小説『真剣で僕に命じなさい!〜S〜』
作者:時雨葵()

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〜第二十五話 大和登場!!・・・だが?〜



「「ん・・・」」

「二人とも目が覚めた?」

一子と焔が目を覚ますと
凪は二人に駆け寄った

「鉢屋は?・・・」

焔が聞くと凪は視線を横に向けた
その視線の先に気を失った鉢屋が居た

凪は地面に落ちる寸前、鉢屋の頭より先に
足を出したのだ
そのままなら頭はトマトを地面に叩きつけたように
なっていただろう・・・


二人が目を覚ましたは良いが
少々ふらふらしているので
支えながら歩き始めた
また腕は掴まった状態に戻った

大きな爆発があったため人が爆発地点に向かって集まって来ていた
今は余計な戦闘を回避したい凪一行は道を逸れることにした
歩いた所を解らなくする技術は流石忍者である
そのおかげで誰とも接触せずに離れた道に出ることが出来た
その頃には二人も一人で歩けるまで回復もしていたが・・・

「この坂上るのか・・・」

目の前に坂があった・・・
凪たちは坂の途中に出たのだ

しょうがないと上ろうとすると凪は
覚えのある気配を感じ下をみた


「大和〜結婚しよう?」

「おい!大和!あっちの方がいいんじゃないか?」

「直江大和!クリスお嬢様の言うとおりだ!」

「大和さん・・・お疲れなら少し休みましょう」

「大和君モテモテだね〜」

「どうしてこうなった・・・・ん?」


そこに居たのは
京に抱きつかれ
クリスに裾を引っ張られ
マルギッテに怒られ
由紀江に心配され
燕にからかわれている

大和が居た・・・

「大和・・・」
「ははは・・・大和・・・」
「直江・・・」


「あ!凪にワン子・・・そして、大友さん?」

大和は知り合いをまた見つけたと喜んだが・・・

「流石大和よね・・・」

「直江はモテるんだな・・・」

一子と焔は「大和らしいな」と見ていたが
凪は・・・

「女たらし・・・」

「ちょ!凪!?」

凪は大和をゴミを見るような眼で見ていた
いつも主だと大和の事を慕ってる凪がこの反応は珍しいので
大友以外驚いていた

(なぜだろう・・・凪に言われるとショックだな・・・)

大和は少しショックを受けながら凪に話を持ち掛けた

「凪・・・俺達といっしょ――」

「嫌だ!」

凪は大和が言い切る前に拒否をした
またまた珍しい事が起きた

「え?凪なら気づいてる筈だ・・・この大会は―――」

「嫌だって言ったら嫌だ!」

「凪?」

凪はまた言い切る前に拒否をした
今の凪は何かいつもと違う・・・
その光景を燕は口元を手で隠し
面白そうに見ていた
そして、何か思いついた様に悪巧みの顔をした

「大和君?どうする?これから」

「ちょっと!?燕さん」

燕は大和の腕に抱きついた
しかも、胸を押し付けるように


ブチン


何かが切れた音がした・・・
皆は京だと思ったが

まー京も燕に対し威嚇をしていたが
違っていた

キシャン!!

由紀江が瞬時に大和の前に立ち何かを刀で弾いた
弾いたものが地面に刺さりそれを見ると

「クナイ?」

皆は一瞬の事で何が起きたのかと思ったが
クナイを見て一人のほうを見た

「ちょっと・・・凪!?」

「凪?」

凪はクナイを数本指の間挟み構えていた・・・
明らかに怒っている・・・

「交渉決裂・・・二人とも全力で坂上って!!」

「交渉って!ちゃんと話て―――」

「女たらしの主を正すのも従者の務め・・・」

凪の髪はフワフワと闘気と殺気で逆立っていた
一子と焔も言われた通りに従い駆け上った
それを見逃す事は無く京が矢を放ったが・・・
凪により防がれる

凪は鬼となっていた

「面白い事になったね〜」

「燕さんのせいでしょうが!!」

「いやいや私だけじゃないよん」

「え?」

「直江大和自身だと理解しなさい」

「え?え?」

燕とマルギッテは凪が怒っている理由がわかっていた
大和・京・クリス・由紀江
四名はわからず困惑していた

凪のクナイが無数飛んでくるので
由紀江とマルギッテはクナイを弾いていた

「今の凪さんは怒りで冷静ではありません」

「黛由紀江それは間違ってます。

凪は的確に椎名京の矢を防いでいます」

由紀江は凪を見ると
怒っているが必要最低限の動きで的確に矢を防いでいた
やはり凪は一筋縄ではいかない
燕も突撃する隙を伺っているが隙が無い
均衡していた・・・が

!!

凪は急に坂を駆け上がりだしたのだ
咄嗟でマルギッテと由紀江は対処できなかったが
燕は凪に突撃した

「さて〜どうするのかな?」

凪は想定内だったらしく燕の攻撃と京の矢を避ける

「ここで長居はもう無用ですから!」

凪の時間稼ぎで一子と焔の姿はもう無い
一人で5人の対応は難しい
なので凪は引く事にしたのだ

「女性に囲まれて楽しんでくださいね!
あ・る・じ・さ・ま!!」

凪は地面に向け球体を投げつけた
投げつけた球体は煙玉で
大和達は前が見えなくなった

「心眼で・・・そこだ!!!」

クリスは突撃し何かを刺した感触がした
そして、由紀江が刀を一振りし煙を晴らしたが・・・
クリスが突いたのは丸太で凪ではなかった
それを見たクリスはテンションが上がって

「マルさん見てくれ!!変わり身の術だ!!」

「すごいですね!クリスお嬢様」

温かい目で周りは見ていた・・・逃げられたというのに・・・

「凪を追うか・・・」

大和がそう呟くと・・・
周りを気にしながら燕が止めた

「深追いしないほうがいいかもしれないよん」

燕の言葉を信じ大和一行は凪を追うのを諦めた

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