生徒会室
Side善吉
「…やはり、奴は…」
「…ああ」
Side善吉
生徒会室に、俺と、めだかちゃんはソファで唖然として座っていた。
彼―筑紫城輝明。改め、みーくん。つまりは、三ヶ木兎一計。
彼は最後にこう言った。
『俺は、いまさらお前たちと、一緒につるむつもりはないんだ。ごめん』
そういって…微かに…微かにだが、涙を眼に浮かべそういったのだった。
そう。つまりは俺等は決別した…ということだ。
めだかちゃんは涙を流し…俺は号泣した。
まったく…俺等は何歳だ?こんな程度で…めだかちゃんはともかくすでに過去と決別したんだ。俺は。
カッ!
なのに!
「なんてざまだよ…畜生…!」
俺はそうつぶやいた。
Side on
生徒会室から帰ってきた俺は、今度こそ家についた。だが。
「善吉たちに変なもんみしちまったなー。格好つけたのに…かっこわりい…」
『こんな風にかい?』
「!?」
気持ちの悪い…だけどどこか懐かしい声がして、俺は思わず振り向いた。
「…括弧つけるじゃあなくて恰好つける…だぜ。バカが」
『ふ…君も変わらないね。まあ、変わらないからこそ…僕とこうやって普通に通常に平然にまじめに向き合っていられるのだから』
「ケッ。厨二病か?」
『僕は永遠の厨二と呼ばれた男だぜ?』
嘘つけ。
いや。こいつは昔っから大嘘つきだったな。
「で?お前なんでここに来たのさ?そもそもどうやって…って、これは言わんでいいか」
『あ。それを言っていなかったね。じゃあ、簡潔に話そうか。興呂木ちゃんが久しぶりに、未来を見た』
「へー?あいつが。珍しいな。ドSなあいつがお前に情報教えるなんて。で?なんて?」
『神が来る』
「――!?なん…だと…?」
神…?神といったか?こいつ…まさか―まさか…!
『じゃあね。僕は確かに言ったよ。…』
「…」
「気を付けてくれ。僕はこれでも心配してるんだ」『それじゃあ』
球磨川が括弧を外すほどマジな話らしい。
確かに…確かに俺はあいつを…
殺したはずなんだ…
一週間後
あの宣告。死の宣告にも似たあの球磨川の発言から一週間がたった。
気にしないではいるが気をつけてはいる。
まあ、それはおいといて。
俺は生徒会室に遊びに来た。
「で?|黒神会長。手伝ってほしいことってなんだ?」
あくまで、ただの奉仕活動である。
…なんかこう言うとツンデレみたいになるが気にせず。
「…仕事を手伝ってほしいんだ。これを」
目の前に積んであるのは山ほどある会計用の書類。
どうやら会計やら書記やらはいないらしい。
そんな時である。
相談者が来た
めだかボックスに投書されていた、件について話したいことがあるということを今黒神会長は知ったらしく、「くっ…私としたことが…OTZ」とか言っていた。
有明先輩。
どうやらこれがこのかわいらしい先輩の名前のようだ。
いや。かわいいんだぜ?超が付くほど。
〜小一時間後〜
どうやら、有明先輩がいじめにあってるらしい。
コロス。マジコロス。テラコロス。
ころころころころころこrこrrrrrrrrrrrrrrrrっろ
強制終了
閑話休題
ころころrrrっろ…っは!俺はいつの間にとんでたっ!?
有明先輩をはじめ怪奇の目で見られている!?
「ま、まあとりあえず行こうぜ。有明先輩。俺はもう見当ついたので、行きましょう」
「えっ!?本当に!?」
「マジかよ…(さすが人外)」
「おい。善吉。手前ぇなんか言ったか?ゴルァ…」
「い、いや!なんも言ってねえよ!」
「む〜…(私は上の名前で善吉は下で普通に呼ばれる…う〜)」
「おい。どうした?めだかちゃん。早く行こうぜ」
「あ…すまない。行こう」
ということで、グラウンドに来たわけだが―
「陸上部所属。三年九組諫早先輩。有明先輩世同じ短距離を専門とするアスリートで利き腕は左。同じスパイクを履いてるのは見てのとーり!お住まいは23地区で3年前から不車新聞を購読中…だってさ♪」
「なぜ、半袖ちゃんがいるんだ?」
善吉よ。確かに俺は諫早先輩に詳しい人を探してくれ…とは言ったが!
