「・・・・・・・・・・・・」
これは、この国での出来事、そして滅んだ理由?いや俺の見た夢とも違うし、あそこに書いてあった詳細とも違う気がする。
つまりこれは・・・・・・・・・・・・まだ途中、これからなにかが起こる!?
「まぁ、大体正解かな、駿君」
「!?・・・・・・・・・・・・魔人!」
いつも通り黒い着物に狐の耳を携えた少女が俺の後ろ、埃まみれのベッドに座っていた。
「奇妙な格好をしているな、髪も長いし、眼帯とは・・・・・・」
「誰のせいだ。てか眼帯は前にも付けてたよ」
「そうか?後ろからだったから見えなかったな」
はぁ、なんなんだこいつは・・・・・・・・・・・・。俺は日記を本棚になおして、魔人の方に向き直った。
「で、なんで出てきた。そんな世間話の為じゃないだろ?」
「そうだな、では本題へ。よくぞここまで辿り着いたな」
「・・・・・・・・・・・・お前はこれと関係があるのか?」
「ふふっ、さぁね」
くそっ、やっぱりこいつはよく分からない。
しかしこいつとこの国との関係が見えてこないな。
「そういえばお前、名前はなんなんだ?」
「エルディーナ、とでも名乗ろうかな?」
エルディーナ、なんだその名前?
「ならエルディーナ、この国はどうして滅んだんだ?」
「まだ、教えられないよ」
どうやらまだ俺の集めた素材は十分じゃないらしい。こいつは一体何がしたいんだ?
「それじゃ、今日の所はこれでお終い。いい夢を」
エルディーナがそう言いながら指をパチンと鳴らした瞬間、俺は一気に眠気に襲われた。
「なっ!?・・・・・・く・・・・・・そ・・・・・・」
俺は最後の抵抗と言わんばかりにエルディーナに手を伸ばしたがエルディーナはそれを軽く避けて、俺は埃まみれのベッドに倒れた。
*
『また、この夢か』
これは前回の続きだろうか・・・・・・。そう思ったがどうやら違うらしい。
何故なら、人間が生きているからだ。でもあまりよろしい状況ではなくみんな戦争をしている。
騎士達が次々と国民を切り倒していく。どうやらフロニャ力が弱いらしく、全員が血を出している。
そう、これがあの日記に書いてあった内戦、国民が鬼のような形相で騎士に迫っていき、子供は泣き叫び、騎士はそれらを粛清する。
俺は動けず、それをただジーと見ていた。どんどん人が倒れていく。だが誰も死なない。どうやら致命傷は負っていないらしい。
それを見て、また疑問が湧き出る。ならどうしてこの国は滅んだんだ?これなら王国軍も逃げることはないはず。
俺は内戦を見ながら考え事をしているとある国民に違和感を感じた。
『あれは・・・・・・黒いオーラ?』
黒い禍々しいオーラがゆらゆらと揺れていた。そしてよく見ると他の人達からも出ていた。さらにそれは上へと上がっていく。
『なんだよ、これ!?』
上には巨大な黒い塊りが浮いていた。しかもそれはどんどん大きくなっていく。
俺は驚愕して声が出せなくなってしまった。だがその間にもどんどん塊りは大きくなっていき、そして
バンッ!!
城の上に放たれた。そして世界は一瞬黒に包まれ、そして城の上には奴がいた。
そこで意識が途絶えた。
*
結局、俺は辺りが真っ暗になるまで寝ていた。
クーベル様にああ言った手前、さっさと帰る義務がある。
俺は勢い良く立ち上がり、城を滑走した。だが一つ疑問を感じた。さっきまであった長い髪が消えて、数日前と同じ、首辺りまでのボサボサ髪に戻っていた。
「あれ?まさか・・・・・・・・・・・・」
眼帯を外して俺は近くにあった埃まみれ鏡を持って、月明かりと星の光がある外へ走って辿り着いた。
そして鏡を綺麗にして俺の姿を確認する。
「目が、戻ってる」
俺の目はもう一週間以上前の様に黒い瞳になっていた。
これはつまり、魔人化がなくなった?いや、違う。これは俺の予想が正しければ・・・・・・・・・・・・
「輝力解放、ライジングモード」
俺の周りに雷が発生する。しかしその雷は禍々しい赤を放っていた。それに加えて、俺の輝力もそれに似た色になっていた。
つまり病気は外が何も無ければ、内に重大なことが起きている。これと一緒で俺の魔人化はもうすぐで終わる。
「・・・・・・・・・・・・魔人に、なる」
だが、そんなことは気にしてられない。とりあえずクーベル様を安心させる為に俺は一刻も早く帰らなければいけない。
俺は不安を掻き消すように一心不乱に森を走り抜け、気がつけばエッシェンバッハ城についていた。
そして輝力を使い切り、その場に倒れ込んだ。