小説『真剣で僕に命じなさい!〜S〜』
作者:時雨葵()

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〜第十七話 凪の日に燕が飛ぶ〜


テストが終わり
生徒達はグラウンドに集まっていた
それは今話題の
『納豆小町VS忍者執事』があるからだ
風間ファミリーやS組の何人かも見に来ていた
いないとすれば・・・

百代
バイトで本人は観たかったのだが借金の返済が近く
休もうと思ったが無理だった

英雄とあずみ
会議があり学校終了と同時にいなくなった

紋白とヒューム
同じく帰って仕事があるらしい


まー興味が無いのだろう


凪にとって百代やヒュームがいないのは好都合だった
ただ少しおかしいのが
黒服のSPみたいな人たちもいるのが気になった

「凪君楽しく戦おうねん」

「お手柔らかに…」

「でハ、ルールを説明するヨ〜」

ルーが簡単にルールを説明した
・勝敗は有効打を与えたほう
もしくはKOである
・時間は30分であったが45分に変更された
・武器はレプリカで無造作に置かれている
戦闘中の交換可である

審判はルーで
判定はゲイル・ゲイツ・梅子の教師陣である

「賭けはやっても目に見えてる」

「松永先輩が優勢だからな」

いつもなら賭けが始まるが
燕の強さは証明されているので
開かれなかった
だが、凪の実力がどれ程なのか注目は集まっている

「およ?凪君靴じゃないんだ〜」

「足袋の方が動きやすいんで」

「お互い準備は出来タ?、始めるヨ〜」

一気に緊迫した空気に変わった

「レーーーッツ!ファーーーイト!!」

最初に距離を詰めたのは凪であった
燕の懐に潜り込み肘鉄を食らわせようとしたが
見事にガードされ読まれていた

「おっとっと…ビックリしたな〜でも、読まれてるよん」

燕は近くにあった薙刀を手にした

「薙刀だわ・・・これなら間合いは広いから・・・」

一子の得意武器である
実力だと一子の方が上で
燕は器用貧乏だ

燕の薙刀に対し凪も武器を手にしたが…

「おい・・・ナギ…槍を両手に持ったぞ」

凪は槍を二本持ち燕に乱れ突きをした
それを燕も薙刀で払っている
だが、速さは尋常じゃない速さなので
一般の目には見えてない

「御守流槍術・乱菊!」

「あの突きは捌くのが大変ですね・・・」

「何やってるか見えない…でも女性陣はみえてるんだろうな」

「大和のために説明してあげると・・・」

京は大和の為に説明を始めた

「凪はタイミングをずらして不規則に突いてるの
例えば、槍二本とも同じタイミングなら避けるのは簡単なの。
一秒に10回とか…でも凪は片方のタイミングをずらして
右で1秒で10回の突きだけど左は1秒で7回とかそれをランダムで…
両方遅かったり右だったり左だったり」

不規則の槍の突きを捌いていた燕が片方の槍を凪の手から弾いた
弾かれた槍は空に飛んだ
その隙に攻撃を入れようとしたが直感で何かを感じ
燕は後ろに後退したその時だ

「え?!」

顔の前をもう一つの槍が天に向け真っ直ぐに昇った
凪は足で蹴り上げたのであるそれと同時に凪もジャンプし
宙に舞っている弾かれた槍を蹴って燕に放った
燕は避けたがそれが凪の狙いである

「あれ?動けない」

「燕先輩の影に槍が刺さってるわ!!」

「影縫いだな…」

動けない燕に追撃を入れようとしたが

「厄介だね〜でも、抜けれたよ」

燕は凪の蹴りを間一髪避けた
抜けられるのは凪にとっては想定内
続けて攻撃をしながら次の武器を取る
燕も薙刀からヌンチャクに持ち替えた
凪はトンファーを手に取り攻撃をする

二人の攻防はやはり見えない速さである

「やはり凪もトンファーを扱えるのですね」

「マルさん?」

「凪の父君の主な武器はトンファーでした。
なのでトンファーの扱いは他の武器より巧いでしょう
私がトンファーを武器にするもう一つの理由です
凪の父君には憧れました」

マルギッテは凪のトンファー技術は父譲りだと説明した
クリスもその話を聞いて凪と戦いたくなった
ここで見物してる武道家は皆凪と戦ってみたいと思っている

燕と凪の攻防は刀同士や様々な武器に持ち替えられて続けている
戦っている二人は息切れはしていないが
凪の方が若干疲れが見える

(凪君結構やるな〜時間切れで終わるかな・・・これ・・・ん?)

燕は凪の不適な笑みが見えた
また燕は何かを感じやはり距離をとると

ストン!

燕がさっきまで居た所に槍が落ちて刺さっている

(え?この槍って…まさか!!さっき天に蹴り上げた槍!?)

見物してた者たちも降って来た槍に驚く

「避けられましたか・・・残念・・・」

「そう言ってる割には避ける事わかってたでしょ?」

「ばれましたか」

凪は何手先も見て蹴り上げて頭上に落ちてくるように
誘導して戦っていたのだ
この戦いは二人にとって面白く
永く戦っていたい

「時間もそろそろなんで徒手といきませんか?」

「そうだね〜シンプルで」

するとお互いに距離を詰め拳と脚の乱撃が始まった
演舞のように
力は均等に見える
上段蹴りをお互いに当てその反動で二人は後退した瞬間

「そこまでーー!!」

時間切れで戦いは終わった
梅子が代表で判定を発表するみたいだ

「二人とも良い戦いだった…勝者は…」

見物は固唾を呑んだ

「勝者・・・松永燕!!」

軍配は燕に上がった
凪もその事は理解していた

「最後の徒手での乱撃の最中松永は3発三上は2発相手に当てていた
それが今回の勝敗の分かれ目だ!いや〜良い戦いだった…本当に」

「凪君…今日はありがとねん!勉強になったよ〜」

「こちらこそ。」

お互いに握手をした時である
燕は周りには聞こえない声で

「本気じゃなかったでしょ?」

「先輩もそうじゃないですか」

「秘密…まだ隠してそうだね〜暴くの楽しみ」

燕は手で口元を隠し悪そうな笑みをした
だが、嫌な感じはせず
小悪魔という名が似合う微笑だった

「くえない先輩だな〜」

凪もまた面白い相手に出会え嬉しくなった

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