第2章第4話 日向さんの憂鬱
side善吉
いつの間にか。ではあるが、完璧に俺は油断していた。
考え事で、周りが見えなくなってしまったのだ。
まあ、とはいっても別の部屋にいたから、剣道部部長の叫び声が聞こえなかったら、考え事をしてなくとも気が付かなかっただろうな。
「勝手なこと…吼えてんじゃねぇよ!たった今思い出したわ!オレは昔剣道少年だったんだよ!!」
急いで、控室から道場に向かうと主将のそんな声が聞こえる。
「ああん!?」
「あー俺もそうだった」「そういや俺も」「俺も」「俺なんか日本一の検視目指してた」
「うぜえ…ドロップアウトした奴が簡単に改心して立ち直ろうとしてんじゃねーよ!!」
俺が、ふすまを開け中に入ると。
「剣道三倍段ってしってっか!?僕はあんたらの3倍強いって意味だ!」
「死ね!」
「ぎゃほ!?」
そのには、おそらく無刀取りをしたんだろう、木刀の刃を持ったつっくーがいた。
?「っ!てめえ三ヶ木!お前外で黒神とバトってたじゃねえか!」
「あいつは役員募集会だこのやろお!つーかよお…日向!「剣道三倍段」つーのはなあ、剣道家が真剣、もしくは殺傷力の強い木刀などの武器を持っており、なおかつ柔道家や空手家が何の武器も持っていない場合のたとえのことだこんちくしょー!」
そういって、つーくんは日向の顔面を木刀でぶった切る。
「不良ならともかくっ!改心したやからをに暴力?けっ。そんなもん言語道断!んなもん、この三ヶ木兎一計改め!心療外科医!霊山(りょうぜん)毀棄(きき)改めぇ!筑紫城輝明が成敗してくれるわ!」
…は?今あいつなんて言ったんだ!?
あいつが、都市追放された三ヶ木?
あいつが、めだかちゃんが大好きだったみーくん?
俺が尊敬してたみーくん?
球磨川が唯一心を許したみーくん?
Side on
めだかは、役員募集会だと言って|ボ(・)|ロ(・)|ボ(・)|ロ(・)の服で出かけて行った。
「けっ。土が付いちまった」
いくら、制服が傷つかないように戦ったとはいえ、やはりノーダメージとまではいかなかった…か。
こりゃあ、後でブラッシングだな。
「そろそろ戻った方が…いいかな?」
剣道部に戻ることにした。
一応は、俺はあいつらを指導する|役目だからな。
「おらーもどったべ…っては?」
目の前では、殺戮といわんばかりに人の山が積みあがっていて、その中心にクラスメイトの日向がいた。
…さて。助けるべきか?
しばらくすると、柔道部の主将である、湯布院先輩が起き上がる。
湯布院先輩「勝手なこと…吼えてんじゃねぇよ!たった今思い出したわ!オレは昔剣道少年だったんだよ!!」
…
「ああん!?」
日向は睨み付ける。
「あー俺もそうだった」「そういや俺も」「俺も」「俺なんか日本一の剣士目指してた」
次々に改心したのであろう部員たちが起き上がる。
「うぜえ…ドロップアウトした奴が簡単に改心して立ち直ろうとしてんじゃねーよ!!」
俺は、|超理想主義で日向の背後に回る。
「剣道三倍段ってしってっか!?僕はあんたらの3倍強いって意味だ!」
そういって、日向を木刀を振り上げる。
…ふっ。よく言ったじゃねえか先輩方!
瞬時に、無刀取りを使って、木刀の刃の部分を取り上げる。
「死ね!」
そういって、日向の腹をけり上げる。
「ぎゃほ!?―――っ!てめえ三ヶ木!お前外で黒神とバトってたじゃねえか!」
けっ。愚問を。
「あいつは役員募集会だこのやろお!つーかよお…日向!「剣道三倍段」つーのはなあ、剣道家が真剣、もしくは殺傷力の強い木刀などの武器を持っており、なおかつ柔道家や空手家が何の武器も持っていない場合のたとえのことだこんちくしょー!」
そういって、俺はイライラをぶちまける。
今考えてみれば割と全力で蹴ったから、日向の内蔵ズタボロになってたかもしれない。
「不良ならともかくっ!改心したやからをに暴力?けっ。そんなもん言語道断!んなもん、この三ヶ木兎一計改め!心療外科医!|霊山|毀棄改めぇ!筑紫城輝明が成敗してくれるわ!」
そういって、木刀の柄を持つ。
そして…
全力でぶった切る。
「ぶべらっ!」
日向は奇声を上げ鼻血を流し、俺が木刀を投げ捨てると逃げるように去って行った。
「ふう…いい汗かいたぜ」
俺は剣道部を立ち去り、帰ることにした。
「おーい!つーくん!まってくれ!少し話があるんだ」
校門で、後ろから声をかけられる。
「…善吉か。別にいいけど、手短にな」
そういって、連れてこられたのは生徒会室。
「…おい」
そして、目の前にいるのは善吉とめだか。
そして、剣道部にいて、なおかつ俺の宣言を聞いていた善吉。
…どうしてこうなった…