小説『dog days not勇者』
作者:maguro328()

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今回の旅、目的地はパスティヤージュ、同行人はリコッタとエクレールとユキカゼだ。

そしてどうやらパスティヤージュは思いのほか遠いらしく、セルクルに乗ってもけっこうかかるらしい。

「それにしても駿、お前はどうしてフロニャルドの歴史が知りたいんだ?」

「うん?あぁ〜・・・・・・実はこっちの国が滅んだ夢をみたんだが、結構現実的でな、気になったんだ」

「夢でござるか・・・・・・それはまた奇妙でござるな」

ユキカゼの言うとおり、来て一ヶ月の国の昔話を夢で見るなんて本当に奇妙なことだ。

「後は色々引っ掛かるし、それに俺は謎が大好きなんでね」

そうこの夢に関してもあの少女に関しても不謹慎かも知れないが俺はワクワクしているのだ。そして今回俺はあわよくばまた新しい謎が見つかることを期待してたりもする。

「あははは、駿様、目がキラキラしているであります」

そりゃ、そうだよ。謎というものはいつも俺を楽しませてくれる。そういえば俺は昔は謎しか友達いなかった気がする。

「あ、パスティヤージュが見えてきたでござる!」

「お!あれがパスティヤージュか!」

見えてきたのは他の二国と同じように大きな城と城下町だった。空には大きな鳥が飛んでいる。あれは・・・・・・セルクルとは違うな。

結局ユキカゼやエクレール、リコッタの後についていきながらおしゃべりをしていたら、いつの間にかパスティヤージュのエッシェンバッハ城へと辿り着いた。

「おぉ、これはまた立派な城だな」

「当たり前だろう」

いや、こんなでかい城があることが当たり前って。やっぱり常識系統の話はまだ慣れないな。

「それじゃ、クー様に会いに行くであります」

セルクルを置いてから俺達は普通に城に入った。

「よく来たのじゃ!リコッタ達よ」

どうやら先に来るように知らせてたらしく、扉を開けるとそこには多くの使用人とリスの様な尻尾が可愛らしい少女がいた。

「クー様〜、出迎えありがとうであります!」

「クーベル殿、お久しぶりでござる」

「クーベル様、お久しぶりです」

みんなクーベルもしくはクー様と呼ばれる少女の元へ走っていった。

あれ?なんか疎外感を感じる・・・・・・・・・・・・。

「クー様。こちらが話した天理駿様であります」

「ガレット自由騎士(仮)の天理駿です」

「おぉ、お主が駿か!ウチはここパスティヤージュの第一公女、クーベル・エッシェンバッハ・パスティヤージュじゃ」

成る程、この人がここの領主か。これはまた若い。

「よろしく、クーベル様。それで、いきなりですいませんが・・・・・・・・・・・・」

「わかっておる。フロニャルドの歴史を知りたいのであろう。用意してるのじゃ」

すごいいい人だな。噂しか聞いていない見知らぬ人間にここまで協力してくれるとは。

「ありがとうございます!」

俺は深々と一礼した。その後、クーベル様が書斎へと案内してくれた。

「これじゃ!」

クーベル様が持っていたのはかなり古い本、たぶん何百年前の本だろう。

「これは、また古い本でござるな」

「であります」

二人の言うとおりこいつには載っている気がビンビンする。

「よし、少し集中してこの本読んでみるよ」

俺は近くの椅子に座り本を広げた。そして集中・・・・・・・・・・・・

「どれどれ」
「何が載っているんだ?」
「エクレ、押さないでほしいであります」
「拙者も見たいでござる」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・うるさい。

