小説『真剣で僕に命じなさい!〜S〜』
作者:時雨葵()

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〜第二十六話 試験〜


凪は坂を駆け上がりながら怒りを静めていた・・・

「どうやら・・・追って来ないみたいだね・・・・」

(大和・・・怒ってるかな・・・)

凪は一瞬シュンとなるが・・・
そして、疑問が浮かんだ
(でも・・・なんで怒りが込み上げて来たんだろう)

そんな事を考えていると
上り切った所に一子と焔
そして、もう二人がいた

「三上君ではないか!」

「流石特異点だな・・・生き残っていたか・・・」

義経と与一がそこに居た

「義経に与一!!・・・って弁慶は?」

いつもなら義経の隣に与一より弁慶がいる
なのにいない・・・

「姉御なら俺らに鍵を託して・・・」

与一が語りだすと義経は俯いた・・・

「まさか・・・」

義経と与一を見て
凪と一子は

(弁慶は二人を守るために犠牲に・・・)

「逃げた・・・」

「「は?」」

与一の話によると
参加する時川神水の持込を制限されたそうだ
それは弁慶にとって足りない・・・
なので弁慶は早く川神水が飲みたいが為に
直ぐに先生方に捕まりに向かったそうだ・・・
与一も参加したくないので同じ作戦で離脱しようとしたが
弁慶による説得(脅迫とプロレス技)により防がれた
義経が俯いたのは申し訳なくだったのだ

「でも、知り合いに会えてよかった」

義経はホッとしていた

「皆義経を見つけた途端戦いを挑まれたのだ」

「奴らは組織の人間なんだろう・・・」

焔は与一の言っている事がよくわからなかった

「義経は三上君達にお願いがあるんだが聞いてくれるか?」

義経は凪の目を見て真剣な面持ちで向かい合った

「義経達を仲間に入れてはもらえないだろうか?
先程川神さんにも聞いたんだが三上君にも聞いてくれと言われた」

「アタシは良いと思うだけど一応凪にも意見を聞こうと思って
リーダーだしね?」

一子はそういうと焔の方を向いた
焔も頷いた

「むしろ助かるよ・・・心強いしね」

義経はさっきまで心配そうな顔だったが
凪の返事を聞くとパァっと明るい顔になった
二人の持ってる鍵を見ようとした時だった
凪は油断していた
いや・・・気づかなかった

「まさかここまで近づかんと気が付かないとはまだまだじゃのう〜」

凪の後ろには鉄心がいた

「おじいちゃん!!」

「学園長!!」

鉄心は気配を極限にまで消していた
なので燕は直感で気づき凪の追跡を辞めたのだ
いつもの凪なら直ぐに気付いていただろうが
疲労・怒りなどで気が緩んでいた
だからここまでの接近に気が付かなかったのだ

「学園長が参加してるとは思いもしなかったです。」

凪は瞬時に鉄心から離れた
皆を守るように前に出た

「な〜に逃げるんなら逃げてもいいんじゃよ」

鉄心はそう言っているが凪は逃げ切れる自身は無い
いつの間にか周りにも人が居て囲まれているからだ
川神院の修行僧だろう

「どうしよう・・・三上君・・・」

「チッ!・・・囲まれてやがる」

「あわわわ・・・どうしよう」

「凪・・・どうする・・・」

皆が固まっていると
鉄心がある提案を持ちかけた

「一つだけ逃げれる条件をあげようかのう〜
条件をクリアしたら見逃すわい」

その言葉に皆食い付いた
凪を除いて

「何々?どうすればいいの?おじいちゃん!!」

「うむ・・・誰か一人ここでワシに捕まればいいぞ」

鉄心は普段眉毛で目が隠れているが
眉毛が持ち上がり目が見えている

「それって・・・」

「誰かを生贄にするって事か?」

「ま〜そうじゃな・・・挙手制でも多数決でもええよ」

鉄心は結論が出るまで待つみたいだ

皆は顔を見合わせた
与一が辞めたがっているなら
自ら進んで出ただろうが
もうここまで来たら最後までいるだろう・・・

そんな事していると凪は鍵の入った袋を焔に渡した

「凪?」

「その中に僕のも入ってるから・・・」

凪はそう言うと鉄心の行こうとした

「本当に皆を見逃してくれるんですよね」

鉄心は頷いた

「皆は生き残ってゴールして・・・今回は僕のせいで詰んだ
なら、僕ここで捕まるよ」

だが、凪の腕は3人に掴まれた
一子・焔・義経である

「ダメよ!凪が一番活躍してるじゃない」

「そうだ!凪が居なければ大友たちはもう終わっていた」

「義経は会ったばかりだが二人が信頼している事がよくわかった」

「皆・・・でも、生き残る為には」

一子も焔も覚悟は出来ていた・・・

「捕まる時はみんな一緒よ!」

「そうだ!川神と同じだ!」

凪を庇う様に一子と焔が前に出た

「まー逃げ切れると思わないが・・・いいだろう・・・時には運命に
逆らうというのも悪くない・・・」

「義経たちも捕まる時は三上君たちと共にだな!」

義経・与一も凪を背に置き周りを見た
凪を守るように囲んだ

「誰も捕まる気は無いのかのう?」

「うん!捕まるなら皆でよ!」

鉄心の質問に一子が答えた
その一子の眼を見た鉄心は頷きながら髭を撫ぜ嬉しそうだった
すると周りに居た修行僧が居なくなった

「合格じゃ!仲間を思う気持ちに偽りは無いのう」

鉄心の言葉に皆が分からず居ると凪は気付いた

「まさか・・・試された?」

鉄心は笑って一枚の紙を凪に渡した
その際、皆が警戒していたが・・・

「合格を貰った者達には門を開けるヒントの書かれた紙をわたしててのう
ワシが試したのは仲間の大切さなどじゃ・・・もし、誰かを無理やり差し出してきたら
捕まえておったわい」

どうやら他の先生たちもそれぞれあるみたいで
リーだと「状況の判断」などらしい

「さて、ワシは他の連中でもさがしにいくかのう・・・一子頑張るんじゃぞ」

そう言うと鉄心は居なくなった
その場には5人だけが混乱気味に立ち尽くしていた

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