小説『フェアリーテイル ローレライの支配者』
作者:キッド三世()

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第二十三話 天使の島


「いやー、終わった終わった!」


「一時はどうなるかと思ったけどね〜。けどホントすごいよね、ウルさんって」


「これで俺たちもS級クエスト達成だ!」


「もしかしてあたし達二階にいけるのかな?!」


「あー、うぉっほん!!」


調子に乗っているナツたちに現実を教えるべく、カイルがわざとらしく咳をした。


「盛り上がってるとこ悪いんだが……何のために俺らがここに来たかわかってるよな?」



「「「「…………………(滝汗)」」」」


そこには苦笑しているカイルと般若の顔をしているエルザがいた。


「そ、そうだった……あたし達おしおきされるんだった!!」


「ま、今すぐじゃねえけどな。村の連中の問題を解決しねーと。エルザもそれでいいだろ?」


「………あぁ、今は村人たちを救わねばならない」


「で、でも!デリオラは死んだんだし、これで村人たちの呪いも解けて」


「あー、違うぞルーシィ。デリオラにそんな力ないない。十中八九ムーンドリップのせいだろうよ」


「そ、そんな〜」


「よーし、さっさと治してやるか!」


「あい!」


「だが治すにしてもどうやって?」


「八割がた検討はついてるんだが、やはりここは」


倒れ伏しているリオンをカイルが見つけ、


「今回の主犯に聞くのが一番だろ」


「「「な、なるほど」」」













「俺は知らんぞ」


「何だとぉ!!」


「落ち着け、ナツ。多分嘘でもねーよ。」


「どういう意味ですか?殺せんせー」


「おいちがう漫画から持ってくんな、せめてマガジン内にしろ。まあ最後まで聞けよ」


一段落したのを見計らってリオンが話を続ける。


「三年前に村に来た時に奴らの存在は知っていた。だが奴らは遺跡にくることはなかった」


「三年間一度もか?」


元凶と思われる場所に一度も来なかったことを疑問に持ったエルザが問いかける。リオンは首肯した。


「ふーむ、となるとムーンドリップの人体への影響もマユツバだな」


「ああ」


「どういう意味ですか?グレートティーチャーカイル?」


「だからやめろって、確かにマガジン内だけど。頭を普通に働かせろ、問題児ども。三年間ずっと光を浴び続けたリオンが何ともないんだぞ」


「「「「あ、」」」」


確かにこれ以上ない証拠だった。


「もう一度詳しく村の連中に話を聞く必要がある。行くぞ、エルザ。質問内容はお前に任せる」


「?カイル?構わないがなんでだ?」


「流石に今回の絡繰は気づいてんだろ?答え合わせだ。あってたらご褒美やるよ」


「!!!//////わ、わかった。みていろ」












村へ戻ると全て元通りになっていた。まるで時間が巻き戻ったように…



あいつか……でもなんで?まあ気分屋な奴だから深い意味はねーんだろうけど。





村人たちを集めて、エルザが前に出て、質問を開始する。腕を組みながらスタスタと歩き、的確な質問をして行く。


うん、今回はちゃんとわかってるようだ。


「遺跡には一筋の光が毎日のように見えてきゃあ!!」


……復活していた落とし穴に見事にはまるエルザ。


「お、落とし穴まで復活してたのか……」


「きゃあ!!ていったぞ」


「か、かわいいな」


「あたしのせいじゃない!あたしのせいじゃない!!」


「おーーい、大丈夫か?エルザ」


穴に落ちたエルザにカイルがてを差し伸べる。


「///ああ、すまない//」


穴から出たエルザは話を続ける。


「つまりこの島で一番疑わしい場所ではないか」


「な、何事もなかったかのようだぞ」


「たくましい…」


「なぜそんな場所を一度も調べなかったのか」


ここまで聞いた村長は冷や汗を流し始める。言い訳をしたが嘘だと看破され、本当のことを話し始めた。


「……本当にわからんのです。何度も調査には行きましたが、誰一人あそこにたどり着けんのです。こんな事を話しても信じてもらえぬと黙っていましたが…」


「俺たちは入れたぞ?ふつーに!!」


