小説『遙か彼方の』
作者:読み手書き手(僕のブログ)

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啓太と俺は中学、高校ともにハンドを続けた仲間だった。

そんな奴から突然届いたメール。


俺はこのメールが
つまらない日々を変えてくれるものだと思った。
そうであって欲しいと心の何処かで願った。


そして、その内容は俺の期待通りのものだった。

要するに『ハンドやろーぜ』って誘い。

あまりにも突然で、タイミングが良すぎて、少し怖くなった。
が、このチャンスを逃す理由にはならない。

直ぐさま返信のメールを打った。


場所は山高。つまり俺達の母校。

今は三月の終わり頃だから高校は春休み。

山高のハンド部は一日練らしい。
てゆうか、アイツは何で練習の予定知ってんだ?

・・・・まあいいや。
今の時間はっと・・・・・・。

近くにあった簡素菜デザインの目覚まし時計を確認する。

・・・・・・十時か。


それじゃ早速準備して行くか。


「えっと・・・・シューズは確かここら辺に・・・・・・っと。」

あったあった。

ずいぶんホコリかぶってるけど
動くのには問題ないだろ。


家の鍵を閉め、バイクに乗って山高の体育館に向かう。

見慣れた町並みを走りながら思う。

バイクの運転も慣れたもんだな。
もう二年も乗ってるから当たり前だけど。



校門を通って、適当なスペースを見つけた。

別に駐車場に駐めなくても怒られやしないだろ。


あっそういえば中田先生はいないんだっけ。


中田先生は俺達が入学したときに赴任してきて、三年間ハンド部の顧問やってくれた人。
あの人がいなかったら全国優勝なんて出来なかった。
そんな風に思ったことが何度もあった。

とにかく凄い先生なんだけど、俺達が卒業した年にいなくなったんだよな。
何処の高校に行ったかまでは覚えてないけど。

そんなことを考えていると、いつの間にか体育館に着いていた。


扉に手を掛け、ゆっくりと押す。

そうしないと扉がギィギィと鳴ってうるさい。

「オイ〜ッス」

高校時代と変わらない感じで体育館に入る。

この時に、軽く目を閉じるのが俺の癖。

軽く閉じた目を開いた。


ハンド部は昔とほとんど変わらないと思っていた―――――




「えっ・・・・・・!!」


目の前の光景に驚愕した。
俺は目を疑った。

目の前の光景が信じられなかった。

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