「ンだァ? ここは?」
一方通行が目を覚ますと、そこは少し広いリビングのソファーにいた。
体を起こし、周りを見渡すと、リビングは全くの違和感もなく、家具の位置から大きさまで、無駄もない、持て余してもない空間に見えた。
「起きた?」
突然、ソファーから遠い位置にあったドアが開いた。
そして出てきたのは片方に金髪の少女を、もう片方には二つの学生鞄を重そうに担いでいる片路夜春だった。
「テメエ、なンのつもりだァ。」
一方通行から見れば夜春はさっきまで敵だった存在だ。その敵が、今ここで同じ空間に居る。そんな状況で、一方通行は警戒しない筈もない、しかも夜春は一方通行に攻撃が出来る存在、例え夜春に敵意は無かったとしても、警戒を解く訳にはいかないのだ
「あーー。そう身構えないでほしいな。別に僕は、キミに危害を加える訳じゃないんだし、」
「ンなら、何で俺がこんなとこに居ンだ? 学園都市第一位を誘拐して、身代金でも要求しようって算段かァ?」
「んー。どうしても僕の立ち位置は、君の敵なんだね。」
夜春は苦笑する。
「僕は君の味方になりたいってことだよ。」
「味方だとォ? ふざけたこと抜かしてんじゃねェよ。さっきまで俺とたたかっていたお前とどうして慣れ合わなけりゃあいけないンだよォ」
「いや? 聞けば悪い話じゃないんだよ。例えば君、シスターズを殺して楽しいか?」
「はァ? 人形を壊す事に、楽しいも糞もねぇよ。」
「楽しい事はあるか?」
「ンなもん有る訳ねェだろ。」
「なら、俺と探偵やらないか?」
「はァ? 探偵だと?」
一方通行は呆れた声を出した。
彼も流石に子供じゃない。探偵と聞いて古い小説やアニメなどでの殺人事件に颯爽とと現れる姿より、猫探しや、浮気調査の方が、印象としては近い。
「いや〜。僕ね、学園都市外で探偵やってたんだけど、一人でここ来ちゃったもんだから、仲間がいないんよ。他の奴もいそがしいから応援に来れないし、だからここで仲間を作る他ないんよ。だから頼む!」
一方通行は下らねェと吐き捨てると、立ち上がり、ポサポサと頭を掻きながら夜春を抜けた。
「何時でも待っているからな!」
その言葉に、一方通行は何も返さずにドアを開け、歩いて行った。
★おまけ★
夜「さ〜て、今日からこの世界での学生ライフだぜ! ほら、夢雨ちゃん起きて! 」
夢「む〜、あれ?? でも今十時だよ? 」
夜「あ、あれ? や、ヤバい、急がないと!! 転校早々大遅刻だ!!」