小説『とある世界の主人公達(ヒーローズ)』
作者:くろにゃー()

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「すいません遅れました!!」

 横開きのドアを開けた瞬間、チョークを持った中年の教師と黒板の字をノートに写している中学生の注目の的となった。 

 神様の勧めで、夢雨ちゃんは柵川中学に入れるように進まれた。夢雨ちゃんはお嬢様学校の常盤台中学と言う学校に入りたかったらしいが、そこは能力者(もっと細かい制限はあるらしい)じゃないと入れないらしく、夢雨ちゃんも、その辺は諦めてくれた。勿論僕は夢雨ちゃんの願望は尊重したかったので、一度は神様に懇願したはいいけれど、その辺は神様も厳しかった。

 因みに「いい加減能力くれよ。能力なしでこの世界を渡るのは厳しいって」と文句を言ったら、神様は、「一位と三位を倒した奴が、何言ってんだ! ワンピの世界に入れてやろうか!!」って正論と脅しで返された。

 
「あ……この子です。ほら自己紹介。」

「かたみち夢雨です。」

 夢雨ちゃんは僕に担がれたまま、少し幼稚な挨拶をする。

 生徒達が「小学生?」 「背ちっちゃ」とか、「可愛い」、「人形さんみたい」とか騒ぎ始めた。

「君、今何時だと思ってんだね。転校早々、大遅刻じゃないか!」

「す、すいません」
  
 それについては、返す言葉もない、一方通行との戦いを理由にしても、起きたのは九時くらいだろうし、大体深夜に散歩したことには変わりない。

「とりあえず、早くその子を座らせなさい。」
 
「ほら、夢雨ちゃん。あっちだよ。行っておいで。」

 僕は担いでいた夢雨ちゃんを下ろし空いている席を指差す。すると夢雨ちゃんは

「よるはる。しゃがんで、」

 と指示してきた。

 夢雨ちゃんの指示を断る理由など、どの世界にもないので指示通り、膝を曲げ、夢雨ちゃんと同じくらいの目線でしゃがむと、夢雨ちゃんは、

僕の頬に、キスをした。

「っ///」

 僕は顔を紅潮させる。

 そんな僕を置いて、夢雨ちゃんは小走りで去って行った。

 クラスの人たちは固まっている。中年の教師は「ほら、君は保護者なんだろ? だったら出て行って」と完全に空気を呼んでいなかった。

 僕は数秒ほどそこで静止した後、教室を出て行った。

 「あの人は――――」

 「ええ、間違いないですね。」

















「すいません遅れました!!」

 デジャブで申し訳ないのだが、夜春は、そう教室で叫んだ。
 
 息を切らしっている。中学までなら近かったが、夜春が通う高校は普通ならバスを使うほど遠いのだ。  

 しかし、夜春は自分の失態で遅刻している為、動いていない間、酷く重い罪悪感や後悔に押しつぶされそうだったので何十キロも走っての登校となった。

 「遅いのですよ〜 もうこのまま来ないかと思いましたよ。」

 黒板が上にまで届かず、背伸びをしている小萌先生が背伸びを止め、何事もなかったようにそう言った。

 生徒達は「誰〜?」とか、「二人の転校生〜?」と騒ぎ立てている。

「二人目? 他に今日来てるのですか?」

「俺だけど……」

 そう言って、手を上げたのは市元非波だった。

「げっ!!」 

 思わず本音が出たが、ホントに不快だったのだ。

「知り合いかにゃ〜?」

「まぁね。昨日会ったばかりだけど。」

市元は答えた。

 やべえ。なんだか変なキャラを原作で目立たせているかもしれない、と夜春は思った。

 原作を壊さず、何とか円滑にストーリを進めれば、それに越した事は無いのは確かなのだが、それにしたって、もう少しは異世界に興味は持ってほしい。と世界の表側で傍観している神様は思った。

「とにかく、自己紹介なのですよ〜。名前、遅刻した原因。反省。今後気をつけたい事。全て打ち明けて下さいね〜」

「自己紹介じゃねえ! 公開処刑だ!」
 




★おまけ★


夜「遅刻した理由の一つとして、義妹を中学に送っていたのも原因(送ってなくても遅刻していたが)の一つです。」

土「な、義妹だと……!! 夜春さん、いや同士は、義妹に送ってもらったお礼と称してあんなことやこんなこと」

全「するか!」

夜「いや、頬にキスされました」

土「手前ら、やっちまえ!!」

ドコドコ、ボカボカ、ドンドン

転校早々高校の恐ろしさに気付いた夜春。

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