小説『アナト -眠り姫のガーディアン-』
作者:那智 真司()

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- 序幕 -

僕の名前はアナト。

人の魂と引き換えに、願いをひとつだけ叶えてあげる。

君の願いはなに?

─私の…、願い…?

おや? 君は願い事がないのかい? 今どき珍しい人間だね。

じゃあ、そんな無垢な魂を持つ君に一つ試練を与えよう。

なぜって…。
だって僕は、天使だもの。

それに、君の運命は明日を境にゆっくりと動き出してしまう。

君は明日から命を狙われることになるんだよ。

そして明日の夜、傷ついた一人の男がここを尋ねてくる。

これは君の運命で、試練とは関係がない。 僕は運命を司る者の使いじゃないからね。

僕が出す試練はここからさ。

明日尋ねてくる男は君を出会ったその時から40日間守ってくれる。
君の運命は40日後に決まるからね。
だから君はその男を助け、その40日の間にその男と相思相愛になる事。

それが僕の出す試練だよ。

そうそう、恋人同士になれってことさ。

大丈夫、大丈夫。 僕は愛のキューピットみたいなものだから。

何? その疑いの眼差しは。

まぁ、いいよ。 君が試練を見事乗り越える事ができた時、君の願いをもう一度聞きにくる。

きっと君には心から望む願いが生まれているはずだからね。

その時を楽しみにしてるよ。

それじゃあ、僕はもう行くね。

「君に幸運を…。」

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