0, プロローグ
「お、お止めください香夏様……!
やはりそんな研究などすべきではございません!! 」
「黙れっ! 」
「か、香夏様………」
「貴様の指示など聞かん、さっさと始めるんだ! 」
西暦:20××年。
とある研究室で
白衣を着た若い女性と、白髪の老人が言い争っていた。
「しかし、そんなことをすれば香夏様は………」
「しつこいぞ! 黙れと言うのが聞こえないのか!
もういい、どけ。あたしが自分でやる!! 」
「香夏様――――」
老人が言い終わらないうちに、香夏と呼ばれた若い女性が
老人の額に小型の拳銃を突きつけた。
「もうお前に要はない」
そう言うと、ためらいもせず引き金を引いた。
いびつな形の銃弾に当たった老人は、一気に白骨化したかと思うと
頭蓋骨の方からゆっくりと粉砕していった。
そして1分と経たないうちに、老人は跡形もなく消え去ってしまった。
それを見届けた白衣の女性、香夏はくるりと向きをかえると
巨大なスクリーンに向かってつぶやいた。
「この研究を成功させるためには、あんな老体よりもっと若々しい奴が必要だ。
頭脳に長ける、若く天才的な人材。
やはり呼んでくるべきだな。
――――――過去の自分を」