「誰が半袖ちゃんを呼べといったァァァァァァァ!!!」
「ひどいなあ。つーくんは♪」
「実際お前が来ても話が無茶苦茶になるだけだろぉぉぉぉぉがァァァ!!」
「ばっ!み…つーくん!声がでけえぞ!」
「お…おう。わりい」
善吉に悟られる。
「…早くいくぞ。|みーくん」
不機嫌そうにそう言って立ち上がる黒神会長。
それに合わせ、俺と善吉も立ち上がる。
「半袖ちゃん。お前はどうするんだ?」
「あひゃひゃ!あたしがこういうのに首突っ込むタイプに見える?」「見える」「即答ですか…あひゃひゃ…」
そして珍しく落ち込む半袖ちゃん。
もちろんから笑いも忘れない。その辺が半袖ちゃんだな。
しかしあの諫早先輩・・・水飲む姿が有明先輩とは違うベクトルでかわいいな…そそられるものがある…っは!しまった!俺は転生者で既に三十路すぎのおっさんだった!それを忘れるな…俺はロリコンじゃない…俺はプリキュアを見て喜ばないし教育番組見て興奮する人間じゃないし道行く女子高生とかに興奮しねえええ!
「みーくん?大丈夫か?」
気が付くと、目の前にめだかちゃんの顔があった。
「…ああ。わるい。いこうぜ」
「ああ」ニコ
…はあ。ったく。俺はこんなことしてる場合じゃないんだ。
行かないとな。
「お久しぶりです。諫早先輩」
「…?私あなたに会ったことあったっけ?」
ないよ!
「いえいえ。あるじゃあありませんか。よーく思い出してください」
「…?」
俺のことをついには怪しんでいるようだ。
そりゃあ、そうだ。あったこともねえ人間からこんなこと突然言われたんだからな。
「…はあ。あったじゃないですか。|昨日|放課後に」
「…!まさか…!」
「…くくッ。策にはまりましたね!」
「…え?まさか…あなた!」
そのとうり。
俺はあんたをはめたのさ!
「さあ!これより生徒会を執行す―」
その瞬間、俺の後頭部から出てはいけないレベルの嫌な音が聞こえる。
「馬鹿者!話を聞かずに生徒会を執行など…!無礼も甚だしいわ!」
めだかの渾身の一撃が、俺の後頭部に入ったようだ。
「ぶるァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」
「・・・(あなごさん?)」
「にゃっははははは!どこかの若○さんみたいー!」
「おま…俺が声に出さないようにしたのに!」
手前ら後で説教だ!!
「えっと…」
俺らがコントまがいのことをやっている間に、諫早先輩は逃げようとしていたらしい。
ジリ…ジリ…
という足音が聞こえる。
すくなくとも俺には聞こえる。
ダッ!
「くっ!黒神会長!」
「わかっておる!」
どうやら、じりじりという音が聞こえたのは俺だけじゃあなかったらしい。
めだかは走っていく。
有明先輩のスパイクを手にはめながら。
あれか?小学生がやってそうな、「靴を前後にはめてるから四足歩行っ」てか?
追いかけっこも終わったようで、めだか…じゃなかった。黒神会長は帰ってくる。
結果は「諫早先輩じゃない」
俺もこの結果は予測していた。
なぜならめだかは―
「諫早先輩。ちげぇんすよ」
俺は口を開ける。
そして、善吉も言う。
「あいつは人を疑うことを知らないんじゃあない。人を信じることを知ってるんだ。だから…今回は見逃してあげますよ。中学まではめだかちゃんを悪党から守ってたんですが、今回は目安箱の管理だけなんでね」
そして、善吉は帰っていく。
残っていたのは俺と諫早先輩。
「諫早先輩。善吉はああいってますが―めだかなんて、所詮そんな人間なんです。まだまだ半人前…。俺や先輩にはまだまだかなわないんですよ」
「…え?」
「あいつは、人の努力の経緯も何も知らない。ただ単に無知。人を信じることを知っているなんて、そんなのも所詮心から思っているわけじゃない。どういうことかわかります?」
「…いいえ。わからない」
「仕方ないからですよ」
「仕方…ない?」
「そう。あいつはすべてをしかたないからすべてをやっている。
自分が他人を救う?
他人の人助け?
そんなのは全部戯言だ。
すべてはあいつの機嫌取り。あいつは自分のためだけにしかやってないんだ。
そう。『すべて自分のために』」