『……』

 神龍は悟空の暇つぶしの一環で送られたカリフに本当に同情した。









 ともあれ、カリフは一度は失った人生をやり直すこととなった。

 この先、どんなことが彼を待っているのか……

 だれにも知る術は無い……

-7-
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