小説『dog days not勇者』
作者:maguro328()

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本日2度目の目覚めは自室だった。背中が凄い痛い。
「あ、起きた!」
視界がはっきりとして最初に見えたのはシンクだった。少し起き上がり部屋を見渡すとリコッタやエクレール、ロランさんやミルヒオーレさんもいた。
全員が何かを言っているが頭の方はまだはっきりとしていないので正確には分からなかった。
「駿!」
「・・・・・・え?あ、なんだ、シンク?」
「みんな心配したんだよ!」
「あ、あぁすまなかった」
なんだろうか?何故か変な気分だな?
「本当に心配したでありますよ!」
「リコの言う通りですよ、駿さん」
リコッタはベッドに手を付けてぐいっと俺によってそう言い、ミルヒオーレさんはそれを援護するように言った。その上にエクレールには叱られて、ロランさんにも心配された。
・・・・・・・・・・・・なんだろうか、この違和感?
「あれ?駿?なんで泣いてるの?」
シンクに指摘されて初めて気付いた。俺の目から涙が流れていることに。
「え?あれ?なんで・・・・・・・・・・・・」
その涙でようやく違和感の理由がわかった。
神童と呼ばれた俺は一度も天理駿と心配されず、いつも新しい技術を生み出す物として心配されていた。あの馬鹿科学者どもは俺がそれに気付いていないと思っていたみたいだが小さい頃の俺は当たり前の様に分かっていた。
だがここではその肩書きは無く、天理駿として心配されていることに感動・・・・・・・・・・・・いやそんな大層なものじゃないな。単に嬉しかったんだろう。
「ごめん、少し・・・・・・落ち着かせてくれ」
俺はみんなにそう頼んで少しの間、1人にしてもらった。
俺はベッドの上で仰向けになり頭をはっきりさせていく。
フロニャルドに来てからいいことばかりだ。新しい技術に出会い、新しい友人が出来、そして天理駿として見られている。こんな嬉しいことはない。
そういえば昔、本で読んだ覚えがある。「幸福はリレーだ。人から受け取ったバトンの分、自分も受け渡さなければいけない」、自分が幸せにしてもらった分は自分も誰かを幸せにするという意味だろう。
なぜ今にこれを思い出したのだろうか?そんなこと分かっている。俺は幸せにしてもらったのだ。なら、さっきの言葉の通り俺は人を幸せにすることに励もう。それならまずはしっかりとみんなに謝ろう。
俺はそう決意して、部屋を後にした。

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