釣り堀に閉じ込められた魚たち。
彼らはただ釣られるためだけに存在する。
釣られたくない、と思っているのはみな同じだが、
能のある魚なら考える。
「釣られないようにするにはどうしたらよいか。」
その方法はただ一つ。
水中の贅沢なえさを食べないこと。
でもそこで悩みが生じる。
堀の中に常日頃、十分なプランクトンや藻が存在するか。
この世界はまるで釣り堀。
釣り糸は心が悪に犯された人間の意地悪の象徴。
無意味な争いを避けて釣り堀の魚のような扱いを受けることになった人間は、
神に日頃の糧を乞い願う。
神のお導きによって、自分が釣り堀のような世界に引き込まれないようになることを信じて。
そして、幸運にも掴んだささやかな幸せを噛みしめる。
えさが豊富で澄んだ川の中のような世界を夢に見ながら。