「ホントなんだ!何度行っても気づいたら村の門の前にいるんだ!たどり着いた奴は誰もいない!信じてくれ!!」


全員が驚愕する中、カイルとエルザだけは納得したように歩きだす。


「やはりか」


「となるとやっぱ壊さにゃならんな」


「ああ、村長、ここで一番高い櫓に案内してくれ、これより月を破壊する」



「「「「えええええええええ!!!!!」」」」











櫓の上に案内され、エルザは巨人の鎧と破邪のやりを換装し、構えた。カイルもイフリートを呼び出す。


「これより月を破壊する。カイル、タイミングを合わせろよ」


「誰に向かって言っている?」


二人ともふっと笑うとエルザは月に向かって槍を投擲し、その柄の部分を爆発力を込めたカイルの拳がブーストさせる。


「「うぉおおおおお!!!届けぇええええええ!!」


放たれた槍は空に刺さり、月を中心にひびが入って行き、粉々に砕け散った。その奥には本物の月があった。








「「「「う、うそーーーーー!!!」」」」


「と、どうなってんだぁ!!」


「この島は邪気の膜で覆われてたんだよ、そのせいで月が紫だったんだ。見てろ、村が本来の姿を取り戻す」


村人たちを光が包む。だが、彼らの姿は悪魔のままだった。


「かわってない!?」「失敗したのか!?」


「そうじゃない、あれでいいんだよ」


「邪気の膜は彼らの姿ではなく、記憶を冒していたんだ」


「記憶??」


「「夜になると悪魔になるってゆー間違った記憶にな」」


「とゆー事はまさか………」


「そう」










「「彼らは元々悪魔なんだ」



「「「えええええええ!!!!!」


空いた口がふさがらない一同。


「ま、マジ?」


「う、うむ。まだちょいと混乱しとりますが…」


愕然とするグレイが村長に問うと、一応肯定する。


「彼らは人間に変身する力を持っていた。それを本来の姿と勘違いしたんだ。それがムーンドリップの記憶障害」


「じゃあなんでリオン達は平気だったの!?」


「あいつらは人間ダカラな。こいつは悪魔にしか効果がないらしい。ちなみに遺跡にいけなかったのも悪魔だからだ。あそこは聖なる光が満ちている。悪魔が近づけんのは当然だな」


全ての謎が一本の線となった。


「さすがだ……君たちに任せて良かった…」



そこには死んだと思われていた悪魔がいた。彼だけは記憶障害から逃れていたらしく、しばらく避難していたのだった。


ボボが生きていたとわかり、狂喜する悪魔たち。空へと飛び上がり、踊っている。



「ふふ……悪魔の島……か」


つぶやくとその隣に立っていたカイルに寄り添うようにしなだれるエルザ。

優しい瞳でエルザを見た後、カイルも答えた。


「悪魔ってよりは天使のほうが似合うな」








「今宵は宴じゃーーー!!悪魔の宴じゃーーー!!」


「おぉおおおお!!!」


「な、なんかすごい響きね、それ」


天頂に輝く月、満点の星の元、悪魔たちが奏でるメロディーに天使が踊る。


カイルはエルザにそっと向き合うと【千の顔を持つ英雄】でタキシードに換装した。腰をかがめ、手を差し出す。


「か、カイル///似合っているがどうした突然」


「見事に看破した褒美だ。俺と踊ってくれないか?ティターニア」


ボンッと音がなるんじゃないかと思うほど顔を赤くすると、白いドレスに換装し、おずおずと手をとった。


「よ、喜んでお受けします。黒の騎士王様/////」


悪魔たちの踊りの中で妖精が舞い踊る。彼らの夜はいつまでも続いた




「ぶ〜〜〜〜///」



ぶんむくれているルーシィ。グレイが笑って慰めた。


「ハハハ、まあ今回はエルザにいいとこ全部持ってかれたからな。また次頑張れよ」


「う〜〜〜、ウラヤマーーーー!!!!!」
























どーもあとがきでーす。書いてる最中に一度消えてしまって……もう一度同じ文書くって辛いです。さて、いかがでしたでしょうか?ガルナ島篇終了です。新しく辻堂さんの純愛ロードで連載開始しました。そちらもよろしくお願いします。
コメントもよろしく!!

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