小説『つぶやき』
作者:あさひ()

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小瓶に閉じ込めていた

色とりどりの星の砂。

単なる砂だと思っていたのに、ある日なにかを模り始めた。



手のひらにそれをのっけると、

自分の所有する理想の世界が広がった。

それは、一度は悲しみの涙でどろどろになってしまった世界だった。




自分の世界なのに、

どんなに頑張ってもほんの一部分しか組み立てられない。


あとはなんだか分からないぼやっとした砂の雲。


それはあなたの頭の中の記憶装置に、

星の砂を組み立てる記憶が足りないから。



無邪気な心は、イマジネーションで星の砂を操って、

手のひらの中の世界を広げてみる。

一部ができあがっていれば、あとはにくづけしていくだけ。



ただし、それは飽くまでも架空の世界。

現実を忘れて、人を傷つけてはいけないというルールがある。



ルールさえ守れば楽しい遊び。

一部分しか組み立てられていないから、

たくさん組み立てる楽しさを味わうことができる。

そして、その世界のことを、いつか誰かが分かってくれる。





誰か意地悪な人のせいでその世界が崩れたのなら、

またすぐに戻せばいい。

一部分さえできあがっていれば、あっという間にすぐにもとに戻る、

あなただけの自由で優しい世界なのだから。





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