『ビーッ!!』
試合終了を告げる機械音が、体育館中に響く。
それと共に沸き上がる歓声。
チームのみんなは、ハイタッチをする奴、ガッツポーズをする奴など様々。
それぞれが自分なりの喜びを体で表現している。
俺も例外じゃない。
ガッツポーズをしてた。無意識に。
目の奥が熱くなって、涙がこぼれた。
「ありがとうございました!!」
俺達の高校生活、最後のハンドボールが終わった。
―――――山乃海高校ハンドボール部、全国大会優勝―――――
――寺上 龍磨(てらがみ りゅうま)二十歳――
俺は今アパートで一人暮らし中。
酒も飲める、タバコも吸える、バイク免許も持ってる。
職業はフリーター。ちなみに彼女はいない。
ハンド部だった奴らはほとんどが、大学に入ったり、就職して社会人チームに入ったり
何らかの形でハンドを続けてた。
ちなみに俺はというと
ハンドよりもやりたいことがあった・・・・・・
気がした。
だからハンドは続けなかった。
なのに
やりたいことが見つからず、結局フリーター。
週四のバイトで生活費を稼いでる。
毎日同じ事の繰り返しでつまんねえ。
・・・・・・やっぱりハンドしてえな。
そんな事を考えても、もう遅い。
もっと早く決断すれば良かった・・・・・・。
そんなときに一通のメールが届く。
【from 谷村 啓太】
親友であり、チームメイトでもあった男の名前があった。
何か新しいことが始まる予感がして。
少しだけ、期待と興奮を胸に携帯の画面を開いた。