それから数日、明日ははやての誕生日という時、俺はというと……家ではようやく言葉遣いが年相応の物になったアリシアとはやてと共に仲良く遊びながら過ごしていた。最近ではアリシアの体調が良くなっていくのと同時に、はやての身体はどんどん悪くなっていった。足の麻痺はどんどん上へと進行して行っているのだ。
だからこそ、俺が毎日の様に考えるのは転生者と原作組がより早く行動を起こす事。ちょっと前には何か解決策を思い付いた様な気もしたのだが、思い出せない……もうちょっとのトコまで来てるんだけど……
「―――さて、そろそろか」
まぁ、それは置いといて、思い出せなかった時の為に手は打ってある。
俺の使用する魔法は所謂稀少技能という部類になる。名前を付けるなら【人間の英知】。人間が過去未来現在においてあらゆる全ての部類で使って来た全ての技術の結晶。それを使用する使用者が俺という一人の人間。だから、人間の英知なのだ。
そんな魔法は万能ではないし、全知全能でもない。でも、出来る事は全て出来る。そんな魔法で俺が最近使った物がある。それが、とある現在の人間の技術の中の一つ。
稀少技能、【予言者の著書】
そう遠くない未来で、聖王教会という組織に属するカリム・グラシアという人物が活躍させた稀少技能だ。年に一度くらいの間隔で未来をベルカ語の詩という形で分かるという物。今回、俺が使った際に出た詩を翻訳すると、こんな感じになった。
"白い魔王のいる冬季の世界において 闇の力が姿を現す 時空を流れる巨大な船 白い魔王の危機に駆けつける 強大な闇は世界を終わらせる 全てを飲み込む闇 守護騎士と共に 世界に牙を剥くだろう"
以上が予言で出て来た詩の全貌。正直、読者からしたら分かりやすいんじゃない?説明、いるかな……まいいや、一応説明するね。
これは簡単に言えば、白い魔王である高町なのはの住む海鳴市の冬に、闇の力たるあの不気味な本が何かしら問題を起こすという事で、ジュエルシードの時にも出て来たアースラの管理局陣営が助力の為に加勢しに来るんだろう。んで、あの不気味な本はこの世界を終わらせるために守護騎士っつー摩訶不思議な力でそれに対抗してくるって事。
まー面倒だよね。とはいえ、はやてが関わってるから仕方なく介入するんだけど……
あ、今思い出した! そうだよ、本に干渉する魔法だ。やっぱりあの本に干渉した方が良いんじゃないかな。
「やってしまおうか」
そうと決めれば善は急げ。早々に本の改竄を行なうとしよう。
「明日ね」
現在は夜の11時遅く。俺もはやての為に早寝早起きをしてたから習慣付いちゃったよ。眠くてかなわない。
◇ ◇ ◇
―――翌日
家族が増えてました。何故だ。