小説『dog days not勇者』
作者:maguro328()

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ミルヒオーレさんとのお話はそこから数十分続いて、ミルヒオーレさんが用事ということでお開き、時刻にして6時、俺は部屋に戻って鞄の整理を再開することにした。
するとまたお客さん、次はシンクだった。
「どうした?」
「駿、何してるのかって」
どうやら、特にやることなく暇を持て余したので俺のとこへ来たということか。まぁ、いいか。そういえばこっち来てから落ち着いて話をしてないし。地球人水入らずってことで。
「ほい、お菓子」
「わぁ、持ってきてたんだ」
スナック菓子をテーブルの上に広げてシンクを座らせる。
「それにしても、お前が勇者になるとはな」
「あはは、確かに僕も驚いたよ」
勇者シンクはテーブルにあるお菓子を食べながら答えた。朝にこっちのご飯を食べたのだが結構美味しかった。けどやはりお菓子は美味しい。こっちで作れないかな?
「・・・・・・塩は?ジャガイモってあるのか?」
「?、どうしたの、駿?」
しまった、つい口に出ていたみたいだ。俺はシンクに何でも無いと言って持って来たお菓子を一かけら口に放り込んだ。チョコレート最高。
「・・・・・・・・・・・・こっちの人って全員いい人だよな」
「そうだね。みんないい人だね」
そうだ。昨日今日あっただけなのに全員が優しいと分かってしまう位だ。
「シンクは聞いたか?帰れないこと」
「・・・・・・・・・・・・うん、聞いたよ」
たぶん、俺より早く聞いたんだろうな。シンクは下を向きながらもどこか決意をしている顔だった。
「・・・・・・・・・・・・俺は、あれを聞いて少し喜んだ」
俺はお菓子を食べるのを止めて、天井を見上げた。電灯の光は思いのほか眩しく、手で遮った。
シンクも黙っている。こいつも俺の事情は知っている。ありがたいな、やっぱり持つべき物は友だ。俺は天井に向いていた顔を笑顔に戻し、シンクの方に向き直した。
「だから、俺は永住するかもな」
これ以上は雰囲気が良くなりそうにないのでここで終了、シンクはミルヒオーレさんと話をするらしく帰っていった。
あぁ、嫌なこと思い出しちまったな。こういう時は書斎に行ってひたすらに本を読むべきだな。
俺はその日、完全に本に集中して、またリコッタに怒られるのであった。

-8-
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