小説『dog days not勇者』
作者:maguro328()

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「・・・・・・・・・・・・さ・・・・・・」

声が聞こえる。

「しゅ・・・・・・・・・・・・さ・・・・・・」

俺を呼んでいるのか?

「駿様!」

「うおっ!?」

目が覚めると俺はベッドに横たわり、リコッタ達はそんな俺を心配そうな目で見ていた。

「あれ?俺・・・・・・・・・・・・」

「駿殿!よかったでござる!」

ユキカゼはそう言って俺に抱き着いた。

「駿よ、お主約束したじゃろ!無事に帰ると!」

クーベル様が叫んでいる。駄目だ、まだ頭がはっきりとしない。

「駿様!」

「すまん、頭がはっきりとしないんだ。少し待ってくれ」

俺はなんとか記憶を呼び戻す。確か俺は城に入って・・・・・・・・・・・・。

「そうだ!あの国が滅んだ理由はわかったんだ」

「そんなことはどうでもいいのじゃ!」

おもいっきりクーベル様に怒られた。なんで怒られるんだ?俺はちゃんと帰ってきたのに?

「そうであります。また輝力を使い過ぎたでありますか!?」

「あ、あぁ・・・・・・・・・・・・そうです」

どうしようか?輝力を使い切った理由は少し話をしにくいからな。そう思考を巡らせているとエクレールが口を開いた。

「ところで、駿。貴様、何故そんなに変わっているんだ?」

「ん、あぁ・・・・・・・・・・・・たぶん全て終わったから元に戻ったんだ。あははは、それで嬉しくなって無理しちゃったんだ」

俺はエクレールの質問を利用して言い訳をした。そうして作り笑いをした。大丈夫、俺が7年間で作り出した誰にもばれない作り笑いだ。

「うぅ、それならもう良い。それであの国は・・・・・・?」

クーベル様達は納得してくれた。これが何かを察したのか、そうじゃないのかは分からないが、とりあえずその話は終わり、さっき見た夢と日記のことを話した。

「それはつまり・・・・・・・・・・・・どういうことでござるか?」

ユキカゼも魔人に関しては分からないらしく、この事件も初めて聞いたらしい。

「たぶん、魔人っていうのは人から生まれる魔物のことなんだ。人の怨みや悲しみ、憎しみが形となる者が魔人。まぁ、はっきりとした確証はないんだが・・・・・・」

「それが起きて、その国は滅んだでありますか?」

「だが、そんなことが起きるなら他にも例があるんじゃないか?」

「そうなんだよ。そこが分からないんだ」

結局、まだ素材が足りないのだ。だからエルディーナも答えてくれないのだろう。

俺はベッドから立ち上がり、軽い柔軟運動で体をほぐしながら時計を見た。針はもう8時を指している。

「もう8時か・・・・・・」

「今日はもう遅いから泊っていくとよいのじゃ」

クーベル様は本当に優しすぎないか?てか3人ももう泊まる気だし。

「それじゃ、風呂借りますね。さすがにしんどいんで」

「うむ、それなら案内するのじゃ」

そう言ってクーベル様は歩き出す。俺もそれについていく。そしてその後を3人がついてくる。

「・・・・・・クーベル様「クー様でよい」え?」

「クー様と呼ぶのじゃ。みなもそう呼んでおるしの」

クーベル様はこっちを振り返り、純粋な眩しい笑顔で言った。

「・・・・・・・・・・・・なら、クー様。ここは男女別れてますよね?」

「当たり前じゃろ」

ですよね〜。なにおかしな質問してんだろ、俺。

「別に拙者は一緒に入ってもいいでござるよ」

「勘弁してくれ、ユキカゼ」

俺はシンクの様なことにはなりたくないんだ。

そこでリコッタが何か思いついたように手をあげた。

「そうであります!折角でありますから、みんなのことをそれぞれユッキー、エクレ、リコと呼んでみるのはどうでありますか?」

「いいでござるな!」

なんか、俺の拒否権なしで話が進められてる気がするな。

「さぁ、さぁ、どうぞであります」

どんどんリコッタとユキカゼが近づいてくる。俺はそれから後ずさりながら逃げる。

やばい、なんかこれまでずっと呼んでいたものを変えるのは恥ずかしい。どうする?

「ついたぞ」

クー様の救いの声が耳に入った。

「お、俺はもう行くぞ!さらば!」

俺は走ったが、なるべく冷静に男子の方に入り込んだ。

「はぁ、助かった」

俺は脱衣場で服を脱いで風呂へ直行、一度お湯を浴びて風呂に浸かった。

「はうぅ〜〜〜」

あぁ、本当に風呂最高!

俺は顔にお湯をかけた。もう一度今日の出来事について考察する為だ。

今回は変な点が多過ぎる。

まず、魔人の発生。これは理由は分かったが、条件が不十分だ。どうしたら悪意のオーラが集まるのか、これが分からない。

次にこの事件自体だ。一国が滅んだんだ、騒がれないわけがない。その筈なのに誰もこの事件を知らなかった、ダルキアンさんさえもだ。

しかもパスティヤージュの本には載っているのにビスコッティやガレットの本には載っていない。これは近くのパスティヤージュだけが気づけて、ビスコッティやガレットは一切気づかなかったということだ。

これは記憶の改ざん?それとも隠ぺいされた?まぁ、ここはエルディーナに教えてもらえばいいか。

気がついたら結構な時間が経っていたようで、のぼせて頭が回らなくなってきた。

「さて、出るか〜」

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