小説『dog days not勇者』
作者:maguro328()

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「うわぁ!」

目が覚めると俺は客室のベッドで横になっていた。俺の体は汗でびっしょり、気持悪くて仕方がなかった。

俺はベッドから降りて、一度姿鏡を覗き込む。これは俺の目が魔人化してからの習慣だった。これからどんな変化をするか分からないからな、しっかりと確認しておかないと。

鏡の中ではいつも通り、片目が真っ赤な俺の・・・・・・・・・・・・。

「え?」

鏡に映っているのは確かに俺だ。しかし俺のばさぼさの髪は腰辺りまで伸びていた。これは明らかに魔人化が進行してるな。

もしかして過去の夢を見れば、魔人化が進む?

「はぁ、情報が少なすぎる」

たぶん、タツマキがシンクに通信機を渡す時間もあるだろうから、リコッタに許可取って、ダルキアンさんに会って訊くか。

俺はそう決めてから、とりあえず伸びた髪を後ろで束ねて書斎へ向かう。もちろん眼帯も忘れていない。

書斎に着いてから俺はドアを三回ノック、そしてドアを開ける。そこにはリコッタの他にエクレールやミルヒオーレさん、ユキカゼにダルキアンさんまでいた。

「あ、駿・・・・・・様?」

どうやら髪が伸びていることを疑問に思ったらしい。う〜ん、ここで話すべきだろうか?

「いや、よく分からんがこんなに・・・・・・・・・・・・まぁ、たぶん大丈夫だよ」

半分正解、半分ハズレみたいな答えをした。

「それならいいでありますが・・・・・・・・・・・・」

「う、ま、まぁ、とりあえず今日は通信機の始発試験だろ?シンクに通信機は届いたかな?」

俺は話を無理やり切り替えた。

「それならつい先ほどタツマキが向かったでござるよ」

ユキカゼを筆頭にみんなも俺が話しにくいことを察してくれたようで、シンクの話に変えてくれた。

俺はみんなの優しさに甘えてからダルキアンさんの傍へ行って
「後で相談いいですか?」
と告げた。ダルキアンさんはこれに「わかったでござる」と笑って答えてくれた。

そこからしばらくシンクの話を続けていると

Prrrrrr、Prrrrrr

と俺は聞きなれた呼び出し音が通信機から響いた。俺は俺の携帯(タッチ式)を元に作られた通信機の画面をタッチして電話に出た。

「シンクか?」

俺は受話器を耳にあててそう訊いた。

『駿〜!久しぶり〜!』

「あぁ、久しぶりだな。そっちではどうだ?」

約一週間ぶりの会話、俺はシンクと世間話をした。後ろから変わってオーラが半端なかったが。

「シンク、それじゃ映像モードに切り替えるぞ?」

『あ、うん。ちょっと待ってね〜』

俺は映像モードのボタンを押して切り替えた。

「よし、せいk「シンク〜、久しぶりです〜!」「勇者殿〜」「久しぶりだな」「勇者様〜」・・・・・・・・・・・・はぁ」

俺は仕方なく後ろへ引き下がった。

「いやぁ、勇者殿はみんなに好かれているでござるな」

「そうですね」

俺は黒電話から少し離れて落ち着いていたダルキアンさんと話し始めた。

「それより駿殿、先ほどの相談とは?」

「あ、そうでした。実はこれ・・・・・・」

俺は眼帯を外して真っ赤な目をダルキアンさんに見せた。

「それは・・・・・・!?」

「魔人の少女のプレゼントで俺は魔人化、してるそうです」

俺がそう言うとまたダルキアンさんは驚いた。

「魔人化、というのは・・・・・・?」

「たぶん言葉のままですよ。この髪もその症状の一つです」

俺は束ねた髪をさすりながら言った。

「しかし、魔人化・・・・・・・・・・・・聞いたことないでござる」

「そうですか・・・・・・」

ダルキアンさんでも知らないとなると、いよいよ頼みの綱が無くなったな。しかしあの少女、何者なんだ?

俺はそこでふと今日の夢を思い出した。何故か分からないがかなり鮮明に俺の記憶に蘇ったのだ。

「・・・・・・・・・・・・ダルキアンさん、フロニャルドで滅んだ国ってありましたか?」

「拙者の国は魔物によって滅ぼされたでござる」

・・・・・・・・・・・・あ、これは聞いちゃいけないことだった。訊く人を選ぶべきだった。

でも、魔物?あれは魔物というより魔人に近い感じだったし、もっと言うと禍々しくて見るだけで嫌になる感じだった。

「ならフロニャルドの全体の歴史が載っている本ってありますかね?」

ビスコッティにもあったと思うが、俺のお目当ての情報はなかった筈だ。ガレットも似たようなものだった気がする。

「それなら、パスティヤージュにいけばいいであります」

いつの間にかシンクとの通話が終わっていたらしく、リコッタがいてそう言った。

「パスティヤージュ?」

なんか読んだ気がする。確か晶術という輝力の使い方をしている国で俺が一度行ってみたいと思った国だったはずだ。

「確かにガレットにもビスコッティにも無いのならパスティヤージュに行くのが賢明だな」

「エクレールの言うとおりにするか。リコッタ、明日付き合ってくれるか?」

「了解であります」

こうして俺のパスティヤージュへの旅が決定した。またガレッドに帰れないなぁ。

-30-
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