「あの〜、出来れば集中させてほしい」

さすがにこんだけ近くで喋られる上に押されると俺も集中モードに入れない。

こうしてみんなには少し離れてもらい、俺は集中モードに入った。







クーベル様達が用意してくれた資料は大正解だった。

そこに載っていたのはここから少し離れた場所にあった国、そこが何も原因が分からないまま、国民全滅、国が完全に滅んだらしい。

さらにもう少し詳細が載っている。国民はほとんどが何かで斬られたような傷をおっており、城下町の様子は建物のあちらこちらが崩れて、跡形がない建物もあったらしい。そしてもっと酷いのは城の様子、人によっては跡形がないくらいぐちゃぐちゃになっていたのだ。

最後に宝剣は片方が何処かに消えて、もう片方が破壊されていたらしい。

資料はここで終了、俺は本から目を離して思考モードに切り換える。

魔人化、それによって見ることになった過去の夢、滅んだ国、そして国を滅ぼした魔人と思われる存在。

それらにより、魔人の少女となにか関係するかまだ曖昧だが少し繋がっている気がした。

「・・・・・・・・・・・・クーベル様」

「む?どうしたのじゃ?」

俺は先ほどから開いているページをクーベル様に見せる。

「この国があった場所っていけますか?」

「うむ、大丈夫じゃ。スカイヤー!」

クーベル様はそう言って宝剣の指輪を掲げた。すると絨毯型の乗り物が現れた。

あれは、魔法の絨毯!

「さぁ、乗るのじゃ」

クーベル様はスカイヤーの運転席に乗りながらそう言った。

「え?連れていった下さるんですか?」

「お主が言ったんじゃろ?」

人が良すぎるな。たぶん昔の俺ならこの人を信じてないな。成長したな、俺。

「なら、お言葉に甘えて・・・・・・」

少し悪い気がしたのだが、魔法の絨毯に乗りたいという好奇心が圧倒的に勝ってしまった。

「あれ?駿様、クー様、どこかへ行くでありますか?」

「少し現場に行ってくるよ」

俺は言いながらスカイヤーに飛び乗る。おぉ、これが魔法の絨毯か。

「わかったであります」

「よ〜し、スカイヤー!」

クーベル様の合図でスカイヤーが動き出した。

「うぉ!?」

俺はすぐさま運転席の背もたれにしがみ付いた。あぶねぇ、落ちるとこだった。

「うぉ、飛んでる!」

「あはは、ウチのスカイヤーはすごいじゃろ?」

「はい!」

そういえばこっちで空飛んだの初めてじゃないか?うおぉ、風が気持ちいい〜〜。

「それにしてもクーベル様は優しいですね。初対面の俺にこんなにしてくれるなんて」

「そうか?」

「はい、資料を見せてくれる上に現場まで連れて行ってくれるなんて」

俺は周りの景色を見渡しながら言った。

「うぬぅ、実はウチもその国に関しては気になっていたのじゃ」

「え?クーベル様、あの国知ってたんですか?」

それは新事実だ。てかあの時、どれどれ、とか言って覗いてた気が・・・・・・・・・・・・。

「うむ、少し前にあの本を見つけてな。原因が不明の滅亡、一体何があったのか・・・・・・・・・・・・」

成る程、だから直ぐに資料を用意出来たのか。

「それはそうとお主は何故、調べたくなったのじゃ?」

「俺ですか?実は・・・・・・・・・・・・」

俺はあの奇妙な夢の話をした。するとスカイヤーは一度大きく揺れた。

うぉ、あぶねぇ。落ちるとこだった。

「ほ、本当か!?お主が見たそれがあの国だとしたら・・・・・・」

「はい、この世界の大昔、今も解明されていない危険があるかもしれません」

もし俺が夢で見たあれが災いとか言われるものなら、ビスコッティにもガレットにもパスティヤージュにもそれが起きる可能性を拭い切れない。

それはなんとしても防ぎたい。あれが現実のことだと知った時から、俺の中でその気持ちが大きくなっていた。

「さて、もうすぐ着くぞ」

クーベル様がそう言って近づいていったのはその時代からずっと残されていることが良くわかる廃墟だった。

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