小説『dog days not勇者』
作者:maguro328()

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今回の戦、どうやらシンクが滞在する国が勝利し姫様奪還に成功、一方俺はやっとお目当ての城に辿り着いた。ヨーロッパにありそうな外見の城だな。俺は色々見渡しながら門をくぐると
「ん?お主は・・・・・・?」
門を抜けて直ぐ左に刀を持った女性が座っていた。もちろん耳と尻尾はついている。さっきのユキカゼと同じような和風の服を着ていた。知り合い・・・・・・だな。
「勇者さんの友人の天理駿です」
この紹介一体何回目だろうか。
「ほぉ、勇者殿のご友人でござったか。拙者はブリオッシュ・ダルキアンでござる」
ダルキアンさんの言うことには奥に行ったらシンク達がいるらしい。だが・・・・・・
「どの部屋でしょうか?」
「それはわからんでござるな」
俺は3階くらいある城を見上げて窓を1つずつ見ていく。どこだろうか?
少し眺めていると窓が1つ開いた。と同時に
バシュ!
とオレンジ色に光ったシンクが女の子を背負って飛び出してきた。
「なっ!シンク!?」
横にいるダルキアンさんはおぉ〜と感嘆の声をあげていた。それにしても速い、ユキカゼに引けをとらない。
「あ、駿!駿もこっちに来てたんだ!」
走りながらもこっちに気付いたようだったが止まらずに逆にスピードが増していく気がする。
「ごめん!少し急ぎの用事があるからまた後で〜!」
「うおっ!」
砂を舞い上げながら門を抜けて行った。俺がそんなシンクをぼーと見ているとダルキアンさんが上を見上げて言った。
「あの部屋に行くでござるか」
「・・・・・・・・・・・・はい、そうですね」
異世界での初めての冒険、旅行用鞄を持っているので幸先は良かったが、友人にだいぶ先を越されていることを思い知らされ、よりショックだった。
シンクへの尋問の内容を決めながらダルキアンさんについていくと先ほどシンクが飛び出てきた部屋についた。
「失礼するでござる」
3回ノックの後、ダルキアンさんはそう言ってドアを開けた。俺もそれについていく。すると中には案の定耳と尻尾が生えた人達が6人ほどいた。
「おぉ、ダルキアン卿じゃねーか」
ライオンの様な雰囲気をかもちだした銀髪の少年がそう言った。よく見るとさっき会ったリコッタもいた。
「リコッタ、久しぶり」
「久しぶりであります」
リコッタと挨拶を交わした後、いつも通りの自己紹介をした。そしてしてもらった。銀髪少年はガウル・ガレット・デ・ロウというらしい。他にもメイドさんはルージュ・ピエスモンテ。奥で気絶していた3人はガウルの直属親衛隊(ジェノワーズ)らしく、黒髪の少女はノワール・ヴィノカカオ、うさ耳のベール・ファーブルトン、どこか虎の様な感じがするジョーヌ・クラフティというらしい。一気に数が増えた、これは覚えるのがきついかも。
「それでガウル・・・・・・様?ん〜まぁ、いいや。どういう状況だったの?」
と訊いた。ガウルは呼び捨てでいいと言ったので喜んで呼び捨てにさしてもらおう。そしてどうやら姫様とやらは同時に歌姫らしくコンサートの為にシンクが急いで走っていたらしい。で中継が始まるのをここで待機中らしい。みんなの様子を見る限りではかなり凄そうだった。
「しかし、勇者様は間に合うでありますかね?」
「大丈夫だろ、シンクだし」
俺が窓から外を眺めながら全員に聞こえる様に呟いた。
「ほう、どうしてそう言い切れるでござるか?」
「う〜ん・・・・・・昔からあいつは多少無理しても約束を守る奴だし」
その後、予定通りに中継は始まり、シンクが無事に姫様を送り届けたことが確認出来た。
みんなは完全に姫様の歌に集中していた。気絶していた3人組も起きていた。確かにいい歌だ。俺は先ほどと同じように窓から外を眺めながら聞いていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?」
星から視線を外して下を見るとチョコボの様な生き物にのった銀髪の女性がいた。あの人どこか暗い影がある気がするな。
「おい、駿。お前もこっち来い」
声をかけてみようかと思ったがその前にガウルによって中継をしている四角いのの前に連れて行かれた。そこにはさっきと衣裳が変わった姫様がいた。
「あれ?さっきからずっと歌ってたし衣裳チェンジの時間なんて・・・・・・」
そう言った瞬間姫様の周りが光り、一瞬にして衣裳が変わった。おぉ、この技術はすごいな。
「駿、お前ガレットに入らねぇか?」
さっきの技術についてこっちの技術で可能かを考えていた俺にガウルはそう言った。
「ガレット?あぁ、ガウルの国か。う〜ん・・・・・・・・・・・・つっての俺はシンクの様にアスレチック得意じゃねぇしな〜」
「そんなの鍛えていけばいいんだよ」
う〜ん、正直に言うとありがたくて仕方がない申し出だ。
「・・・・・・あれ?ガウルってそのガレットの領主なのか?」
「違うぞ。俺はここの領主の弟だ。ほら、あれが領主のレオンミシェリ・ガレット・デ・ロウだ」
まぁ、小さい頃だがな。とも付け足した。ガウルが指さした方を見ると大きく引き延ばした写真があった。そこには今歌っている姫様を小さくしたのと銀髪の少女がいた。
あれ?この子は・・・・・・・・・・・・そうだ、さっき窓から見えた女性だ。ならさっき影があったのはもしかして・・・・・・
「それじゃ、現在の問題が解決するまではシンクと同じ国でいいなら契約を承諾するよ」
俺がそう言うと、全員が止まった。
「お前何か知っているのか?」
どうやら本当に何か問題があるらしい。ガウルが顔つきを変えて訊いてきた。
「いや、その・・・・・・レオ様だったか?さっき出ていくとこ見たんだが、どこか影があったんだ。それで、何かあるのかなって」
「ほう、ならレン殿。どんな問題があると思うでござるか?」
ダルキアンさんが意地悪そうに訊いてきた。
「う〜ん、てか事情とかなんも知らねえし。仮定も何も無いんだけどな」
「それでは私が教えるであります」
リコッタが手をあげて提案した。
「あぁ、よろしく頼む」
と言うわけで説明会が始まった。リコッタが中心に説明をして時々ガレット側の人達が補足していく。全て終わると同時に俺は思考の海に潜る。
さて推理大会の始まりだ。

-4-
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